小ネタ@


「ねー黒鋼くん」
「…何だ」
「いや、何だじゃなくてさ…これ、どういう状況よ?」
「ああ?んだよ、嫌なのか?」
「嫌なわけないけど、…キミにしては珍しいなぁって思っただけ」


だって、くっつくのはいつも僕からで…キミから僕を抱きしめてくれるのは、ほとんどない。気持ちが通じ合う前の方がされてたんじゃないか、ってくらいに。
それなのにこんな風にぎゅうぎゅうくっつかれてたら、気になるってもんでしょ?普通ならさ。


「嫌じゃねぇならもう少し好きにさせろ」

―――ぎゅうっ…

「はぁ、…別に好きなだけやってていいけどさ?理由くらい教えてくれてもいいんじゃないかしら?」


お腹にまわっている腕をポンポン、と優しく叩けば、うーとかあーとか…よくわからないうめき声が聞こえる。これは珍しく言い淀んでるんだなー。
何だろ…今日の黒鋼くんは何から何まで珍しい気がする。可愛いし、嬉しいから大歓迎だけどね。実は。ま、理由を言う気があるならもう少しだけ待ってみましょうか。
読み掛けだった本に目を戻してどれくらい経っただろうか。ポツリ、と…黒鋼くんが何かを言った気がした。本を閉じて視線を彼に向ければ、何故か耳まで真っ赤で。


「黒鋼くん?」
「ぜ、…絶対に笑うんじゃねーぞ…!」
「?うん」


耳元でボソリと呟かれたのは、彼らしくないとてもとても可愛らしい理由。


(お前に…置いていかれる夢を見た)
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