はたけカカシの場合


「…どーしちゃったのよ、それ。」

「せんせ…、泣きたい。」



帽子を深くかぶって、長めの上着でなんとか尻尾を隠して。
恋人であるカカシ先生の家へお邪魔して玄関でそれらを取ると、思ったよりも落ち着いた声が返ってきた。まあ上がりなよ、と優しく手を引かれて、そのまま2人でソファーに腰を下ろす。



「随分と可愛いじゃないの。誰かの術か何か?」

「んーん、サクラからもらった風邪薬…、調合間違えちゃったみたいで…。」

「なるほどねぇ…。で?ななしはどうしてそんな泣きそうな顔してるの。」

「だって…、気持ち悪くないの?普通だったら、」

「さっき可愛いって言ったでしょ。ほら、こっちおいで。」



抱き寄せられて、元々近かった距離が更に近くなる。大きな背中に手を回すと、頭をポンポンと撫でられて、思わず顔が緩む。先生に抱き締められると、ネガティブな気持ちもあっという間にどこかへ行ってしまうから不思議だ。
しばらく抱き合っていると、耳と尻尾、いいね。なんて嬉しそうな先生の声が聞こえる。そういう性癖なの?と聞けば頭をコツンと叩かれた。



「女の子がそういう事言っちゃダメでしょ。」

「だって…、」

「ななしの機嫌。すぐ分かるからいいねって言ったの。」

「え、」

「ほら今も。俺に甘やかされて喜んでるでしょ?」



見てみなよ、と言われて視線を後ろへずらすと、ふわふわの尻尾は大きくゆっくりと動いていて、それはあたしの機嫌が良いことを知らせている。耳も横に寝てるよ、と笑いながら言う先生は本当に嬉しそうな顔をしている。



「似合ってるしね。ほんと可愛いよ。」

「も、もう言わなくていい…!照れる…!」



恥ずかしげもなく褒めるカカシ先生の顔を見れなくなって、思わず目をそらす。それでも先生はお構いなしに頭を撫でたり、尻尾を触ったり。時々こちらに向ける視線は本当に愛しいものを見るような目で、いつ戻るのか不安に思いつつも、こうなったのも悪くないかななんて思った。








はたけカカシの場合
(その薬、まだあるの?)
(あ、うん…。なんで?)
(俺が持っとくよ。色々、使えそうだしね。)














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