惚れる


「ななし、」

「どうしたのー?なんかあった?」

「全然、寝ないんだけど。…助けて。」



困り果てた様な顔をして寝室から助けを求めるカカシの横には、まだまだ寝なさそうな娘の姿。

結婚して3年、子供が生まれて1年と半年。
6代目火影としてバリバリ働いていたカカシも、つい最近ナルトにその座を譲って、一線を引いた今は子育てに奮闘する父親。

今日は、いつも寝かしつけるのはななしだったね、たまには俺がと申し出てくれた。
やる事がたんまりあるあたしは大助かりで、じゃあお願いしようかなと言ってから約1時間。



「今日はお昼寝いっぱいしちゃったからなー。…あ、そうだ。絵本読んであげた?」

「絵本?」

「そう。この子最近絵本好きでしょ?」



もしかしたら寝るかもと娘のお気に入りの絵本を渡せば、試してみるよと言って、娘を抱っこして寝室へ戻って行く。



現役の頃からは想像できないな。

当時のギラギラ感はどこへ行ったの?と思うくらい今は丸くなって、教え子であるナルトには別人みたいだってばよなんて言われてる。


人ってこんなにも変わるんだなと思っていると、寝室から心地の良い声が聞こえてきて、手を止めて耳を澄ましてみる。

絶妙な速度、子供が好きそうな緩急の付け方。
しばらくすると娘は寝たらしく、カカシのゆったりとした声だけがこちらに響いてくる。



ああ、素敵な声。


そう思いながら、いつのまにかあたしも目を閉じていた。






聞き惚れる
(あら、こっちも寝ちゃったの?)
(…おやすみ、ななし。)













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