翌日、朝食へと降りる前にハリーとハーマイオニーから話を聞き出した。ハグリッドが第一の課題について教えてくれたそうだ。これでカナの胸のつっかえも取れた――それに、マダム・マクシームやカルカロフ校長もドラゴンのことを知っているのだという――
「そうだ・・・・・・カナ、カルカロフのことだ」
「カルカロフがどうかしたの?」
「静かに」ハリーは周りを見回した。「シリウスが言ってた。カルカロフは元『死喰い人デス・イーター』だ。あいつはムーディ先生にアズカバンに入れられたんだ。でも、仲間の情報を話す代わりに釈放された――あいつが自分のお気に入りの生徒に闇の魔術を教えてる可能性があるって、ダームストラングの生徒にも十分気をつけろって、そう忠告してくれたんだ」
「そう」カナは深く息を吸い込んだ。
「ええ、でも、まず先に考えるべきことがあるわ」ハーマイオニーの言葉に、カナは表情を引き締めた。「カルカロフのことよりも――いまはドラゴンになんとか対処する方法を見つけないと――」
 ハーマイオニーが大広間の扉を開けた。しかし、カナはその扉の取手を大慌てで引っ張った――なぜなら、目の前、大広間の入り口に、ポルターガイストのピーブズがゆらゆらと逆さまに浮かんでいて――にやにや笑いを浮かべるその頭には、昨日のカナの無くなったショーツがすっぽりと収まっていたからだ。
「あのバカ!」カナは小さく口ごもった。
「カナったら、どうしたの?」
 ハーマイオニーが呆気に取られている背後を、上級生が追い抜いていった。
「やあ、カナ、おはよう。通ってもいいかい?」
 しかも、友人をたくさん引き連れたセドリックだった。セドリックはハリーも一緒にいるのを見ると、すこし表情をこわばらせたけれど――「通ったらダメ」なんて言えるわけもなく、カナは汗をダラダラ垂らしながら、大広間の扉が開かれるのを見た――
アクシオ!
 扉が開かれたその瞬間、カナが叫ぶと、ものすごい勢いで懐に目的のものが飛び込んでくる――たしかに昨日のショーツだ。カナはそれを腕の中におさめて、柱の影に逃げ、座り込んだ。
「どうしたって言うの?」
 ハーマイオニーが追いかけてくるけれど、カナは心臓がバクバク鳴りっぱなしでそれどころではない――何人の生徒が、教師が、ピーブズを目撃しただろう――ピーブズはカナのことを喋ったのだろうか――フレッドはなんて――
「おまぬけ、色ぼけ、エリオット!」
 ピーブズのはしゃいだ下品な歌声に、カナはぐりんと振り向いた。両手をバラバラと動かし、ケタケタとお腹を揺らして笑うその醜悪な顔に、カナは全身がカッと熱くなる。
「今日は違う男を引き連れてる――」
黙って、ピーブズ! バカ! デパルソあっちいけ
 杖を突きつけると、ピーブズは「おおぉぉぉ――」と叫びながら、城の壁を突き抜けてどこか遠くへと飛んで行ってしまった。その光景を、ハーマイオニー、ハリー、そしてハッフルパフの一団が呆然と眺めていた――やがて、またがやがやと移動が始まる――カナは手の中にぐしゃぐしゃと丸まった下着をポケットに突っ込むと、またその場に座り込んだ。
「さいあく――」
「カナ、大丈夫よ。誰も見てないわ――ねっ、ハリー?」
「えっ、ああ――」ハリーはどぎまぎしたように言った。「うん、そうだ。何にも見てない――」
「もう何も言わないで!」
 カナはとうとう大広間に入ることができなかった。一人とぼとぼと玄関ホールを出て、階段の途中に座り込み、ハーマイオニーたちが出てくるのを待った。

「君、何してるんだ?」
 数十分風に当たり続けて、さいしょに話しかけてきたのはシェーマス、ディーンと一緒のロンだった。
「べつに」
