第11話
あの日から3日後、出勤すると貸切だよーと店長から言われて、誰ですかと聞くと不知火様だねと返ってくる。
ゲンマさんが貸切なんて珍しい。てかもう来ないと思ってたんだけど?あんな事もあったし。
とりあえずはーいと間延びした返事をして、指定された部屋に行きいつものように整理を始める。少し早く準備が終わったので、煙草を吸ってそわそわしていた気持ちを落ち着かせていると内線が鳴る。
……
エレベーターから降りてきたゲンマさんはいつもと変わらない態度で、久しぶりだなー、俺の事待ってただろ?と冗談を言っている。あれ?この前の事そんなに気にしてない感じ?と思いながら部屋まで案内すると、ドアを閉めた瞬間に深いキスが降ってくる。
「っ、ふ、…んっ、」
「……っは、」
息つぎをしようと思えば頭を引き寄せられてそれを止められる。クラクラしながら必死にそれに応えれば、ゲンマさんはあたしを壁に追いやって、あたしの股の間に足を割り込ませる。
もう息しないと死んじゃうと思って裾をちょいちょいと引っ張ればようやく唇が離れて、代わりにチュッ、チュッ、と啄ばむようなキスが降る。こんなにがっついてるゲンマさん初めて見たなーとぼんやり思っていると、唇が耳元にきて、会いたかった、とひと言掠れた声でゲンマさんが囁く。
「ゲンマ、さん…っ、んぅっ!」
また唇を塞がれて、今度はさっきよりもゆっくりで卑猥な舌の動きに、体の力が抜けていくのが分かった。ずる、と膝から崩れ落ちそうになるとそれを支えられる。
何分そうしていたんだろう、頭はぼーっとして、下半身はショーツまでびっしょりと濡れている。キスだけでこんなになるのは久しぶりかも、なんて考えていると舌の動きが疎かになって、何考えてんだよと言うゲンマさんの声でまた意識を口元に集中させる。
「ふ…っ、ぁ、…はッ、はぁッ…、!」
「……っは、わり…、立てるか?」
ようやくキスの嵐から解放されて、大丈夫ですと言いながら立とうとしても全然力が入らずに、ゲンマさんに抱えられながらベッドまで移動する。すとんと腰を下ろせばゲンマさんも隣に来て、あたしの頭をそろりと撫でる。
伏せていた目を合わせればゲンマさんはとても切なそうな目をしていて、初めて見たその表情に胸がぎゅうっと締め付けられる。
「この前…、ごめんなさい、あんな所見せちゃって…。」
「あー…、俺も悪かった、他の店行って。見せつけるみてーにしてよ…、ほんと、ガキみてーだよな。気分悪かっただろ?…もっと早く来ようと思ったんだけど、任務が入っててな。」
もうななしちゃん以外は指名しねーよと言うゲンマさんに抱きつくと、それを受け止めてくれて抱きしめ返してくれる。
よかった、仲直りしたかな?…別に、喧嘩してた訳じゃないんだけど。
抱きついたまま上を見るとゲンマさんもあたしを見下ろしていて、引き寄せられるようにまた唇を重ねる。お互いの感触を確かめるようにゆっくりと何回も舌を入れたり下唇を吸ったり、まるで恋人がするような甘ったるいキスを何度も何度も繰り返す。
「…っは、」
「はぁっ…ゲンマさん…、」
「…今日、外出しようと思って貸し切ったんだけどよ…、どうする?」
「っそんなの…、言わなくてもわかるじゃないですか…っ、」
心のモヤモヤが晴れたのは同じだったのか、途端に意地悪スイッチが入ったゲンマさんは、あたしをからかうようにじゃあ飯でも行くか?と問いかける。この状態でご飯なんて行けるはずがない。何度もしたキスであたしはもう体が疼いていて、今すぐにでも襲ってほしいと思ってるのに。
何も言わずにただ視線だけを送っていると、そんな顔すんなよと優しく押し倒される。ゲンマさんの着ているベストに手をかけて脱がせようと思った時、あ、風呂入るかとまた意地悪な顔で言われる。
「や…っ、いいからっ、」
「任務帰りなんだよ、俺。…な?入ろうぜ。」
きっとわざと焦らしてるんだ、すごく楽しそうなゲンマさんを見て確信する。早くゲンマさんが欲しいと何度も淫らな事を考えながら、お風呂場へと向かう。
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