クリスマス休暇の直前に、生徒たちにはホグズミード行きが許された。みんなそれを楽しみにして浮かれたけれど、カナはちっとも楽しくなれなかった。
フレッドはカナにチャンスを与えてはくれなかった。カナだってはじめはなんとかわかってもらおうと話しかけようとしたけれど、すべてうまくかわされるのだ。フレッドはそうとう怒りが深いようだった。それはカナのことも傷つけたし、周りもひどく気を遣っていた。そんなことを繰り返していると、さすがにカナの勇気も枯渇してしまった。
そんな感じなので、カナは毎日ぼーっとして、無感動に過ごした。口の中のマンドレイクの葉を舌で突いてもてあそぶほかに、なんの娯楽もなかった。葉っぱをうっかり噛んだり飲んだりしないようにしていたので食事だっておいしくないし、毎日会うパッドにもこんなことは話せなかった。
グリフィンドールの談話室でフレッドが友人とふざけ合っているのを見ると、頭の中が大鍋でかき混ぜられるような心地だった。なのでカナは授業以外のほとんどの時間を、マフラーとブランケットをきつく巻いて城の外で過ごした。校庭にはすっかり雪が積もり始めていたけれど、瓶に炎を閉じ込めて握っていると、いくらか寒さは平気だった。
「・・・・・・おーい、大丈夫?」
カナがパッと顔を横に向けると、セドリックが心配そうにカナのことを覗き込んでいた。カナはベンチに座ってぼーっとしていて、話しかけられていたことにも気が付かなかったらしい。
「元気がなさそうだね」セドリックは人の良さそうな笑みを浮かべた。「それに、今は本当に一人みたいだ」
カナはなんと言ったものかと、ぼんやりした頭で考えた。カナが変な顔をしていたんだろう。セドリックが見かねて、苦笑した。
「喧嘩でもしたのかい、その、彼と?」
「うーん」カナはあいまいな声を出した。「ぼく、フレッドを怒らせたみたい。でも、それが何だかわかんない」
「謝ったのかい?」
「何を謝ればいいのかわかんないよ」カナは首を振った。「それに、話を聞いてもくれない」
「強情だな」セドリックも困ったように言った。「なにかきっかけをあげないと」
「どうすればいい?」カナは聞いた。あんまりいいアドバイスをもらえるとは思えなかったけれど。
「うーん。もっと怒らせるとか?」セドリックも自分の言っていることがふさわしいとは思っていないようだ。
「あんまり傷つけたくないんだ。ただでさえ、ぼくはなにか間違ってるみたいだから」
カナは炎入りの瓶をつまらなそうに指でなぞった。セドリックはそんなカナをじっと見た。
「じゃ、きみの元気が出るようなことをするのはどうだい?」今度こそ、これは名案だとばかりにセドリックの顔がかがやいた。「今度のホグズミード。僕がきみを引率するよ。新しい友達ができるのも悪くないだろう?」
「うーん」カナは首をひねった。「ぼく、きみの誘いには乗れないよ。せっかくだけど・・・・・・」
「彼と約束してる?」
カナは頷いた。
「きみはとても誠実だね。ハッフルパフでも十分やっていけそうなくらい――ああ、こんなことを言われても、嬉しくないよね?」
「そんなことない」カナはセドリックの目をまっすぐ見た。「ぼくは忍耐強くはないし――グリフィンドールにはきみみたいな友だちはいないから」
セドリックは笑ってくれた。カナもつられてほほえんだ。
「やっと笑ったね」セドリックは立ち上がった。そして、カナが立ち上がるために手を伸ばしてくれる。「なにか手助けが必要だったら、いつでも言って。一人で寮まで帰れるかい?」
「うん。大丈夫」
セドリックの手を取って、カナは立ち上がり、言われたとおりに城の中へと戻ることにした。カナが廊下の角を曲がるまで、彼はこちらを見守っていた。初対面のときもそうだったけれど――セドリックはあまりに親切すぎる。
「それって、あんたの言い方がまずかったんじゃないの?」
その週末に、カナはフレッドとのことをガートに洗いざらいぜんぶ話した。さいしょは杖を振り回しながら面白半分に聞いていたガートは、だんだんと真剣な顔つきになっていった。きっと、カナの問題が根深いと判断したんだろう。
「いっそのこと、ディゴリーとデートに行っちゃえばいいのに。ウィーズリーがあんたのこと相手にしないのに、ばか正直に約束を守る必要なんてないよ」
「言ったでしょ、ぼく、傷つけたくないんだ」
「甘っちょろいんだから」
ガートはしょんぼりした様子のカナを見て、ため息をついた。
「あんたのその様子じゃ、いつか悪いやつに騙されて利用されるんじゃないかって、心配だよ」
肩と肩が、こつんとぶつかった。
