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――ねえねえ、知ってる?
D棟4階の旧図書館に出る幽霊の話。昔病気で亡くなったここの生徒の未練が住み憑いてるらしいよ。
何でも窓際の前から2番目の席に触れると祟られちゃうんだって。怖いよねェ…。
最近よく耳にするこの噂話。
W学校の怪談WやW七不思議Wといったものにカテゴライズされるそれは、その言葉とは裏腹に誰が話してもその声色はどこか楽しげに聞こえるような気がした。
所詮は校内でしか通用しない、内輪が楽しむ為のエンタメの一部。どうせすぐに風化され、また新しい噂話が持ち上がるのだろう…なんて冷めた頭で机に頬杖をつくのはポートガス・D・エース。高等部2年生のヤンチャ盛りである。
予鈴が鳴り、あと数分で次の授業が始まるという時だった。それまでぼうっと窓の外を見ていた彼が急に立ち上がったのを見て、近くにいた男子生徒が「あれ?エースどっか行くの?もう授業始まるぜ?」と声を掛けたのだが。
「あー…便所?」
「お前それぜってー帰ってこねェやつじゃん!」
ゲラゲラ笑う男子達に「センセーにはテキトーに言っといてくれよ」と笑い返して教室を出ると、もうエースの頭には今日はどこで暇を潰そうかという問題しか残らない。
ここ最近までのお気に入りだった中庭は、先日物理教師のクロコダイルに見つかってこっ酷く叱られた手前もうしばらくは行けまい。
駐車場裏は生徒指導のスモーカーの巡回ルートに入っている為こちらも難しい。
屋上は科学教師のシーザーが実験台にする生徒を探すべく張っていると聞く。
頭の中であらゆる場所にバツ印を付けて思いついたのは、先程教室で聞いたあのD棟4階の旧図書館だった。
眼前に現れ仁王立ちをするのは、このクラスの学級委員長を勤める女子生徒だった。
視線を少しだけ上げて「あー…委員長、何か用か?」なんてとぼけて見せるも彼女
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