「心操くんの心は誰よりもきれいだね」

中3になった初めの日、隣の席の女にそう言われた。彼女と同じクラスになったのはそれが初めてだったが、特に生徒数が多くも少なくもない学校だったし、3年にもなれば自然と彼女のことも知っていた。

みょうじなまえさん。
相手の心が見える個性、らしい。
その個性故か、友達も少ないのであろう。(人のことを言えた義理じゃないが)よくつるんでいる女子たちが時たま彼女のことを悪く言っているのを聞いたことがあるし、彼女もきっとそれを理解している。それでも、上辺だけでも構わないのか、彼女はよくへらへらと笑っていた。

そんな彼女も、俺のことを知っていたのかと驚きはしたが、先ほど言った通り生徒数が多い訳でもないのでそれもそうか、と納得した。だが彼女の言った言葉がどうしても分からなかったのだ。

「……なにそれ、嫌味?敵向きだってよく言われる俺に対してよくそんな言葉出てくるね」

「んーん。心操くんこそ、知ってるでしょ?私の個性。その私が言ってるんだからもっと自信持って良いよ。心操くん、きっと誰よりもヒーローに向いてる。」

そう言った彼女の笑顔は、いつもみたいな作られたへらへらした笑顔じゃなくて、本当に心の底から思っているようなとても綺麗な笑顔で。あまりにも綺麗だったから胸が痛くなった。

「……みょうじさんの方が、よっぽど綺麗だよ」

絞り出した声は震えててあまりにも情けなかったけど、君の嬉しそうな笑顔が見れたから、いいかな。


クレマチスの花言葉
happybirthday!Hitoshi Shinso

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