隠す


任務で失敗したのは昨日のこと。

あたしは隊長なのに、敵に向かっていった隊員を守れなかった。
あそこであたしがもっと早く敵に気付いていれば、違うルートで目的地に向かっていれば、あんな大怪我させる事もなかったのに。

自傷癖のあるあたしは後悔ばかりしながら、今日も自分の左腕を傷つける。

何十回も腕を切りつけて痛みの感覚も分からなくなって来た時、そういえばそろそろサスケが来る時間かもとふと我に返る。
慌てて洗面台で真っ赤に染まった腕を洗い流し、ガーゼと包帯を巻きつける。



「ななし、いるのか?」

「わっ!!びっくりした!!…サスケ。」

「こんな所で何をやっているんだ。」

「べ、別に…。手洗ってただけ。早かったね、帰ってくるの。」



あっぶな…、見つかってないよね…?


恋人であるサスケは木の葉の上忍として毎日忙しく任務に励んでいて、会うのはとても久しぶり。
Aランク任務だと言っていたけど傷のひとつもついていないなんてさすがだな、とまじまじと顔を見ていると、サスケはあたしの目をじっと見て口を開く。



「お前、急な任務でも入ったか?」

「え?いや、入ってないけど…何で?」

「血の匂いがすると思ってな…、ななし、ちょっとこっちへ来い。」



そう言ってあたしの右手を取ってリビングに向かうサスケは心なしか怒っているようにも見える。

やばい、バレた。

お互いソファーに座り、あたしは動揺して俯いていると、サスケがあたしの左腕に触れる。



「…何で包帯をしている。」

「何でって…、あたしはいつも包帯してるでしょ。忘れちゃった?」

「この血の匂いは何だ。」

「そんな匂い全然しないよ?…サスケ、疲れてるんじゃないの?」



笑ってごまかすと、いつも無表情なその顔には眉間にシワが寄っていて、左目の輪廻眼と合わさって何とも怖い雰囲気を醸し出している。



「、ななし」

「…何でもないよ、大丈夫。」

「正直に言え。」

「っ、痛、…ッ!」



わざとなのかそうじゃないのか、サスケはあたしの左腕をギュッと掴む。きっとまだ塞がっていない傷が痛んで思わず声を上げると、サスケは無言で包帯をほどく。
きっと抵抗しても無理矢理ほどくんだろうなと考えたあたしは素直にそれを受け入れると、ガーゼまで剥がしたサスケが左腕を見て言葉を失う。



「、お前、」

「…任務で失敗したの…。ひとり、重体で。あたし、隊長だったのに…情けなくて、」

「………だからって、」

「こんな事したって、あの子の怪我がよくなる訳じゃないのに…。でも、あたしだけ無傷だったの、みんな守ってくれて…、それも、自分が許せなくて、」



そこまで言うと涙がじわりと滲んで、目から溢れた涙は左腕にぱたぱたと落ちる。まだ血が止まらない傷の上に落ちるとチクっと痛みが増して、思わず顔が歪む。



「…ななし、」

「っ、ごめんね、久しぶりに会ったのに…。」



テーブルの上に置かれたガーゼと包帯をもう一度巻き直して、まだまだ止まらない涙を必死で抑える。











隠してたかった
(あたしがこんなに弱い人間なんだって事。)



















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