「とりあえず生で」

会社の先輩は好きだ。仕事も出来るし、人付き合いも上手い。尊敬している。男の趣味を除いては。

「なんでだろうなぁ。私って本当に男運無さすぎ」

ハイペースでジョッキを空にする先輩にペースダウンを促すが華麗にスルー。数えるのは五回目で辞めた。

「先輩はダメンズウォーカーですもんね」

先輩は唸りながら居酒屋のテーブルに伏せた。

「あんたは彼氏作らないじゃん。やっぱり面倒くさくなったわけ?」

「そうですね。暫くはいいです」

人生何があるか分からない。どんなに好きでも一緒になれない事だってある。
もういっその事、自分好みの少年を育ててしまおうか。旦那候補として。それを言うと先輩は大笑いした。


♢♢♢


「お姉さんダレ?」

絵画から飛び出したような儚くも美しい少年が自分の部屋にいる。どうすればこの様な美しい人間が生まれるのだろう。国宝級、世界遺産なんて言葉が頭を過ぎるなか、どうやってこの部屋にと疑問が浮かんだ。今朝、いつもの様に施錠して会社に向かったはずだ。

「ここは?」

不安気な表情をするものの、どこか肝が座っており、子どもらしくない少年は数回会話をしただけで異世界かとぽつりと呟いた。

今日はとても気分が良かった。気持ちよく酔っている。夢を見ているのだろう。こんな面白い夢なら楽しむしかない。夢の中ぐらい自由に暴れ回っても問題ないと自分に言い聞かせ少年の頭を撫でた。

「一生面倒見るから大きくなったら結婚してね」

一瞬目を見開いたが、直ぐに少年は微笑んだ。

「いいよ。貰ってあげる」

その笑顔は恐ろしく美しかった。






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