囁く


「愛してるゲームって知ってる?」

「……何だそのふざけた名前のゲームは。」

「見つめ合って"愛してる"って言うの。照れたり笑っちゃったら負け。ね、やってみようよ。」

「…やらん。俺は寝室へ行くぞ。」



やっぱりこういう反応なのね、我愛羅は。

2人で夕飯を食べた後、コーヒーを飲みながら最近里内で流行ってるらしいゲームをやろうと言うとあっさり嫌だと否定される。

何だよ、つまんないの。



「風影だよ?里内で流行ってる事とかさ、もっと興味持とうよ。」



本当に寝室へ向かおうとしている我愛羅を追いかけて文句を言う。ていうか置いて行くなよ。夜の風影邸は怖いんだぞ。



「そういう事は耳に入れておけば充分だろう。わざわざやる必要は、」

「そうだけどー。でも実践すれば里の住人の気持ちがわかるかもよー?」



それにあたし我愛羅に愛してるなんて言われた事ないし、と少し拗ねたような口調で話すと、我愛羅は歩いていた足をぴたりと止めて、少し後ろにいたあたしの方を振り返る。



「…そこまで言うなら、やってみるか?」

「ほんとっ?じゃあ早く寝室に…」

「ここでいいだろう。この時間になればもう誰も通らない。」

「…え?ここ?いやー、それはさすがに…。」

「何だ、お前はこのゲームをやりたがっていただろう。」



そう言われて思わず後ずさりすると、背中が壁にトンッとついてしまう。

…やばい、逃げられなくなった。

後ずさる方向間違えた、と思っていると我愛羅は案の定自分の体で逃げ道を塞ぐ。


わ、か、壁ドン…!


初めてされたよと内心テンパっていると、我愛羅にまっすぐ見つめられて心臓がドクンと跳ねる。

そしてあたしの髪を耳にかけて、耳元で



「愛している…ななし。」



とか囁くから、もう心臓が飛び出てしまいそう。



「ふっ…、照れたら負けなんだろう?」

「っうるさいな…!」



真っ赤になった頬を隠しながらそう言えば、我愛羅はとても満足そうな顔で早く寝室へ行こうとあたしの手を引いて歩きだす。







囁かれる、そして
(我愛羅、耳貸して。)
(何だ、)
(…あたしも、愛してる、我愛羅。)
(……っ、!)
(これで引き分け、だね?)











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