想う


「ななし、」

「…敵の気配はありません。」

「よし、なら帰るか。」

「はい、シカクさん。」



ここは奈良家の所有している森の近く。なんでも最近他里の忍が奈良家の鹿を狙っているらしい。
結界を強めるだけなら俺だけでもいいんだが、敵が潜んでいるかも知れないから付いてきてくれとシカクさんから指名が来た。



「非番だったのにすまねぇな。」

「シカクさんからの頼みなら断りませんよ。」

「ははっ、そりゃ助かる。一応、任務扱いにしてもらったから任務金は後で受け取ってくれ。」

「えっ、そんな、あたし何もしてないのに」



非番のお前を指名して、わざわざ出てきてもらったんだ。受け取ってくれと言われて、なんて紳士なんだと思いながらありがとうございますとお礼を言う。



「飯、食ってくか?久しぶりに。」

「わあ、いいんですか?あたしヨシノさんのご飯大好きなんです。」

「本人に言ったら喜ぶぞ。さ、行こう」



その後はヨシノさんの手料理をご馳走になって、まだ小さいシカマルくんと遊んで、奈良家の幸せをたくさん分けてもらって帰路につく。



「すみません、送ってもらっちゃって。」

「気にすんな。夜道で1人はあぶねーだろ?」



そう言って笑うシカクさんはとってもかっこよくて、自分の顔が少し赤くなったのがわかった。



「ここでいいか?」

「はい、ありがとうございます。」

「じゃあまた、任務でな。」



寒いから風邪引くなよ、と言い残してシカクさんは来た道を戻る。



「はー…。中入ろう。」



小さくため息をついてから家の中へ入る。



あたしがもう少し早く生まれていれば、もう少し出会うのが早ければ、あの人の横に居られただろうか。
なんてくだらない事を考えながら、浴室へ向かう。








あなたを、想う
(好きです、シカクさん。)











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