 カナがそっけなく言うと、ロンは二人に先に行くよう言い、カナの隣に座った。
「フレッドと仲直りしたんだって?」
「ああ、うん。したよ」カナは心ここにあらずといった感じだ。
「なら、何をたそがれてるんだ?」
 カナは、一瞬ロンに聞こうかと思った――さっきのピーブズを見た? と。でも、すぐにその考えを振り払った。そんなことを聞いたら、あれが自分の下着ですと言っているようなものじゃないか――
「まさか、パンツを盗まれた生徒って君か?」
 思わず、カナは顔を真っ赤にして鞄でロンの背中に殴りかかった。ロンは立ち上がってカナの猛攻から逃げ、階段の下まで降りていった。
「おい、ウソだろ。マジで?」ロンも頬を赤らめながら、でも面白がっているようだった。「僕は冗談のつもりで言ったんだ!」
「ひどいよ」恥ずかしさでうるんだ目で、カナはロンを睨みつけた。「あっち行って。誰かに喋ったら許さないから」
「わかったったら。おお、怖いぞ。じゃあね、授業にはちゃんと来なよ」
 軽やかな足取りでロンが行ってしまうと、後ろからハーマイオニーが小走りでやってきた。
「はい、カナ。トースト持ってきたけど、いる?」
「ありがと・・・・・・あれ、ハリーは?」
「それが、朝食の途中で行っちゃったの。たぶん、セドリックに教えに行ったんだと思うわ」
「な、なにを?」カナは動揺しながら聞いた。
「ドラゴンのことよ!」ハーマイオニーが小さな声で言った。「あなた、どうかしたの? さっきから変よ」
「いや、いつも通りだよ」カナは薬草学の授業のある三号温室に行きしな、トーストをかじった。

 スプラウト先生は「フラッター・ブッシュ」の剪定を生徒たちに指示した。低木には鮮やかな蝶々のような花弁が咲いていて、それがひらひらとはばたくように動くので、簡単に「ちょうちょ草フラッタービー」とも呼ばれていると、先生は話した。
 カナがその動き回る花弁を切ってしまわないようにと苦戦して鋏を差し込んでいると、温室にハリーが駆け込んできた。先生に謝ってから急いでカナとハーマイオニーが並ぶ低木の目の前にやってくると、息もきれぎれに、ハリーは二人を見た。
「お願いだ」
 二人がきょとんとしていると、ハリーは真剣なまなざしを二人に向けた。
「二人とも、助けて欲しいんだ」
「ハリーったら、私たち、これまでだってそうしてきたわ」
 ハーマイオニーも小声で答えた。すこし心配そうにハリーを見ている。ひらひらと動き回る花弁越しに、ハリーがずいっと身を乗り出した。
「『呼び寄せ呪文』を明日の午後までに完璧にしないといけないんだ――僕は、ドラゴンに箒で立ち向かう」

 授業を終え三号温室を飛び出したその足で、三人は手近な空き教室へと入った。昼食の時間には間に合わないかもしれないけれど――そんなのは後回しだ。
「あー、まず」
 カナが杖を持って教壇に立った。ハーマイオニーが「カナの『呼び寄せ呪文アクシオ』に『追い払い呪文デパルソ』は見事だったわ。お手本を見せてあげたら?」なんて言うので、しかたなくだ。
「呼び寄せたいものを思い浮かべる。姿形、重さ、手ざわりなんか・・・・・・詳しくわかればわかるほどいい。とにかく、その物体をはっきりと思い浮かべて、集中する」
 練習したのは二年生の頃だ――ガートに言われたことを思い出しながら、カナはハリーに説明した。
「呼び寄せたいものが目に映っているのなら、それをじっと見る。ほら――アクシオ」
 杖をふるうと、いつもの肩掛け鞄が弾け飛ぶようにしてカナの元へと飛んでくる。すこしのけぞりながらもそれをキャッチして、カナはハリーに向き直った。
