日常
view:いお
「眩しッ!」
うわ、思わず大きな声が出てしまった。
慌てて周囲を確認するが人影はない。
さすがに独り言を聞かれるのは恥ずかしい。
それにしてもここの廊下の西日は強烈過ぎる。
(あー、もう。めんどくさい。)
不平を漏らしても仕方がないことは分かってるんだよ。
この手にある書類を出さないことには帰れない。
早々に進路が決まったことは嬉しかったけど、こんなにもいろいろしなきゃいけないとは思わなかった。
「失礼します。」
ガラリ、と戸を開けて目当てを探す。
こちらを見た担任がゆるりと手を挙げている。
相も変わらず、禿げの手前で留まっているような中途半端な頭ですね。
「おー、ご苦労さん。んじゃ、これよろしく!」
書類を渡して空いた手に、流れるような動作で何かのノートが置かれた。
おい、何がよろしくだこのハゲ。
「えっと、先生?これは?」
一応の笑顔を浮かべながら聞いてみた。
「宮地に借りてたんだが、HRで返すの忘れててな。俺いまから教科担会議だから、返却頼んだ!」
いや、借りたものくらい自分で返せ。
いい笑顔でこっち見んな。
「…分かりました。」
言いたいことはいろいろある。
が、これでも3年間優等生()で通してきたチキン。
こういった頼みを断れた試しなどない。
諦めて、さっさと渡して、さっさと帰る!
ハゲの緩い礼を背中に受け、職員室を出た。
(宮地、くん。どこにいるかな。)
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