どうも、生徒会執行部です


私立荒磯高等学校には独自の校則がある。
『校則第5条 本稿生徒会に在籍する「執行部」とは、知力・体力・正義心において秀でた在校生とに与えられる任務の称号であり、その証たる「執行部腕章」を所持する者は、校内の治安を守り抜く義務を負うとともに何人たりとも彼らの行動を侵してはならない』
その校則の元に動いているのが、生徒会執行部の面々なのである。






「のぅわっ?!」
「てンめっ女のクセに!!」
「女のクセに、っていうのは聞き捨てならないなー…そういうの、いっちゃんキライなのよね?私」

もう一発、回し蹴りを決めればそいつらが持っていた写真のネガが綺麗に弧を描いてかずちゃんの手の中に納まった。
よっし、これで回収完了って所かなぁ。これだけイタイ目見せておけばしばらくは懲りるでしょーし。

「相変わらず容赦ないわね、奏」
「悪いのはアッチでしょ?さ、帰ろーかずちゃん」

最後の一発で気を失った奴らにひらり、と手を振ってその場を後にする。これにて本日の公務は終了かなー…取り返したネガはかずちゃんが返しといてくれるみたいだし。
途中で彼女と別れて1人で部室に戻ると、そこにいたのは煙草をふかしている誠人くんだけ。ときとーと一緒かと思ってたのにそうじゃなかったんだ…珍しいなぁ。いつでも一緒の2人が別々に行動してるなんて。

「おかえり、カナ」
「ただいまー。ときとーは?」
「アイツは今、相浦達と別件で公務執行中」
「アンタは一緒に行かなかったの?」
「んー?時任がいれば問題ないっしょ」

まぁ、確かにときとーは強いけど…あれ?誠人くん以外、みーんなその別件に行ってるのよね?そしたらー…もしかしなくても彼が補欠にした藤原も一緒に行っちゃってるワケ?まだ執行部の正式なメンバーにもなってないのに?
それ、マズくないの?と問いかけてはみるものの、止める前に走っていっちゃったんだもんと言われた。いや、アンタがもん、って言っても可愛くも何ともないからね?のっぽの糸目のクセして。…それ言っちゃうと拗ねちゃうから絶対に声には出さないけどさ。

「べっつに誠人くんが決めたことだし文句は言わないけどさぁ…」
「なーに?お前ってホント、藤原のこと嫌いね」
「んー…なぁんかソリ合わないんだもん、アイツ」

それに誠人くんにべったりだしさー…気に食わん。

「ひょっとして妬いてる?」
「…妬いてる、って言ったらどーにかしてくれる?」
「少なくともカナのご機嫌取りは出来ると思うけど」
「んーじゃ、お任せしちゃおっかな」

唇が触れ合うまであと数センチ、という所で扉がガラッと勢い良く開き、藤原のうるっさい声が響き渡った。あの野郎、もう少しという所で邪魔をしおって…!
帰ってきたのは藤原だけではなく、別件の公務に行っていた全員がゾロゾロと戻ってきちゃったよ。いや、別に彼らは戻ってきてくれて全然構わないんだけどさ。気に食わんのは藤原だけだもの。
…あ、かずちゃんも戻ってきてる。誠人くんとちゅーしそこねた鬱憤を晴らす為に彼女に思いっきり抱き着けば、呆れた顔をしつつもひっぺ剥がしたりしないんだから優しいよねー。

「小鳥遊先輩!いー加減、俺の久保田先輩にベタベタするのやめてもらえませんか?!」
「こぉら藤原ァ!だーれがお前のモンだって?!」
「あーあ…また始まったわよ、あの2人。毎度毎度、懲りないわねぇ」
「ときとー短気だからねー」

見てる分には面白いけど、止めないままでいるとだんだん喧しくなってくるのよね。今の状態でもじゅーぶん喧しいんだけど。
抱きついていたかずちゃんから離れて定位置になっている窓際に移動。最近のお気に入り、ポッキーを口にしながら相も変わらず続くときとーと藤原の口喧嘩の行方をのんびり眺めることにした。これももう私達の仲では定番になりつつあるので、だーれも止めません。というか、気にするようなメンバーでもないんだけど。
本日の公務は終了だから室田や松原なんか帰り支度始めてるし、相浦に至ってはときとーが持ち込んだゲームで遊び始めてるんだから。ね?どーにも自由な奴らでしょ?…ま、私はコイツらのこーいうとこが好きで此処にいるんだけどねー。皆といると飽きないもん。
さーて、今日の口喧嘩は一体いつまで続くかなー。手や足が出たら完全にときとーの勝ち決定なんだろうけど、口喧嘩となると意外と藤原の方が強かったりすんのよね。

「つーかよ、くぼちゃんは小鳥遊のモンだから!ついでに俺のモンでもあるけどっ!」
「……はい?小鳥遊先輩のもの、ってどーいうことですか」
「あれ?言ってなかったっけ、俺とカナが付き合ってんの」

誠人くんが雑誌を読みながらしれっと爆弾発言をすると、藤原だけではなく他のメンバーまでビックリしたのかその話題に食いついてきた。食いつかなかったのも、ビックリしなかったのもかずちゃんとときとーだけ。…あれ?藤原はともかく、他のメンバーにも付き合ってること報告してなかったっけか?
誠人くんと2人揃って首を傾げると、部室内に大きな声が響き渡った。うーわ、見事な反応だなぁ。
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