もしも・・・@
もしも、龍之介が土方ルートの無傷で新選組に残っていて千鶴と出会ったら話
「あんた、そんな所でなにしてるんだ?」
「っ!?」
自分一人きりと思っていた千鶴は第三者の声に飛び上がらんばかりに驚いた。
幹部達は朝から出掛けていたため、少し部屋から出ても大丈夫だろうと庭に出て来た所だった。
振り向き声の主を確認する。
ぴょんぴょんと跳ねる癖っ毛の蒼い髪
琥珀色の瞳は訝しげに千鶴をい抜く。
自分と同い年であろうと思われる青年がそこに立っていた。
幹部達を紹介された時は彼は居なかった……ということは、平隊士……。
その事に思い当たった千鶴は、慌てた。
幹部である沖田に平隊士には、なるべく関わるな。話すな。と言われている。
沖田にこの事を知られたら……。
『……斬るよ?』
綺麗な笑顔と共に言われた言葉を思い出し、千鶴は震え上がった。
「おい!?大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!失礼しますっ!」
青年に頭を下げ、さっさと立ち去るべく千鶴は踵を返した。
「ちょっと待てって!」
部屋に戻ろうと千鶴は早足で歩くが、女の足で男に勝てるはずもなく、すぐ追い付かれ腕を捕まれた。
「は、離して下さいっ」
「あ、悪い……」
千鶴は、どうしようと思いながら懇願すると青年はあっさりと手を離した。
その事に驚き千鶴は青年を見上げるとバツが悪そうに視線を反らし、頭を掻く姿があった。
「原田に女には優しくしろって言われてたんだよな……」
ボソッと青年から呟かれた言葉は、千鶴の耳にも入る。
突然、飛び出した幹部の名前と女という単語に驚きながら千鶴は口を開く。
「原田さんをご存知なんですか?」
「え?まあ……俺もここの隊士だからな」
そうだった。と自分の失言に気付き千鶴は口に手を当てる。
「あ……す、すみません!」
「いや……!」
千鶴が勢いよく頭を下げると、慌てふためく青年。
千鶴か顔を上げると安心したように笑った。
「俺は、監察方の井吹龍之介だ。あんたの事は山崎から聞いて知っている」
その言葉にそういえば…と千鶴は数日前の事を思い出す。
『俺は山崎烝。実はもう一人監察方がいるんだが、今は手が離せなくてな。今度、時間が空いた時に連れてくる』
確かに山崎はそう言っていた。
彼がもう一人の監察方。
「それで、あんたはここでなにしてるんだ?まさか、逃げ出そうとしてたんじゃ……」
「違います!」
否定するために千鶴はブンブンと頭を振る。
「逃げようなんて思っていませんっ!……私はただ……」
千鶴は否定の言葉を言うが尻窄みになり俯く。
頭上で井吹がため息を吐き出した音にビクリと千鶴は肩をすくめる。
「あー……悪かった」
「え?」
千鶴が顔を上げると井吹と目が合う。
「部屋ばかりにいたら息が詰まるもんな……。だが、そろそろあいつらが戻ってくる頃だから、部屋に戻った方がいい」
千鶴は、井吹の目を見て、これは自分を心配して言ってくれているのだと分かった。
だから、素直に頷き口を開く。
「わかりました。部屋に戻ります……でも今日のことは……」
言いさして、井吹を見つめる千鶴。
その意味に気付いた井吹は優しく笑う。
「ああ。誰にも言わない」
「あ、ありがとうございます!」
千鶴が笑顔でお礼を言うと、井吹は驚いたように目を見開いた。
「それじゃあ、失礼します」
千鶴はぺこりと井吹に頭を下げると、踵を返して自室へ戻って行った。
「……綱道さんに、似てねえな……」
千鶴の後ろ姿を見ながら、井吹はポツリと呟くのだった。
あとがき。
もしも、井吹君が土方ルートの無傷で新選組に残っていて千鶴と出会ったら……という千鶴との出会い妄想話です。
ごめんなさい。かなり管理人の自己満足話です。
ここまで読んで頂きましてありがとうございました(^^)
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2013.03.15〜05.11
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