さようなら恋ごころ


「わ、いい天気…。」



今日はナルトとヒナタの祝言。

思ったよりも随分と早く目覚めてしまって、雨じゃなかったら散歩でもしようと思って外を見てみる。すると、前日までどしゃ降りだった空がすっきり晴れていた。すごい、里の英雄は天気まで味方にするのか。

外に出て街の外れの河川敷を歩いていると、前方には奇跡的に咲いたままの桜が見える。淡いピンクが青い空によく映えてまるで絵画のように綺麗。
思わず立ち止まって見ていると、後ろから声を掛けられて振り返る。


「ナルト!何してんの、こんな朝早くに。」

「いやー、なんだか早く目覚めちまってさー!散歩だ。ななしは何やってんだ?」

「あたしも同じ。今日が祝言と思うとなんか緊張しちゃって。」


なんでななしが緊張するんだってばよ、と笑われて、確かにあたしが緊張するのもおかしな話だななんて思いながら、その綺麗な道を2人で歩きだす。


「ナルトが結婚かー、なんか信じらんない。」

「ははっ、俺もまだ実感ないってばよ。」

「えーそうなの?」


なんて話をしながら歩いていると、ナルトが急に立ち止まってこっちを見る。


「ななし、」

「んー?なに?」

「俺…、幸せだってばよ。」

「…そっか。」


ニカッと笑うナルトを見て、あたしの心はズキズキと痛みだす。
…あの時好きと言っていたら、今隣にいるのはあたしだったんだろうか。なんて、今更そんな事を思ったって何も変わらないのに。


「…じゃ、俺そろそろ準備しねーと。ななしは?」

「あたしはもうちょっとだけ散歩してから帰ろうかな。」

「そっか!じゃあ、」

「あ、待って。」

「ん?どうした?」

「、おめでとう!…ヒナタの事、幸せにしなさいよー?」

「もちろんだってばよ!ななし、ありがとな。」


じゃあ、後でな!と言って帰っていく後ろ姿を見送って空を見上げると、風に吹かれて桜の花びらがはらはらと散る。
あたしもそろそろ諦めなきゃいけないな、と、散っていく花びらを見ながら静かに思った。








さようなら恋ごころ
(この想いを封印するよ)











.