「大きさや重さは関係ない。はっきり思い浮かべられるものならなんでも呼び寄せられる。もしも対象が目の前になくて、どこか遠くにあるのだとしても、ちゃんと集中していれば大丈夫。たとえば――アクシオ、リップクリーム!」
 つぎの瞬間、今度はカナの手の中に、しっかりと真珠色のケースのリップクリームが握られていた。
「これ、ぼくのトランクの中に仕舞ってあったものだよ。ほんとは厨房から魔女かぼちゃジュースの瓶を呼び寄せたかったけど、どんなふうに収納してあるのか知らないし・・・・・・」
「カナ、完璧じゃない!」ハーマイオニーが感激して言った。「ハリー、今の見てた? カナの言う通りで、どこに、どんな風に仕舞ってあるのか想像するの。そうしたら、ファイアボルトだって呼び寄せられるの」
「ああ・・・・・・ああ、オーケー」
 ハリーの特訓が始まった。まだ中途半端な呼び寄せ呪文では、教科書や羽根ペンが教室の空中で糸が切れたようにころりと落ちてしまう。
「ハリー、集中して。集中するの」
「これでも集中してるんだよ」
 ハリーはムカムカしているようだった。床に落ちたハリーの私物を、教室の向かい端に立ったカナが「アクシオ」でまた引き寄せるのを、うらめしそうに見ていた。
「ドラゴンがどんなに恐ろしいやつかって、そんなことばっかり考えてしまうんだ・・・・・・よし、もう一回だ」
 ハリーがどんな恐怖に立ち向かおうとしているのか、カナは想像できないわけじゃなかった。
「きっと、バジリスクよりマシだよ」
 カナはハリーを励ますつもりで言ったけれど、ハリーの眉間の皺の数は変わらなかった。
 それから――たった一時間の練習では、まだハリーの手の中に何も収めることができなかった。ハーマイオニーが腕時計をチラリと確認した。
「午後の授業が始まっちゃうわ」立ち上がって、ハーマイオニーは鞄を抱えた。「ハリー、そろそろ行かないと」
「僕、占い術なんかにかまけてる暇はないよ」
「私はそうじゃないの」ハーマイオニーはきっぱりと言った。「数秘術の授業を空けるわけにはいかないわ」
「きみはどうだ?」
 ハリーの視線がカナに向いた。カナだって、マグル学に出席しないわけにはいかない――でも、ハリーの助けにもなりたい――
「マグルのことなら、僕が教えるから」
 カナはハリーの熱心な目に押し負けて、頷こうとした。その時――
おまぬけ、色ぼけ、エリオット!
 ピーブズの裏返った声が教室内に響いて、三人は飛び上がった。
「授業をサボって、お楽しみ――」
ピーブズ!
 カナは二人を押し出して、空き教室から飛び出した。ハリーは練習を中断するはめになって心底落ち込んでいたけれど、ハーマイオニーが励ました。
「ハリー、きっと大丈夫よ。気持ちを切り替えていきましょ・・・・・・」
 とはいえ、カナだってまったく授業に集中できなかった。バーベッジ先生に「話電pholetone」のダイヤルの仕方を聞き返すと、クラスのみんなに笑われた。
「惜しいわね、ミス・エリオット。電話telephoneよ!」
 教えてもらったものの、カナはちっともそれを覚えられなかったし、受話器を逆さまに持ったので、隣の席でガートがあきれていた。それに、ホグワーツでは「電化製品」は不思議と使えなくなるそうで、カナはうまくいったのかどうかがちっともわからなかった。
 授業が終わると、挨拶もそこそこにカナは教室を飛び出し、夕食へと急いだ。ハリーもハーマイオニーも同じ考えだったようで、ミートパイをかぼちゃジュースで流し込み、再び空き教室へと忍び込んだ。
