序章
落ちた釣鐘。
業火に焼かれる鉄の音と、己の肉の焦げる匂いが漂う。
何故、何故、何故。
頭を疑問が巡る。
違う、ただ側に居たかっただけだ。
キミを失いたくなかった。
ただ、それだけだったのに。
これは罰か。
それとも、祝福か。
「大丈夫。私ずっと側にいるわ。
貴方をずっと守ってあげる」
そろそろ火が消える。
長い苦しみが、やってくる。
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「…っつぅ…」
激しい痛みで目が覚めた。
無理矢理に体を起こして腹を弄ると、数刻前に流れ出た血は既に乾いている。
頭が酷く痛む。
気がつくと生暖かい血が、顎から滴っていた。
「チィッ…派手にやりおって」
頭部からの出血が目に入り、視界が鮮血の色で染まる。
どうせこの血もすぐに止まる。
傷口も知らぬ間に塞がっているだろう。
よろよろと錫杖に寄りかかりながら立ち上がりれば、法衣の裾が足に纏わりついた。
足が絡んで派手に倒れる。
「…くそ…あかん…か…」
ゆっくりと沼に沈んでいくように、意識が薄れていく。
そのまま御堂筋は暗く深い闇に意識を手放した。