「こんな思いをするなら、最初から付き合ったりなんてしなきゃよかった。友だちのままでよかったんだ――違う?」
「そんなの、結果論でしかないね。それに、一生喧嘩もしないでうまくいくカップルなんて、いやしないんだから――」
ガートにも誘われたけれど、カナはホグズミードに行くつもりがなかった。まだ楽しい気持ちになれそうにないし、おいしいバタービールも飲めないし、発散するほど持ち合わせもなかった。
「それじゃ、次の手順の確認をしておこう」
ガートは例の本を開いた。
「『手順その二――マンドレイクの葉を入れ自身の唾液で満たし、月光に照らした瓶に、次の材料を入れる。術者自身の頭髪を一本。七日間月光に当たらない露をスプーン一杯。ドクロメンダカスズメの繭』」口の中にマンドレイクの葉を忍ばせているとは思えないほど、ガートはよどみなく読み上げ始めた。おそらく、何度も目を通したのだろう。「この、蛾の繭はホグズミードで手に入るよ。『J・ピピンの魔法薬店』ではだいたいなんでも集めてくれるんだ」
「『七日間月光に当たらない露』っていうのが難しいね」カナは頬に手を当てた。「『禁じられた森』の日陰で手に入るかな?」
「こんな寒いのに、露が取れる?」ガートは肩をすくめた。「冬場に決行するのはあんまり向いてなかったかも・・・・・・」
「取れなかったら、また次に試せばいいよ。マンドレイクはここにあるし」カナは部屋の四隅の鉢植えを見た。すっかりアルコール依存症になったマンドレイクが、手足のような根を放り出している。
「次の満月は十二月末だよ」ガートがカナを見た。「繭はあたしが手に入れる。露はそれぞれ確保しよう。それと、手順の続きね――『材料をすべて入れた瓶を、暗く静かな場所に置く。雷雨の日が訪れるまで、この瓶は誰の目にも触れてはいけないし、日光に当てることは禁忌である』」
「それって、このホグワーツでどこに隠せばいいっていうの?」
「うーん。カナ、スリザリンの『秘密の部屋』は?」ガートが冗談っぽく言った。
「あんなところ、二度と行きたくないよ・・・・・・」
「ごめん、冗談だよ――この部屋を一人が使おう。二人とも成功するなんて思っていないからね」ガートは再び本に視線を戻した。「それから、手順その三。『雷雨になるまでの期間、術者はアニメーガスの呪文を、自身の心臓に向かって、日の出と日の入りに毎日唱える必要がある』」
「そんなの無理だよ」カナが嘆いた。「だって、日の出よりも早く起きないといけないじゃないか――それに、寝室には他の生徒もいるでしょう」
「そりゃ、そうだね」ガートは顎に手を当てた。「日の出に関しては、冬の方がやりやすいね。夏だとかなり早起きしなくちゃ。呪文を心臓に向かって唱える、か――寮をこっそり抜け出して、ここでやるっていうのは?」
「ガート」カナはヘーゼルの瞳を見つめた。「やるならぼくは真面目にやろうと思うよ、でも――こんなこと、うまくいくのかな?」
「やらなくちゃわかんないよ」ガートは目をきらめかせた。「失敗したって、病院送りになるだけ。あたしはその覚悟があるよ――あんたは?」
カナはガートのまっすぐな瞳に射抜かれて、なにも言えなかった。ガートはため息すらつかず、本を閉じて立ち上がった。
「あたしはやる。あんたがやらなくったってね」
カナは、図書館でアニメーガスについての文献を調べた。近年の登録済みのアニメーガスは七人で、その中にはマクゴナガル先生の名前が入っていた。
成熟した魔法使いですら、その修得を困難とする――そんなことをガートはやろうとしているんだ。去年から付き合っている訓練だけれど、いよいよ手段が明確になってくると、はたしてカナにやり遂げられるんだろうか、という不安がぬぐえない。頬の内側にぴったり張り付いたマンドレイクの葉が、いつでもカナにそのことを思い出させる。こんどの満月が、曇天ならばいいのに――と、思わざるを得なかった。
みんながホグズミードに行くためにそわそわと防寒着を着込んでいる、土曜日の朝だ。ひと気の少ないホグワーツを探検する絶好の機会だと思った。アニメーガスの薬品をつくるのに、陽の光の届かない、暗くて静かな場所を探さなくてはいけなかった。
朝食を終えて、カナは目についた階段や廊下を片っ端から歩き出した。ゴーストや肖像画とゆっくりおしゃべりするのはあんがい楽しかった――もちろん、話が通じないやつのほうが多いけれど。数年のあいだ誰も使っていない隠し部屋や倉庫があるかどうか、彼らにたずねて回った。多くは、カナが何をするつもりかと訝しんで教えてくれなかった。唯一、「わたくしの裏の小部屋を使うといいわ!」と、元気な歌う少女の肖像画がパカリと額縁ごと外れた。たしかに窓のない、埃っぽい暗い空間が奥に続いていたけれど、少女が昼夜問わず歌い続けるので、とてもじゃないけれど「静か」とは言えなかったので、あきらめた。
