「お前の処女奪った奴は誰だよ」
このムードでなんて事を言うのか。熱いキスをしながら絡まったベッドの上で話す内容ではない気がするが、相手が禪院甚爾なら仕方ない。
「学生の時、初めて付き合った彼だったかな」
「尻が軽い女だな」
荒っぽく脱がされ、顕になった頂に甚爾の舌が這う。反射的に仰反る体勢になり、もっと、と強請っているようで少し恥ずかしくなる。
「酷い言い方。どこかの誰かさんは女の元を転々としてるのにね」
「聞こえねぇな」
与えられる刺激にじわりと下腹部が熱くなる。するすると撫でながら敏感な所に辿り着いた指に、びくりとまた身体が跳ねた。
「もっと早く出会ってれば違ったのかもな」
「それは私の初めてが欲しかったって事?」
また甚爾は聞こえないフリをする。答えるつもりは無いのだろう。急に襲ってきた圧迫感に息が詰まる。
「ちょっと、挿れる時は言って……」
容赦なくがつがつと突かれ、快楽の波にのまれそうになる。覆い被さる甚爾の顔は涼し気で、少し悔しい。鍛えられた無駄のない綺麗な身体、それに整った顔。口元に傷はあるがそれでも美しい。
するりと傷をなぞると、伏せていた目は開かれた。
「煽ってんのか」
「優しく抱いてよ。愛おしむように」
「まるで愛してないみたいな言い方だな」
結局、腰を動かす速さは変わらないし、少し荒っぽく抱くのも変わらない。言ったところでいつも通りだ。
「私で最後にして」
「今はお前しか見てねぇよ」
降ってくる唇に、これ以上は喋るなと言われている気分だ。器用に絡めとる舌も、止まらない腰も、全身でそう訴えているみたい。
「出すぞ」
私がダメだと言ってもそうするくせに。どくりと感じた熱に目頭が熱くなる。
きっと私は最後の女じゃない。
「馬鹿……」
ベランダで煙草を燻らす背中が、愛しくて憎い。
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