愛されているかと問われれば頷くことはできるし、愛しているのかと問われれば自信を持ってイエスと答えることもできる。わたしはキヨに愛されているし大切にされている。わたしだってキヨのことが大好きだからキヨが嬉しいことはわたしにとっても嬉しい。それなのにわたしは傍から見ればかわいそうな人なのだという。理由はわかっているのだ。わかっていながら、わたしは今日もキヨの愛だけが欲しくて、他のことには耳を、目を塞いでしまうのだ。



「あんたの彼氏、また浮気してるんだって?」



うん、知ってる。






出会いをはっきりと覚えているわけではないけど、初めて見たキヨの笑顔は今と何も変わらずに、髪色とおなじくらいあたたかかったのは覚えている。付き合い始めをはっきりと覚えているわけではないけど、キヨがやさしいのは始めも今もおなじ。ずっとキヨは変わらなくて、やさしくてあたたかくて、わたしのことをとても大事にしてくれて、わたしをキヨに負けないくらいの笑顔にしてくれて、変わったことと言えば、わたしが泣かなくなったことくらい。キヨがどうしても止められない「浮気」を、見て見ぬ振りをするようになったことくらい。



「名前!」
「あ、キヨ」
「名前今日委員会でしょ?何時まで?」
「キヨの部活が終わる時間とおなじくらいだよ」
「やった!ラッキー!じゃあ一緒に帰ろうね!」
「うん!」



キヨに抱きしめられると、とってもいいにおいがする。わたしの頭を愛おしそうに撫でるから、わたしもキヨの頭を背伸びして撫でると、キヨは気持ちよさそうに目を細めた。かわいらしい表情に胸があたたかくなる。自分の身体のすべてから気持ちが溢れているみたい。生まれてきてから十数年しか経っていないのにこんなことを言うのはおかしいのかもしれないけれど、今が幸せのピークなんじゃないかって、それくらいに思う時さえある。それだけわたしはキヨのことが好きで、好きで、たまらなく愛おしくて、もうキヨなしじゃいられない。


キヨもそうだったらいいのに。
わたしなしじゃいられなくなればいい。


毎日毎日、そう願わずにはいられないの。




ALICE+