三階に降りたとき、ちょうど、自室からリーマスが顔を出しているところだった。
「カナ。ちょうどよかった」リーマスがにこやかに話しかけてきたので、気まずいと思ったけれど、気づかないふりで逃げるわけにはいかなかった。
扉の前で、リーマスはカナに目線を合わせるために中腰になった。むかし、ぼくらが幼い頃からそうしていたように。
「ホグズミードには行っていなかったんだね?」
カナは黙って頷いた。
「何も予定が無いんなら、今日、きみを誘って一緒に買い物をしようかと思っていたよ。けれど、休日だと思うとつい長く眠りすぎちゃってね――ほら――今年のクリスマス・プレゼントを、どうしようかって悩んでいたところなんだ」
胸が一気にパーッと温かくなる心地がした。リーマスが、一緒にホグズミードに行ってくれるって? カナにとって、それは何よりも嬉しいサプライズだった。それに、カナは一年生の入学時に、リーマスとロンドンを歩く約束を、かなえられていないままだったから――
「けれど、学校に残っているってことは、何か用事があったんだろう?」
「ううん! なんにもないんだ。ぼく、行きたいよ」
カナの返事を聞いて、リーマスはにっこり笑った。
「それじゃ、支度をして、玄関前で待ち合わせだ」
カナは、いま自分を元気づけるものは何もないと思っていた。でも、リーマスはその想像をやすやすと飛び越えて、カナの心の奥底にかんたんにタッチした――あわてて飛び込んだ寝室で、カナは肩掛け鞄をからっぽにして、いくらかの銀貨や銅貨の入った財布をポケットに入れて、マントとマフラー、そしてブランケットをつかんだ。寝室を出る直前、ラベンダーの全身鏡の前で、あわてて髪をなでつけた。
「ン。来たね」
玄関前に、すでにリーマスは待っていた。険しい顔のフィルチさんも横に立っていた。カナの全身をじろじろと観察し、ついでにリーマスのこともぐるりとひとにらみし、「行ってよし」とひどく不服そうに言った。
「カナは、クリスマス・プレゼントはもう用意したのかい?」
用心して歩くカナとははんたいに、雪道を難なく歩きながら、リーマスは言った。
「ううん。ぼく、誰かにプレゼントを贈ったことがないよ。だって、お小遣いをもらっていなかったんだもの」
「ンー、そうだったね」リーマスは頬をかいた。「それじゃあ、今年は友達にプレゼントするといい。ホグズミードには素晴らしい郵便局もあるしね・・・・・・」
ホグズミード村はクリスマス・ムード一色だ。前回のハロウィーンの日よりも、ずいぶんと多くの魔法使いや魔女でごった返していた。雲ひとつない陽光が、藁葺屋根に積もった雪をキラキラと照らしているのが、デコレーションみたいで綺麗だった。扉には立派なヒイラギのリースが飾られ、街路樹にはキャンドルやお菓子が飾られていた。「スピントウィッチズスポーツ用品店」の軒先には、逆さに立てた箒におもちゃが飾り付けられていて、カナは懐かしい気持ちになった。「がれきの城」にいたころは、そうやってクリスマス気分を味わっていたから。
カナは吹きつける風の寒さなんて気にならないほど楽しかった。雑貨屋で、リーマスがカナへの今年のクリスマス・プレゼントを決めかねていたので、小ぶりな懐中時計をねだった。
「時計は成人の祝いに贈るものなんだ」とリーマスが教えてくれた。カナはずっと時計が欲しかった――ガートの懐中時計や、ハーマイオニー、ハリーが腕時計を持っているのが羨ましかった。「マグルにはそういった風習がないんだね」と、リーマスも頷いていた。十七歳の成人祝いに必ず時計を贈ると約束して、ふたりは店内をぐるぐると歩き回って、ようやくカナが気にいる品を見つけた。金色の小さな蛇のアクセサリーだ。瞳には赤い石が嵌っている。腕に巻き付けばブレスレット、首に巻き付けばチョーカーだ。
「スリザリンみたいじゃないか?」とリーマスは言った。
「そんなことない。金色と赤色はグリフィンドールの色だよ」とカナはフォローした。それに、蛇には縁があるのだ――とまでは言わなかった。
カナはリーマスへのプレゼントに頭を悩ませて、店員の若い魔女に言われるがまま、ヒイラギの装飾がされたネクタイピンを購入し、包んでもらった。リーマスから「何を選んでくれたんだい?」と言い寄られたけれど、「秘密!」と答えた。中身が何かもわからないのに、リーマスはニコニコしっぱなしだった。