 秘密の特訓は深夜まで続いた――もうすこしでハリーがなにか掴めそうだという時に、またもやピーブズが妨害しに教室へと入ってきた。「そんなに物が欲しいなら投げつけてやろう」と高らかに言い、椅子を投げつけ始めたので三人は逃げざるを得なかった。フィルチさんが物音に気づく前にと、ハリーの「透明マント」をかぶり、グリフィンドール塔へと戻った――もう真夜中の十二時を回っていた。
「誰もいないわ。ラッキーね」ハーマイオニーが息を弾ませながら言った。「もう少し練習できるわよ」
「ハリー、大丈夫だよ。あとすこしだ。リラックスして――」
 そして、深夜の二時を回った頃。ハリーの足元には、物だかりの山ができていた。教科書やノート、羽根ペンにインク壺、椅子も数脚、古いゴブストーンのセット、ネビルのヒキガエルのトレバーまで呼び寄せた。
「よくなった、ハリー。それもうんとね」
 ハーマイオニーが疲れ切った様子で言った。でも、嬉しそうにしていた。
「うん・・・・・・これから僕がうまく呪文を使えなかったときに、どうすればいいのかわかったよ」
 ハリーはマグル学の教科書を抱え上げた。カナがそれを「アクシオ」で引き寄せると、ハリーが頷いた。
「ドラゴンが来るって、脅せば良いのさ。それじゃ、やるよ――」
 ハリーが杖を上げた。
アクシオ! 教科書よ来い!
 カナの手の中から、教科書が飛び出していった。談話室をまっすぐ横切り、ハリーの手の中にすっぽりと収まった。
「できた! できたよ!」かんぺきな呼び寄せ呪文だ。カナも嬉しくなって、ハリーに駆け寄った。
「ほんと、できたわ、完成よ!」ハーマイオニーとカナは手を取りあって喜んだ。
「明日うまくいけばいいけど」ハリーが心許なげに言った。「ファイアボルトはずっと遠くにあるんだ・・・・・・城の中から競技会場まで呼び寄せないといけないだろ」
「関係ないわ」ハーマイオニーがきっぱりと言った。「きちんと集中すること、それだけよ。そうすればファイアボルトは飛んでくるわ」
「とりあえず、ぼくたち寝よう」カナがあくびを噛み殺しながら言った。
「ええ、ハリー。呼び寄せ呪文がものになった今――あなたに一番必要なのは、睡眠だわ」



 火曜日は、学校中が緊張と興奮で張り詰めていた。カナだって例外じゃない――魔法史の授業があっという間に終わり、いつの間にかランチの席に座っていた。午前中がすっぽりと抜け落ちたようで、おかしな感覚だった。
「よう、順調か?」
 フレッドが隣に席をとりながら、カナたちに声をかけた。カナはにこりと微笑んだけれど、ハリーは上の空で「ああ、うん」と声をあげるだけだ。
「ハリー、応援してるからな。しっかりやれよ!」
「うん、ああ」
「ハリーったら緊張してるんだ、この上なく」カナがフォローすると、フレッドが肩をすくめた。
「まあ、そうだろうな」
 そのとき、マクゴナガル先生が急ぎ足でやってきた。ハリーを呼びにきたのだ――大広間じゅうの視線がハリーに突き刺さっている。
「ポッター、代表選手はすぐに競技場に向かわなければばりません・・・・・・第一の課題の準備があります」
「わかりました」
 ハリーはほとんど手をつけていないスープの皿にスプーンを落としながら、ぎこちなく立ち上がった。
「ハリー、がんばって。きっと大丈夫よ!」
「必ず成功するよ!」カナとハーマイオニーもそっと声をかける。ハリーは「うん」と上擦った返事をしたっきり、消えてしまいそうな背中で大広間を出て行った。
「カナ、いいかい? 俺たちもそろそろ行くぞ」
 ふと、後ろから声がかかった。ハッフルパフのヴィヴだった――そうだった。カナも準備して、救護テントに待機しなければならないのだ。
「うん、行くよ」カナはかぼちゃジュースのゴブレットを急いで飲み干した。
「あいつ誰だ?」フレッドが言った。
