一歩を踏み出す勇気


「へー、シカマルもやる事やってんのねー。」

「うるせーよ。」

「で、」

「あ?な、何だよ。」


甘栗甘でしこたま注文したいのは、洗いざらいぜーんぶ話しなさいと言ってメニューを閉じる。うわ、そんなに食うのかよと思いながら俺は事の一部始終を話したが、いのは他に気になる事があるらしい。大方予想はつくが。


「その相手ってー、誰?」

「やっぱりそれかよ。別に誰だっていいだろ。」

「ふーん?じゃ、同期のみーんなにバラしちゃおうかしらー?」

「なっ…、わーかったよ。言うよ。言えばいいんだろ。」


言うからそれだけはやめてくれと言うと、いのは満足したようにニッコリ笑う。…こいつは悪魔だな。


「…ななしって知ってるか?上忍の。」

「えっ、ななしさんって、あのお団子の?」

「そうだよ。…なんだよ、何かあんのか?」

「何って…あたし結構仲良いのよ、ななしさんと。」

「なっ、そ、そうなのか…。」


世間は意外と狭いもんだなとか思っていると次々と注文したものが運ばれてきて、いのはいただきまーすと言って美味そうに甘味を頬張りながら話を続ける。


「あーそうそう、そういえばななしさん、最近元彼の事で悩んでるみたいよー?」

「…元彼?もしかして、さっき言ってた奴か?」

「多分ね。あ、シカマルに言いたくない話ってそれなんじゃないの?」

「…なんでそれを俺に言いたくねーんだよ。」

「馬鹿ねー、少しは女心勉強しなさいよ。」

「うるせー。俺はそういうのに疎いんだよ。」

「ま、あたしは好きな人にこそこういうのは言いたくないけどねー。とりあえず、勝手に怒って出て行った事は謝りなさいよ、ななしさん可哀想。」

「…は?おいっ、いの!」


じゃーねシカマル、ごちそうさまーと言って店を出るいのを呼び止めようとするが、逃げ足の早いあいつはもういなくて、ひとり店に取り残される。ちょっと待てよ、あの言い方じゃまるでななしもそう思ってるみたいじゃねーか。俺を好き?あいつが?そんなそぶりさっぱり見せたことねーぞ、今まで。
戸惑いを隠せないままとりあえず会計をして、さっき出て行った家に向かってまた歩き出す。













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