ハニーデュークスはホグワーツの生徒たちで溢れかえり、路肩にはみ出すほどの行列ができていたけれど、カナはリーマスと一緒だったので長い待ち時間も退屈しなかった。
アリシアやアンジー、同室の女の子たち、それからジニー、ガートにはハニーデュークス謹製の紅茶の詰め合わせを選んだ。一緒に、蝶や小動物の形をした動く紅茶用シュガーも合わせた。彼らは勝手に動くので、きっとティータイムにはひと騒動起こるだろう。
ハグリッドには例のシュガーとともに、リラックス効果のある茶葉を選んだ。彼は最初の授業以来、ずっと落ち込んで過ごしてあまり休めていないようだったから。
そして、パーシーには集中力が上がるとうたわれている茶葉を選んだ。すこし値が張ったけれど、彼は今年「N.E.W.T」、つまり、進路決定に重要な試験を受ける学年なのだ。パーシーよりも勉強を頑張っている魔法使いは、めったにいないだろう。カナの身近にハーマイオニーもいるけれど――とにかく、少しでもパーシーの役に立てたらいいと思った。
同級生の男の子たちにも、大きなバスケットに入ったお菓子の詰め合わせを選んだ。きっとクリスマス休暇中になくなってしまうことはないと思う――多分。
アーサーおじさんとモリーおばさんには、謝罪の手紙を送らなければと前々から思っていた。なかなか勇気が出なくて、すぐに行動に移すことができなかった。もうすっかり愛想は尽き果てていたかもしれないけれど、カナの気持ちの表明はしておこうと思った。野菜のたっぷり入った「不老不死ケーキ」なるものが気になって、リーマスと一緒に試食して――「意外といける」とわかって、それを包んでもらった。
残るはフレッドとジョージだ。カナはこれに一番頭を悩ませた。ジョージにだけプレゼントを贈って、フレッドに贈らないのもどうかと思ったし、かといってあれから話してもいないのにフレッドにプレゼントを送りつけるのもはばかられた。カナは結局――この問題を先送りにした。リーマスに相談するのは、なんだか気恥ずかしかったし。
試食でお腹をいっぱいにして、ようやく人気店の人ごみを抜け出して、カナとリーマスのふたりはベンチに座って休憩をいれた。両手にプレゼント用の箱や紙袋を抱えて、身動きがとりづらい。
「それじゃ、郵便局に行こう」
ホグズミードの郵便局には、何百羽というふくろうが頭上をひしめきあっていた。かわいらしいポストカードや、重厚な便箋も売られていた。みんなクリスマスの配達を予約したくて、職員は大忙しだった。カナは順番を待つあいだに、新作のクリスマス・カードを取って、ひとつひとつにメッセージを書いた。そして、ずんぐりした年寄りの男にひとつひとつ預けた。男は小鬼並に無口だったけれど、荷物を扱うしぐさはとても丁寧なものだった。
「カナ、寒くないかな?」
郵便局を出たとたん、冷たい風がぴゅうと吹きつけてカナのマフラーやリーマスのマントをあおった。
「バタービールは飲んだことがあるかい? わたしはあれが大好きでね――」
歩き出したリーマスの腕を、カナはあわててつかんだ。振り返って、リーマスは不思議そうにカナを見た。
「ン、どうかしたかい?」
「その、リーマス。ぼく――」カナははっきりしない様子で地面を見ていた。「前に、ぼく、酔っ払って――バタービールはフレッドのいるところ以外では飲まないって、約束したんだ」
笑われると思った。恥ずかしくて、カナは頬が真っ赤だ。バタービールで酔う魔女なんていないんだから――でも、カナが覚悟していた笑い声は聞こえてこなかった。恐る恐るカナが顔を上げると、リーマスは思いっきりにこにこしていたけれど、カナのことを面白がったりはしていないみたいだった。カナは手を離した。
「そういうことなら、今日はわたしも我慢しよう。うん、バタービールはいつでも味わえるからね」やけにうれしそうに、リーマスは歩き出した。「それじゃ、あそこのアイスクリームは食べたかい? むかしから絶品だったんだ」
「うん。フレッドがおごってくれたんだ」
「おや、先を越されてばかりだね」リーマスはちっとも気にしてなさそうに言った。
何を買うでもなく、ふたりは空があかね色になるまでホグズミードを歩いた。日没後には毎晩吸魂鬼のパトロールがされているという掲示を、みんな見たんだろう。その頃になると、ほとんどの生徒は帰路についていた。
カナは足がくたくたになったけれど、そんなの気にならないくらい、しあわせな気持ちだった。ひさしぶりに心から笑ったような気がする。リーマスはやっぱり、不思議な魔法でもカナにかけているんだろうか? そう考えるくらい、リーマスはカナを元気付けるのが、むかしから得意だった。
