たとえば、彼女との間に起こるすべてのこと
次の日、両親には泊まりに行ってくるとだけ伝えて、足早にななしの家に向かう。途中、これから任務だといういのとサクラに鉢合わせて色々めんどくせえ事を聞かれたが、華麗にスルーした。女は異常なほど噂好きだが、あれは何とかなんねーのか。
思っていたより遅くはなったが、それでも昼前には着いて、インターホンを鳴らす。
「ほんとに早く来てくれた、シカマル。」
「っ、入っていいすか、」
「ふふ、どうぞ。」
何か飲むー?と聞くななしにコーヒーで、と言うと、はーいと言う声が聞こえて、しばらくすると飲み物と一緒にお茶菓子も運ばれてくる。
「どっちがいい?おまんじゅうと大福。」
「先に選べよ。俺はどっちでもいい。」
「んー、じゃあおまんじゅうにしよ。はい、大福。」
「ん、サンキュ。いただきます。」
「召し上がれ。…あ、おいしい。けど、コーヒーにはあんまり合わないね。」
やっぱお茶にすればよかったー、と言いつつも美味そうに食べるななしを眺める。
こいつの作る空気はゆるくて好きだ。変に気を遣わなくていいし、沈黙が苦じゃないと思える相手はなかなかいないと思う。
「まーたそんなに見てー。穴あいちゃうってば。」
そう言いながら食べ終わった皿を片付けて、コーヒーのおかわりを持ってくる。そのまましばらく話したりテレビを見たりしていると、あっという間に空が暗くなる。
「わ、もう夜じゃん。シカマル、泊まってってくれる?」
「そのつもりで来たっすよ、飯なんすか。」
「わーい。今日はね、さばの味噌煮。」
今作るから待っててね、と言ってキッチンに向かうななしを横目に、俺は自分の家から持ってきた小さい将棋セットを出して、飯ができるのを待つ事にした。
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