「もうさ、呪術師とか補助監督とかそんな肩書き捨てちゃってさ、ただの雄と雌になって本能のままに求め合おうよ」
停車した車内を長い手足を器用に操り、馬乗りになってきた五条を見て頭が痛くなる。
私は五条悟に思いを寄せていた。好き。だけれど、それは芸能人やアイドルに向けるものに近かった。姿を見る、会話をする事が出来るだけで満足だった。笑顔が見れた日には仕事が捗る気がした。
「何言ってるんですか。冗談はよしてください」
「マジだよ」
がしりと掴まれた顎のせいで顔を背けることも出来ない。
宝石のように美しい瞳は静かに熱く燃えている。
喰われる。そう思った時には口付けされていた。べろりと這う舌が、固く閉じた唇をこじ開けようとしている。抵抗しているつもりなのだが、あっさり割って入った舌に口内を犯される。まるで隅々まで味わうかのように、入念に動く舌に突き放そうとする腕の力を奪われる。力が入らない。
「やめてください」
やっとのことで発した言葉も聞こえなかったようにジャケット、シャツのボタンと脱がしにかかる。
視界に映る頭頂部を、なんとも言えず複雑な顔をして見ていることなんてきっと五条は知らないだろう。
気持ちの整理も出来ず抱かれるまであと少し。
薄れ行く意識の中で憧れと好意を比較するが、そんなのもうどうでも良くて、容赦なく突き立てられた指に身悶えた。
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