芸術家の不安定な秋
隣県との境を跨いだすぐの街に住む芸術家の一人が自殺をしたという報道は日々新聞やテレビを見ていれば嫌でも目に入った。死体が発見されたのはアトリエ、第一発見者となったのはアシスタントの一人だという。部屋の真ん中、無造作に床へ置かれた作品に手を添える形で横たわっていたと新聞やテレビには報じられており、ネット上では芸術家らしい最期なのではと騒ぎ立てられていた。「らしい」とはなんなのか、その生涯の最後である遺作は、芸術家の一生を綴り、その半生を注ぎ込んだ美しい作品だと。
人の死が美しいと言う人々の感性が、自分には理解できなかった。人の死はただの死であり、美の象徴などではない。
ましてや、あの作品が美だと語られるに値する価値のないものだと、本当は知っている。そう、自分こそが第一発見者であり、あの芸術家を間近で見ていた一人なのだから。世の中が美しいと評したあの作品はただ彼奴がイメージが上手くまとまらないと癇癪を起こして完成間際に自殺をしただけの作品だということを。それは新聞もテレビも知らない事実だ。
だけれど、これは自分だけに秘めておこう。あの芸術家の心はいつも不安定だったな…、寒くなったり暖かくなったりをゆらゆらと彷徨う、そうだ、
「まるでこの秋のように不安定だった。」
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