いこう。

今日は祝日の海の日
そんな訳で、海開きの日でもあるんです。
と言う訳で、やって来ました海!
合唱部の面々にむーさんがお誘いを掛けたところ、予定の合う子達で楽しく海水浴を。
地元民しか来ない海水浴場なだけあって、人は合唱部以外いない様子

「貸し切りみたいな感じになったわね」

パラソルの下から海で遊ぶ部員を見ていれば、むーさんがやって来た。

「それを言うなら、プライベートビーチでしょ」

むーさんの言い方に笑みが零れる。
本人は言い方を気にした様子は全く無い。

「詩津は泳がなくて良いの?」

「むーさんこそ、泳がなくて良いの?」

自分と同じ様に隣に座ったむーさんに驚きながら聞く。

「何だか、良い感じの曲が出来そうな気がするのよ」

「頑張って!」

むーさんは合唱部に所属しているけれど、作曲の腕も結構凄い。
クラスにいる子と組めば、詞も出来てしまうからこれまた凄い。
しかも、このコンビ学校で知らない人はいないと言う。

「次回作、楽しみにしてる」

私が笑いながら言えば、むーさんはきょとりとしながら首を傾げた。

「何、言ってるの?」

その言葉に、次は私が首を傾げる番

「詩津が、今回は歌うのよ」

楽しそうに笑うむーさんに抗議しようかと思ったが、結局は上手く丸め込まれてしまうのでやめた。
ふと見た道路の方に、誰かが見えた。

「ちょっと行ってくるね」

むーさんに声を掛けて、その人物のところへ行く。

「的場君!」

私が声を掛ければ、先を歩いていた的場君が振り返ってくれた。

「篠崎さん、こんにちは」

「こんにちは。
 的場君は部活?」

持っている弓具に部活にでも行っていたのかと思えば、少し何かを考えている。

「…ええ、まあ部活だと思います」

「大会とかだったの?」

どこか含みを持った言い方に一つの可能性を思い出して聞けば、的場君は頷いてくれた。
そう言えばと思い出したのは、的場君の腕前

「全国大会優勝経験者、だよね?」

「そうですね」

私達も全国常連校だが、それを差し置いても凄い。

「凄いね、的場君!」

なんて、私のちっぽけなおめでとうの言葉でも、的場君はふわりと笑ってくれた。


太陽の光が降り注ぐ中、
二人は楽しそうに話をする。


まえ / つぎ
モドル?