ひっく。

何回目だろうか。息を止めてみても、小指を耳に突っ込んでみても、コップを逆から飲んでみても、なかなかしゃっくりが止まらない。
止めることを放棄して出るだけ出していると、ソファーでくつろぐ伏黒が笑った。

「凄いですね」

「地味に苦しい。助けて」

油断している時に不意をついて脅かしてくれるだけでいい。今すぐに驚かせとは言わない。こちらも身構えてしまいそうだ。

「分かりました」

「ありがとう。ちなみにコーヒー飲む?」

飲みます。と返事が返ってきたので二人分コーヒーを準備する。お気に入りのマグカップとソーサーを取り出して上機嫌になる。その間もしゃっくりは止まらないのだけれど。

「おまたせ」

コーヒーのいい香りが部屋に広がる。ありがとうございますと微笑んで伏黒はコーヒーに手をつけた。

「このコーヒー美味しいよね。また買いに、ひっく」

しゃっくりが憎い。会話は強制終了され、少し恥ずかしさを感じる。一部始終見ていた伏黒はくすりと笑った。あまりにも優しい顔をしているものだから更に恥ずかしさが増す。

「結婚しよう」

真っ直ぐこちらの目を見て話す伏黒から目が離せない。驚かせとは言ったけど予想外すぎた。

「数年後もう一度言います。準備してて下さい」

しゃっくりの事なんて忘れた。
死角からのプロポーズは破壊力が凄まじい。




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