躊躇う(ためらう)
「今回も疲れたー。シカマル、温泉行こ、温泉。」
「ああ。泥だらけだしな。着替え持ったらお前ん家行くから、玄関で待っててくれ。」
「はーい。じゃ、また後でね。」
疲れたと言っていたのによっぽど温泉に入りたいのか、ななしは走って自宅に帰って行く。
しばらくして迎えに行くと、ななしは玄関のドアにもたれながら待っていた。
「遅い、シカマル。」
「お前がはえーんだよ。ほら、行こうぜ。」
そう言って温泉のある方に歩き出せば、待ってよと言いながらななしが隣を歩く。
面倒くさがりで、サバサバしていて、何というかいい意味で女っぽくない所に惹かれた。
でもそれをななしに伝えた訳じゃない。
伝えて、それがもし悪い返事だったらと考えて、告白するのを躊躇う。
だってこいつは、同じ木の葉の忍で、仲間だ。
好きだと言ってこの何とも心地のいい関係が崩れてしまうなら、何も言わずにこのままの関係でいたいと思ってしまう俺はやっぱりいけてねー派だと思う。
「あ、そうだ思い出した。今日うち鯖の味噌煮なんだって、夜ごはん。シカマル食べてく?」
「まじかよ。食いてー。」
「じゃあ温泉出たらそのまま家来る?」
「いや、母ちゃんに言ってからじゃねーと。」
ヨシノさん怖いもんねと笑いながら話すななし。
こういう事を言うのは柄じゃねーが、すげー可愛いと思ってしまう。
言えたら、楽なんだけどな。
目的地に着いて嬉しそうに笑うななしを見ながら、俺も中へと入る。
躊躇うなよ、俺
(男のくせに情けねー)
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