「リーマス。むかしはよく、ぼくらのことを両手に抱えてくれたよね」
帰り道、カナは昔話をした。
「ン、そうだったね。でも、もうずいぶん前の話だろう。きみたちがまだ箒にも乗れなかった頃だ」
こういう、リーマスと並んで歩く時、以前ならカナは必ずリーマスに手を引かれていた。カナはむかしからやんちゃだったから、どこに走り出すかわからなかった。
「まだぼくを担げる?」
「いや、無理だよ。きみはずいぶん背が伸びただろう」リーマスは笑って言った。
「すこしだけね。学年でいちばん背が低いよ。でも、爪と髪はよく伸びるんだ――」
「しかし、このあいだは彼が担いでくれていたね」ハロウィーンの夜のことだろう。切り裂かれた「太った婦人」を見るために、フレッドがカナを担ぎ上げてくれたのだ。「彼と違って、わたしは鍛えていないからね」
「じゃあ、いつかリーマスに子どもが生まれたら――ぼくがその子を抱っこしてあげるよ。ね、いいでしょう?」
リーマスは目をぱちくりさせた。カナがそんなことを言い出すなんて、思いもよらなかったんだろう。やさしく目尻を垂れさせて、リーマスは言った。
「ン――そうだね。カナに面倒を見てもらおうかな」
夕食を終えて談話室に帰ると、カナがすこしだけ雰囲気を和らげていたので、シェーマスやディーン、ラベンダーやパーバティが、今日ホグズミードでカナがリーマスと歩いていたことを聞き出そうとしていた。カナが思っていたよりも、教師と生徒の二人組は目立っていたらしい――
「カナ、ちょっといいか?」
そんなとき、ジョージがカナを呼び止めた。額縁の裏を通って(カドガン卿が、「逃げるな、立ち向かえ! 臆病者!」とふたりを囃し立てたが、無視して)、寮の入り口の廊下の中ほどまで、ジョージはカナを引っ張った。
「まあ、僕が何を言いたいかは、わかるだろ? 情けない話だけどさ、フレッドのやつ、ずっとむしゃくしゃしてるんだ」カナはすこしだけ目を丸くした。いつもジョージやリーと楽しく遊んでいるではないか――「いつもと変わらないって、そう思うだろ? 僕からすれば、それがおかしいんだよ。あいつ、どうかしちまってる」
ジョージは真摯な亜麻色の目でカナをみすえた。大きな手をグーパーさせて、カナに訴えかけた。
「今日、お前さんはルーピン先生とホグズミードを歩いてただろ? それ以来、あいつは余計にヘンなんだ。何か、爆発しそうで恐ろしいったら――明日から休暇だろ? ややこしくなる前にさ――カナ、あいつと話し合ってみないか?」
「フレッドがそうしてくれるなら、もちろんそうしたいよ」カナは沈んだ声で答えた。「落ち着いて話し合ってくれるならね」
「オーケー、カナ。感謝するよ。そんで――あんまり気に病むなよ」ジョージは穏やかに言った。「あいつが突っ走って、それで、おそらく、引き返せなくなってるんだ。意外とプライドの高いやつだって思うだろ? 僕も吃驚してるんだ――明日、家に着いたらおふくろにこっぴどく言われるぞ、きっとね――」
ジョージはカナの頭を軽くポンと叩き、「ここで待ってろ」とカナを置いて談話室に戻った。
夜の廊下は、さすがに手足が冷える。窓の木枠に、雪がわずかに降り積もっているのが見えた。ブランケットを持ってくればよかった。ハーッと指先に吐息を吹きかけた時、額縁が動く音がした。
カナは顔を上げなかった。足音がそばまで来て、目の前に、グリフィンドールカラーのブランケットが差し出されて、ようやく顔を上げた。あの、悲痛な表情のフレッドだ。久しぶりに、ちゃんと顔を見た。目の下にくまができている。
ブランケットを受け取った。さっきまで暖炉の前にあったんだろう。温かかった。フレッドは無言でカナを追い越した。行き先がひとつ向こうの廊下のベンチだとカナにはわかっていたので、ブランケットを体に巻き付けながら、カナも追いかけた。
三人掛けのベンチに、ひとりぶん隙間をあけて、ふたりは座った。目線も合わなければ、話し出すこともない。カナは背もたれに身を預けていたけれど、フレッドは浅く腰掛けて、前のめりに体を倒して指先を組んでいた。
「――ハックシュン!」
廊下じゅうに、盛大なくしゃみが響いた。フレッドだ。ローブだけで、防寒着を着てこないから――カナは体に巻いていたブランケットを、フレッドにつき返した。
「お前が持っておけよ」フレッドはそれを手で押しやろうとした。けれどカナも引かなかった。
「選手が風邪をひいたらよくないよ」
