望む


今日は非番の日。
お昼から飲み始めて、いい気分になって外を見るとあたりはオレンジ色に染まっていて。



「もう夕方だー…。ねぇ、まだ付き合ってくれる?お酒。」

「嫌だと言っても付き合わせるだろうお前は。」

「さっすが、わかってるねーネジ。」



少々呆れ顔のネジを横目に、すいませーん熱燗2合、と注文する。



「それにしても、今日はよく飲むなななし。」

「あたしは失恋したの。だから飲みたいの。」



そう、あたしは今日失恋した。ナルトがヒナタと婚約したから。
付き合った時点ではまだチャンスがあるかも、と思っていたから落ち込む事なんてなかったけど、婚約なんてされたらさすがにヘコむ。



「大体早いんだよ、付き合ってから婚約するまでが。そう思わない?ネジ。」

「…まあ確かにそうだが。俺はまだ諦めていなかった事に驚いてるぞ、ななし。」

「そんな簡単に諦められるほど軽い気持ちで好きでいた訳じゃないもん。同じ日向なのにさ…、何が違うの。」

「ななし、飲み過ぎだ。そろそろ行くぞ。」

「待ってまだ半分も残ってる。」



まだ帰りません、と言うとネジは小さい溜息をついて、自分のお猪口にお酒を注ぐ。



「まあ今更こんな事言ってもどうにもならないんだけどねー…。」

「…ななし。」

「でもさー、ヒナタといるナルトってすごい幸せそうで。」



泣きそうになるのを必死に堪えて、お酒を一気に流し込みながら話を続ける。



「ナルトのあんな顔見たら、諦めるしかないなーって思ったんだよね。」

「…そうか。」

「好きな人が幸せならそれでいいや、みたいな?だから今日は吹っ切れるまで飲む!まだまだ帰らせないから覚悟してよね、ネジ。」



そう言うと、ネジは小さく笑ってそれなら何時間でも付き合ってやる、と言ってくれた。


千鳥足になりながら日向家まで帰るのは、夜が明ける頃の話。







君の幸せを、望む
(ネジーっ!吐いちゃだめ!!)
(うっ…、気持ち悪い、)
(まだまだ行くぞーっ!)











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