第13話
"ななしちゃんごめんね。実は明日から改装工事で、しばらく店休みになるんだよ。"
そう言われたのはついさっき。いつも通り仕事が終わって、さあ帰るぞと事務所を出ようとすると店長に呼び止められた。
ほんとごめんね、言うの忘れてたよという店長に、しっかりしてくださいと笑って返して再開するのはいつですかと聞くと、大体1ヶ月後くらいとの事。
知り合いの店で働くこともできるけど、どうする?と聞かれたけど、せっかくの長期休暇だし休みますと返事した。
「んー…でも、暇だなー…。」
独り言を呟きながら自宅までの道を歩く。休みますとか言ったけど、やる事がなくて暇を持て余すんだろうな、きっとあたしは。
友達がいないって悲しい、かと言って今更作る気にもなれないしなーと思いながら玄関に鍵を差し込むと、隣の部屋からガチャっと音が聞こえてくる。隣の人がこんな時間に家にいるなんて珍しい。鉢合わせないように急いで鍵を開けて中に入ろうとした時、ななしちゃん?と呼び止められる。
え?なんか聞いた事ある……。落ち着いていて、妙に色気のある声の主をあたしは1人しか知らない。
「カカシさんっ?!?!」
「…まさか、家、ここ?」
「え、あ、はい…もしかして、」
「そ。ここ、俺の部屋。」
そんなミラクルある?カカシさんも気まずそうな顔でこっち見てるし…。とりあえずまさかですねと返せば本当にねと言いながら頭をポリポリとかくカカシさんは、これから任務なのかもう片方の手には巻物を持っている。
「…ま、これで少し有利って事だね。」
「……?そうです、ね…?」
訳がわからないまま返事をすると、呼び止めちゃってごめんね、おやすみと言ってアパートの柵からビュンッと正門へと向かうカカシさん。
有利って何の事だろう…まあ、いいか。
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