「お前さんこそ、寒がりだろ――」
ふたりはあきらめて、距離を詰めて、ブランケットを広げてお互いの膝に掛けた。太ももがくっついたぶん、すこしだけフレッドの体温も伝わってくる。
カナは手持ち無沙汰に、真紅のブーツの先どうしをくっつけていた。
「あのさ――」一度言葉が詰まって、フレッドは低く唸るようにため息をついた。「――カナ。僕といて、楽しいか?」
「楽しくなかったことなんてない」
赤毛の後ろ姿は、ぴくりとも動かなかった。
ふたたび、沈黙が訪れた。フレッドがうなだれて、がしがしと頭をかいた。
「この際、はっきり聞くけど」うつむいたまま、すこし声を張り上げてフレッドが言った。「カナ、お前、ルーピン先生のこと、愛してるだろ?」
カナはすぐには答えられなかった。フレッドは静かにカナの答えを待っている。カナ、今度は間違えないで――ちゃんと考えて答えるんだ。
「リーマスは家族だよ」カナは息を吸った。「だから、もちろん愛してる」
「そりゃ、ていのいい言い訳にしか聞こえないな」フレッドが振り向いた。目もとを赤くして、うるんだ目でカナを見た。「それならお前は、今日一日、どんな気持ちで彼について回ったんだ? 僕と行った時より楽しかったか? ルーピン先生はずいぶん羽振りがよかったか?」
「フレッド、落ち着いて話してよ――」カナは眉をぎゅっと寄せた。「――そんなの、比べられないよ。だって、きみとリーマスは違う」
「ああ、じゃあ、カナ。僕が思っていることをすべて教えてやるよ。僕はルーピン先生の代わりだ。あの人がホグワーツに来たから、僕は用無しになった。違うか?」
「違うよ・・・・・・」捲し立てるフレッドに、カナはとっさに気の利いたことを言い返すことができない。
「いいや。お前は結局、ルーピン先生がいちばん好きなんだ。僕はその代わりだ。手ごろで、近くにあった、使い捨ての家具ってわけだ。寂しくなったら、ブランケットでも持って潜りこめばいい。そしたらその場しのぎでも、温めてもらえるからな。違うか? お前が家出先で男遊びしてたのだってそうだ。スリザリンからなんて呼ばれてるか、知らないわけじゃないだろ。本当は誰だっていいんだろ――」
パシッ――乾いた、力無い音が、フレッドの怒号をさえぎった。カナが、喉を引き攣らせて息をきらして、フレッドの頬をはたいた音だ。
カナは何も――何も言えなかった。頭がぐちゃぐちゃで、フレッドが、カナにこんなにひどいことを言うとは思っていなくて――ただ、ぼろぼろと涙を流して、大きくしゃくりあげながら、カナは走るように談話室へと逃げた。「カドガン卿」の額縁に手をかけようとした、その時だ。
からだが、ガクンと後ろに引っ張られた。強く、腕を掴まれた――カナは一気に、あの夏に、九月一日に、ウォーレンがカナに追いついたあの日に引き戻された。
腰が抜けて――カナは引っ張られるまま、その場に崩れ落ちた。怖くて、これが、今までのはぜんぶ夢で、この男がフレッドじゃなくて、ウォーレンで、カナはまだあのアパートでくすぶっていて、何にも言えなくて、逃げられなくて、嫌いな男の足の間に頭を押し付けられる、その瞬間に戻るんじゃないかって――あるはずない妄想ばかりがカナの頭をあっという間に支配した。おなかがひどく、奇妙にふるえて、口の中が酸っぱくなって――フレッドがなにか言っているのも、カナの耳には届かなかった。「離して、助けて」と、カナは口から何か滴らせながら、そんなことを口走ったように思う。もう腕は離れているというのに。息もつけなくなるほど泣き喚いて、ひどく取り乱して――
「おい、ストップ。ストップ!」
ジョージの声だった。誰かがカナに腕を伸ばしてきて、カナはそれを突き飛ばそうとした。逃げようとした――「カナ、落ち着いて」アリシアの優しい声だった。
過呼吸になっているカナの背中を、あたたかい手がゆっくりと往復した。カナは目の前の誰かに、顔を押し付けた。
カナは少しずつ、吸ってばかりだった息を細く吐きはじめた。
「フレッドはどこ」
「いないわ」アリシアはきっぱり言った。
「こわいよ、フレッドはどこなの・・・・・・」カナはぎゅっとアリシアのローブをつかんだ。「フレッドのところにかえして・・・・・・」
「ええ。すぐに会えるから」アリシアは変わらずカナの背をゆっくりと撫でてくれていた。そして、やわらかな腕がカナを抱き上げて、談話室、そして寝室へと運んでくれた。カナは、いつのまにか意識を手放すように眠りに落ちていた。
