落歌生

かつて夜を唄ったものたちへ
穏やかな残暑と鈴虫を
月の愛する星々よ
宵の哀する惑星よ
寂しいような、落ち着くような
夜桜たちの夢
星屑ゼリー

プラネタリウムを巡る旅
時針の速度も遅くなる
涼夜に溶けるあの解答
あさよ、どうか。
まだゆめを見ていたいの
どうか霞んで消えますように

青藍なるきみへ
ネイビーブルー・ファンタジア
電話越しの鼓動
お月見は墓場まで
同じ帳の下
七月七日、土の香り
七月八日、星の眠り
「月が綺麗ですね」
「わたし、しんでもいいわ」

それはきっと、なによりも痛く、そしてなによりも穏やかな、小さな小さな恋でした。
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