「いい加減、素直になりなよ」
五条の動きに合わせて綺麗な髪がさらりとこぼれ、花のような香りをふりまく。
とてもいい匂いだ。シャンプーの香りだろうか、はたまた五条の匂いなのか。理性がぐらりとするような香りに酔いそうだ。
「どうしたの」
同じ目線で、距離が一気に近付く。優しい顔と甘い声に、身体が熱くなるのがわかる。血が駆け巡り、心臓の鼓動が更に高まる。
「言っちゃえばいいのに」
五条の言う通り、言ってしまえば楽になる。この長い片思いに終止符を。
けれど、五条の家の事、足枷になる事、何から何まで悩みは尽きない。言いたい、言えない。
きっと、私と五条は同じ気持ちだ。
ずっと、昔からそうだ。お互いがお互いの気持ちに気付いていながら、それなりに経験して大人になった。
だからこそわかる。このラインを超えたら終わりだ。もう引き返せない。
「言えない」
じりじりと近付く五条の唇に、瞳を閉じて待機なんて可愛い事は出来なくて、じっと見つめる。一瞬一秒たりとも見逃さぬ様に。
「こんな時は目を閉じてよ。僕まで照れるでしょ」
余裕そうにしている五条が面白くなくて、重なる唇に噛み付いてやることにした。
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