カナが目覚めてカーテンを開けたとき、寝室はもぬけの空だった。いつのまにパジャマに着替えたのか、記憶がないけれど――その上にブランケットを引っ掛けて、呆然と談話室に降りた。
談話室もがらんどうだった。ただ、暖炉の前の特等席に、ハリー、ロン、ハーマイオニーの姿があるだけだ。
「カナ、おはよ。もう昼だけどね――なんだ、君もひどい顔だな」ロンは少し気を遣ったようにカナに声をかけた。「ハーマイオニーは起こしてくれなかったのか?」
三つもテーブルをつなげて、ハーマイオニーは教科書や参考書を広げて宿題に熱中していた。ハーマイオニーはこのところ、朝早くから夜遅くまで宿題を広げて、ずっと――ほんとうにずっと机にかじりついていた。
カナは何か返事をしようとして――ひどく喉がかすれていたので、ちいさな咳が出ただけだった。
「カナったら、かわいそうだったのよ。起こすなんてできないわ――」ハーマイオニーが小さな声で言った。たしかに、カナはあのあと、どうやって自室に戻ったか、いつのまに眠っていたのかも覚えていない。
ハリーだけが、何の話やらといったふうに、じっと黙り込んでいた。
「ハリー。カナったら、知ってるか? きのうも彼氏と大げんかしたんだ」
「ロン!」ハーマイオニーがたしなめた。
カナはゴブレットに水差しをかたむけて、それで喉を潤した。
「ジョージったら、カンッカンに怒ってたよ。もちろんフレッドにさ。あいつ、しょんぼりして帰ってった――」
「ロン!」今度こそ、ハーマイオニーがロンの話をさえぎった。
「いいよ、ハーマイオニー」カナはクルックシャンクスがベッタリと体を広げている目の前のソファーに座った。「ぼくとフレッドじゃ、『家族』の見解に違いがあるみたい」
「そりゃ、君の『家族』はリーマス・ルーピン。やつの『家族』はこの僕だからね」ロンが冗談めかして言った。
「まえに、死んだきょうだいの話をしたときは、同情してくれたのに――」
「えっ?」三人がいっせいに声を上げた。
「カナ、お兄さまがいたの?」ハーマイオニーがうわずった声で言った。
「うん。双子の――もう死んだけど」みんなが顔を見合わせた。
「ひとりっ子だと思ってたよ」「私もよ」ロンとハーマイオニーが息ぴったりに言った。
ハーマイオニーはいつのまにかカナの隣に来て、どこからか取り出したブラシで、絡まった黒髪をとかしはじめた。
「それじゃあ、カナ」ハリーが呆然と声を上げた。「きみが一年生の時『みぞの鏡』で見たのは――」
「死んだ家族だよ。きみと同じで」カナは振り返りもせず言った。いまはなにも考えたくないし、考えられそうもない。
「でも、きみのきょうだいは殺されたわけじゃない。そうだろ?」
「ハリー・・・・・・」ロンとハーマイオニーが気色ばんだ。カナはあんまり気にしていなかった。
「まあね。でも正直、シオンが死んだときの記憶はよく思い出せないんだ。ある日突然亡くなったってことだけ、覚えてる。だから、どうして死んじゃったのかはよくわかんない」
「カナ。もう話さなくていいわ」ハーマイオニーがカナを気遣って、やさしく言った。「私たち、ハグリッドの小屋にお出かけするところだったの。気分転換にどう? 一緒に行かない?」
「ううん、ぼく――お風呂に入ろうと思う」
こういう、マイペースなところが、二人がカナを「ひとりっ子っぽい」と思う所以だろう。
カナはひとりぼっちのバスルームで、狭苦しいバスタブに身を沈めた。外は雪が降っていた。熱いシャワーがカナの頭上から降り注いで、体を温めてくれた。
「ハァー・・・・・・」細く長いため息をついた。ぼーっと何も考えず、目をつぶって湯に浸るのは気持ちがよかった。ふだん、ほかの生徒がいたら、こんなにゆっくりと身を浸すことはできないから。
ガチャ、とドアの開く音がした。
「ハーマイオニー?」カナは聞いたけれど、返事は無かった。ハーマイオニー以外で、このクリスマス休暇中に女子寮に入ることができる人物はいないはずだ。もう遅いかもしれないけれど、カナは息を殺した。音を立てないように、棚の上に下着とともに置いてある杖をつかんだ。
ザアアア――と、シャワーの音だけが浴室にこだまする。カナは思いきって、杖を構えたまま、仕切りのカーテンを開けた。
「クルックシャンクス!」
いたのは、ハーマイオニーの猫、ジンジャーカラーのクルックシャンクスだった。知的な金色の目をくりくりして、カナのことを興味なさそうに一瞥した。そして、毛むくじゃらの四つ脚が濡れるのもかまわずに、シャワールームをくるりと巡回し、はめ殺しの窓枠に飛び乗って、前脚で引っ掻いたあと、すぐさま降りた。まるでパトロールをしているみたいだった。
