(顕現→禁足→甘噛み)
「伏黒氏の食っていいぞは憧れますなぁ。なんかこう少し厨二心を感じて僕もしてみたくなりますぞ」
お昼を伏黒と主が珍しく共にしている。一人で寛いでいる所に主が押しかけたのが正解なのだけれど。一方的に話を続ける主はとても楽しそうだ。
「そう言えばお前、式神ずっと出してるけど平気なのかよ」
めんどくさそうな顔をした伏黒とばっちりと目が合った。確かに主と私はずっと一緒だ。自ら式札に戻る以外は召喚したままである。
「平気とは?僕はこれが通常モードなので良よく分かりませんな。玉藻ちゃんとは四六時中一緒ですぞ」
「呪力尽きねぇのかよ」
今度は憐憫の眼差しを向けられる。悲しくなるからやめて欲しい。大丈夫、辛くなったら式札に戻って適度にメンタル保っているから。
「玉藻ちゃん!」
勢い良く主が叫んだ。その瞳はキラキラと輝いている。この顔は良からぬ事を企んでいる時のものだ。
主は私と伏黒を交互に見てにやりとした。
「食っていいぞ!」
「てめぇ」
やはりこうきたか。伏黒ごめんと思いながらずんずん足を進める。主の指示を実行しないと後から制裁を受ける。制約と誓約がなんとか言っていたからそれだろう。痛いのは勘弁だ。拒む伏黒を全力で阻止する。
やっとのことで捕まえた伏黒は、もう抵抗する事を諦め大人しくしている。顔は物凄く怒っているが。
「食うってどうすんだよ」
実際に食べれるわけがない。ちらりと主を見ると親指を立てている。なんだそれは。仕方ないやるか。
かぷりと伏黒の首に噛み付いた。もちろん加減はしたつもりだ。うっと聞こえた声から、痛かったのかと申し訳なく思いぺろりと舐め上げた。
「ごめんね?」
「おい、もういいだろ」
赤面した伏黒が叫んだ。主は少し不服そうな顔をしている。
「えっちな展開は…ぐふっ…」
いたたまれない気持ちになり、主を殴って式札に戻った。
後で菓子折持って行く。無理やりにでも主に買わせて準備しよう。好みは全く分からないけれど、うんと高いやつを。
毎度毎度うちの主がすみませんと。
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