はじめに

まず皆さんがこのお話を読まれる前に、主人公に当たる私から、少しお話をさせてください。
初めまして。私はレヴェリッジ 土御門 リン 京華と言います。長いですけれど、これが私のフルネームなんです。でも普段からこう名乗っている訳ではなくて、日本にいる時は土御門 京華と名乗っています。どうしてこんなややこしい名前なのかは後々説明させていただきますね。
私は日本の鳳凰魔法魔術学院高等科に属する、れっきとした魔女の卵です。
鳳凰魔法魔術学院は、私の祖母の絹江が学院長を勤める日本で唯一の魔法学校です。英国で言うホグワーツのようなものだと思っていただければ大丈夫ですよ!
鳳凰には、初等科、中等科、高等科があり、学年ごとに、玄武、白虎、青龍、朱雀の4つの寮に分かれています。一般人(つまりマグルのことです)と同じで、初等科と中等科は義務課程、試験に受かれば高等科に入ります。3年間高等科で学んだ後は、そのまま就職するか、更に試験を受けて鳳凰魔法魔術学院大学に進学します。私は今、高等科2年朱雀寮に所属する、つまり高校2年生と言う訳です。ちなみに学校では生徒会長を勤めさせていただいてます。
次に、土御門家について説明しますね。
私の家、つまり土御門家は、明治時代には華族として認められていた程の名家(自慢みたいになってしまいますよね、ごめんなさい)であると同時に、偉大な陰陽師安倍晴明を祖とする安倍氏嫡流の家です。陰陽師として長きに渡り活躍した安倍氏流、その筆頭勢力こそが、土御門家なんです。
日本が明治に入り、文明化が進んでいくと、西洋が発祥の魔法・魔術も次第に日本に広まっていきました。陰陽術は元々魔法と同じ呪術の一種だったので、陰陽師として活躍していた土御門家の人間の殆どは内に魔力を秘めていました。
そういうこともあって、土御門家の人間は、代々魔女や魔法使いの家系であると同時に、陰陽術を使うこともできるのです。かく言う私も、魔女であると同時に陰陽師でもあります。神通力を使ったり、口寄せと言って神様を呼び出してその力を借りたり、式神を操ったり。魔法と比べると凡庸性には欠けますが、何より杖無しで行使できるのが陰陽術の凄い所で……。こほん。すみません、話が逸れてしまいました。
また、陰陽術だけでなく、日本は独自の魔法系統を持つことでも有名です。昔はアジア圏やインドの方にも独自の魔法スタイルがあったのですが、近年ではすっかり失われてしまいました。現代に独自のスタイルが未だ色濃く残っているのは、世界を見渡しても日本ぐらいのものなのです。
その日本独自の魔法系統の中でも特筆すべきものが、杖です。他国では、杖だと30センチほどのステッキ型が殆どですが、日本ではステッキ型に加え、扇子型、短刀型、場合によってはかんざし型や幣型なんかも存在します。私自身も、白雪と竜胆の花弁の舞う扇子型の杖を愛用しています。
次に、私の家族について説明します。
私の母は一葉かずは、父は雪人ゆきひとといいます。母は今は働いていませんが、過去に大学を首席で卒業したそうです。父は、日本の魔法政府内で大臣の補佐官をしています。年中忙しくしていて、休みの日でも緊急の呼び出しがかかることも多く、頻繁に会うことは出来ません。下には、5歳年下の初等科6年の清史郎せいしろうという弟が1人います。
母方の祖母は絹江きぬえ祖父はイギリス人でジムといいます。祖母は先述したように鳳凰の学院長をしていて、祖父の方はフランスにあるボーバトン魔法アカデミーの理事長をしています。
ここで、冒頭で述べたように、どうしてこんなややこしい名前なのかと言うことが出てきます。土御門家では、古くからの習わしというか慣習みたいなもので、きょうだいの内誰か1人が土御門の名字を継がなくてはなりません。ですが、幸いにも祖母には兄がいたので、祖母は祖父と結婚する時に、祖父のレヴェリッジの名字になることができた訳です。
そして、私が生まれた時、名付け親である祖父は、京華という名前とは別に、リンという英名もつけてくれました。これが、私のフルネームが長い理由です。
最後に、このお話について軽く説明させていただきますね。
物語は、私が高等科1年の秋頃から始まります。実はこの時ヨーロッパの方では、100年振りに『トライウィザード・トーナメント』──三大魔法学校対抗試合という催しをするために魔法省や学校が動き始めていました。参加校は、イギリスのホグワーツ、フランスのボーバトン、ドイツのダームストラング……の筈だったのですが、実は直前でフランスのマダム・マクシームが重い病に倒れてしまい、スイスにある魔法疾患病院に入院することになりました。これにより、ボーバトンは急遽この催しから参加を辞退します。
関係者が大慌てする中、理事長を勤めていた私の祖父が言いました。

「私の妻は日本の魔法学校の校長をしているのですが、ボーバトンの代わりに妻の学校を参加させては如何かな?他の学校だと急に言われても困るだろうが、ま、キヌエなら問題ないでしょう」

……という訳で、トントン拍子に話は進み、危険という理由で100年も開催されなかった危険な催しに、鳳凰が参加することになってしまうのですが……。おっと、ここから先は、是非お話を読んでくださいね!
だいぶ話が長くなってしまいました。以上で、私からのお話は終わりです。では、また本編でお会いしましょう!
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