監督「…あー、柳田、その耳はどうした?」
柳田「聞こえてます」
監督「違くて、ピアスだ」

ミーティング後、監督は柳田を手招きした。
彼の左耳には、黒い小ぶりのピアスが輝く。

「なにあれ」
「指導?」
「校則違反?」
「監督直々wwww」
「優等生遂にグレたん?」

柳田「してきました」
監督「だろうな!…どうした急に」
柳田「…少し、さみしかったので」

柳田は、焦ることもなく
至って普通に監督の質問に応じる。
監督こそ一番戸惑っているようだった。


「え、まさくんはメンヘラなの?」
「さみしいと傷をつける系男子なの?」

監督「…まあ、協会のルールには特に違反していないからいいが、練習中や試合中に接触があると困る」
柳田「練習中、試合中はつけません。あと、取材の時とかも」
監督「…お、おう。それなら、いい。ということで今は外せ」
柳田「はい」

おとなしく左耳の煌めきを外し、
小さなサテンの袋に入れた。

「やけに聞き分けいいじゃん」
「グレたのにな」
「お母さん心配……」
「俺達に出来ることは見守ることだ…」
「家族始めんなwwww」

(嬉しそうな顔してやんの)
だれかがそう思った。
柳田の口角と頬が上がっていたからだろう。

彼はボールを持って、練習を始めた。

bonus(?) truck





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