「びっくりさせないでよ・・・・・・」
カナはつい、もしも、最悪の場合、シリウス・ブラックがとうとうグリフィンドール寮に侵入してきたのではと思った。そんなことがあるはずない――カドガン卿は、風に吹き飛ぶ葉っぱの裏表のように、合言葉を変更するのが好きなのだ。
ひらひらと雪が落ちていたけれど、「禁じられた森」でパッドはカナを待っていた。
バスケットからあたたかいコテージ・パイと、レンズ豆のスープを取り出すと、パッドは見るからにうれしそうに、薄灰色の目をかがやかせた。カナも昼食をかねて、パッドとスープを分け合った。
「これ、あげるよ」
カナは肩に巻き付けていたグリフィンドールのブランケットを、パッドにかぶせた。もともとカナの私物ではないが――寮内ではすでにカナの物ということになっていた。
「森の中は寒いでしょう――きみが猫だったらなあ。ぼくが寮で飼ってあげられるのに」
ホグワーツでペットとして飼える生き物は決まっている。その中でも、犬は許可されていない。パッドは口もとにスープのクリームをつけたまま、カナのことをちらりと見た。
「ねえ、猫といえば――」カナはマクゴナガル先生のみごとな変身を思い出していた。「パッドは『アニメーガス』を知っている? ぼく、いま、その練習をしてるんだ」
パッドの耳がピクリと動いた。カナはパッドが吃驚したと思ってくすくすと笑った。
「ぼくが動物に変身できたら、きみといっぱい遊べるね」
お腹が満たされたのだろう。パッドはカナのそばで体を伸ばした。カナはその背を、ブランケットの上から撫でた。
「ただ、ひとつ悩んでいてね。静かで、日が当たらなくて、誰の目にもつかない場所だなんて、ホグワーツにはないでしょう? だから、ぼく、きっとうまくいかない気がしてるんだ――」
カナがそう話すと、パッドは突然立ち上がった。そして、カナやバスケットも置きざりに、森の奥へと歩いて行った。カナが呆然とそれを見ていると、パッドがすこし引き返して、カナを見た。まるで、彼に「ついてこい」と言われているようだった。
カナは「禁じられた森」の中に入るのは二度目だった。一度目には、カナは「許されざる呪文」で襲われた。その経験もあって、「禁じられた森」はほんとうに危険で、うかつに近づいてはいけないのだとカナは学んだ。生徒が危険な目に遭わないように、森番としてハグリッドがいるのだ――いまは、カナのことを咎めに来たりはしないようだけど。
パッドは雪の届かないほど深い森へとどんどん歩いて行った。カナはすこし不安になった――パッドが、カナのことを危険にさらすとは思えなかったけれど。でも、杖を灯してもなお先の見えない森の暗さと、うねる木の根に足を取られることと、やけに静かなこの雰囲気を、怖くないと言える者がいるならここに連れてきてほしい――と、カナは思っていた。
パッドは、とある大木の根元で足を止めた。カナは杖明かりをパッドに近づけた。おおきな木のうろに、鍵のかかった扉がつけられている。カナはそれをよく観察した。
「アロホモラ」
扉の鍵は呪文で難なく開いた。ぽっかりと空いた湿った空洞がそこにあり、さらにその地面にも、取っ手のついた跳ね上げ扉がついていた。そこも白く錆びた錠前が引っかかっていたけれど、こんどは鍵が刺さっていた。カナは鍵を回して、錠前を取り外し、跳ね上げ扉を開けた。
まるで、カナが持っているバスケットを押し込めたように、くぼんだ地面が隠し収納になっていた。いったい誰がこんなところに、厳重に鍵を掛けてまで収納を作る必要があったんだろう――知性のある種族が、ここに大切なものを隠していたんだろうか。何年も使われた形跡はなかったけれど、不思議と中は綺麗だった。
「パッド、きみ、どうしてこんなものを知っているの?」
期待を込めたように淡い色の目をキラキラさせて、パッドはカナを見ていた。
「とにかく――すばらしいよ。ぼく、ここを使いたい。いいでしょ?」
パッドはワン、と返事をした。快諾してくれたようだ――パッドのもとの飼い主も、きっとこの森に詳しかったんだろう。どうしてこの子がひとりぼっちになってしまったのかはわからないけれど、今はカナに信頼を示してくれているようだ。
「もしかして、ブランケットのお礼だったりする?」
まるい目をくりくりと瞬かせて、パッドはもと来た道を引き返す。カナはあわてて、もとあったように扉に鍵をかけた。杖明かりを再度灯して、カナもそれについていった。歩きながら、木の幹に印を残していく。今度は、一人でこの場所まで来れるかどうかわからないな――なんて思いながら。
20240614