「ーーっ上鳴!」
「…へ?あ、」
ーガッ
---
「…まったく。軽い怪我で済んだから良かったものの、授業中にボーッとするもんじゃないよ。特に今日は戦闘訓練だったんだろ?評価にも響く大事な授業なんだ、気を抜くんじゃないよ。」
「…はい。」
情けないことに、授業中ーそれも戦闘訓練の最中だーにも関わらず考え事をしてしまって、ガッチガチに硬化した切島の拳を思い切り受けてしまった。当たりどころが良かったのか、ギリギリで切島が硬化を緩めてくれたかで怪我は軽い擦り傷で済んだものの、講評は散々だったし授業終わりにも再度オールマイトに軽く説教されてしまった。相澤先生だったら除籍処分になっていたかもしれないから、説教で済んだだけ良かったんだろうけど。
「ん、よろしい。それと、あんまり眠れてないようならちゃんと寝不足の元の悩みを解決することだね。」
「…え、」
「ほら!治療も済んだんだからとっととお行き!これ以上こっぴどく叱られたいのかい?」
「あ、っわ、し、失礼しました!」
昨日、あれから我に返った頃にはもちろん小鳥遊の姿は見当たらなく、仕方なしに俺も家へと帰った。帰ってからも小鳥遊の泣き顔が頭から離れなくて、胸の痛みもずっと引かないままでやけに苦しく感じて、飯も喉を通らなければ夜もろくに寝付けなかった。今日だって朝からずっとボーッとしてしまって授業内容もろくに頭に入ってきていなかったし、終いにはこのざまだ。
「…情けねー」
本当に自分自身が情けなくて無意識に溜息も出てしまっていた。
自己嫌悪に陥りつつ教室に戻れば、前回同様みんな授業の反省をしているようで、少しばかり賑わっていた。戻って早々怪我の心配されたり、逆に馬鹿にされたりもしたけど、みんなと話すことでだいぶ気は紛れた。(しかも今回は俺以外比較的平和に終わったからかバクゴーまで参加してた。ほとんど無理やり切島が参加させたっぽいけど。)
「ーにしても、攻撃食らうまで気付かねえってどんだけ集中して考え事してたんだよ」
「女か!?女のことか!?もしかしなくても例の彼女か!?!?」
「峰田ちゃんすぐそう言うこと言うの良くないわ」
「あー…まあちょっと、な。つーか耳郎もペアだったのにマジでごめん!」
「え、あー…もうアンタとは組みたくないわ。」
「っわーーー!!!マジでごめんってば!」
一通り反省や改善点の話が落ち着いた後に出た話題はもちろん、俺の戦闘訓練でのことだった。まああんだけ気を抜いてりゃ当然触れられる話題なんだけど。俺にとっては今1番触れて欲しくない話題だったから、つい苦笑いやいつものノリで話を逸らしてしまっていた。また耳郎にくだらねー話題を振ってしまったけど、ごめん今だけは許してくれ。
---
なんやかんやで時間は過ぎ、完全下校の時間も近づいたからかみんな徐々に帰宅していった。俺も、いつまでも学校にいても仕方ねぇし、今日はみんなでダベる気分でもねぇから大人しく帰るかな、なんてぼんやり帰宅準備をしていた時だった。
「…ねえ上鳴、アンタどうせ今日も暇でしょ。帰りマック行こうよ」
え?今耳郎から飯に誘われた…?
「ぅえ!?あ、え、じ、耳郎はいいん…?」
「まあもちろんアンタの奢りでね。アンタの所為で戦闘訓練負けたんだから。」
「あ、え、それはもちろん…!」
今までずっと断られてた耳郎と、それも向こうからの誘いで飯ーつってもマックだけど。誘われたことに意味があるからそこは置いといてーに行けるとは…!めちゃくちゃ嬉しいはずなのにそれ以上に驚きが大きいのと、何故かまたちくりと胸が痛んでしまって、少し複雑な気持ちだった。どうしたんだろうな、俺。
▲ ▼