「フレッドに言ってなかった!」カナは立ち上がりながら言った。「ぼく――救護チームに入ってるんだ。マダム・ポンフリーのね。だから、一緒に応援できないんだ――ごめんね!」
 フレッドの返事を待たずに、カナはヴィヴのあとを追った。大広間の入り口のあたりでワンダ兄妹とも合流し、四人は玄関ホールでマダム・ポンフリーと一緒になった。
 冷たい風に吹かれながら、禁じられた森の周りをずいぶん歩いた。ノエムがくたびれたような声を出したとき、目の前に分厚い木の柵が見えてきた。よく見ると、いくつも柵が張り巡らされ、大きく囲われているようだった――きっと、この奥にドラゴンがいるに違いない。カナはこくりと唾を飲み込んだ。四人とも、緊張した面持ちでマダムについていく。
 目の前にテントが張られていたけれど、マダムは通り過ぎた。
「代表選手たちが待機するテントです・・・・・・わたくしたちはもうひとつ奥へ」
 二つ目のテントにはマダムの作業台が置かれ、大きな布で仕切られていた。中には簡素なベッドが置かれ、怪我人が休めるように、スペースが四人分準備されていた。
「ミス・エリオット。大鍋に火をかけておいてくださいな」
「はい」
 カナは言われた通りに、大鍋を作業台の上に置いた。
「消毒薬が大量に必要になるでしょうから。材料はそこの戸棚に持ってきているのです。ええ、それです――鍋にかけておいてくださいな」
「火加減は絞っていいんですか?」
「ええ、蓋をしておくように」
 杖で火壺を突いて、カナは火をできるかぎり絞った。ノエムがそれを見て、「フーン」と唸った。
「あたしにだってその程度ことはできるわ。マダム」
「ミス・ワンダにミスター・ワンダ。選手のスペースをカーテンで囲ってくださいますか? 今朝まで悩んでいたのですが、やっぱり目隠しがあった方がいいわ・・・・・・」
「お安い御用よ!」
 ノエムは軽やかに杖を振り、大きなカーテンが飛び出してくる。エノスがそれをピッと杖で引っ張って、あっというまにカーテンを垂らしていく。
「ミスター・オニール。あなたはわたくしの影武者をお願いします」
「ええ、マダム」
 すごいな――と、カナは大鍋をかき混ぜながら思った。チームでなにか行動するというのは、なにか役割を持つというのは、言い知れぬ胸の高鳴りをカナにもたらした。何か自分が、物語の人物にでもなったような気分だった。それに、いつも一人でてきぱきとあっという間に患者を治療してしまうマダム・ポンフリーが、他の誰かと、それも生徒とともに治療の準備に取り掛かる姿というのは、新鮮だった。心なしか、マダムの表情がいつもより活き活きしているようにも見えた。
「なつかしいですわね。なんだか、まるでセントマンゴ時代のようですわ――」
 マダムがそうこぼしているのを、カナはこっそり聞いていた。

 まもなく、会場に大勢が入ってくる足音や話し声が聞こえてきた。観戦にきた生徒や教師たちだろう。カナはそっとテントから顔を出した。囲い地をぐるりと囲むように客席が敷かれ、そこに群衆が入っていく。一人一人の顔は見えないけれど、競技が始まるのが待ちきれないといった、期待と興奮に満ちていた。まるで、クィディッチ・ワールドカップの試合直前の雰囲気に似ていた。
「すごいものね」
 カナは肩を跳ねさせた。カナの頭上で、ノエムも会場を覗き込んでいた。金色のピアスが音を立てて揺れた。
「みんな、大きな怪我をしないといいけど」
 意外だった――勝手気ままなノエムが、選手たちの身を案じているのが。カナが目を丸くしていると、ノエムがふっくらした唇を歪めた。
「なによ。あたし、変なこと言ってないわよ」
「いや・・・・・・ノエムが選手を気遣うなんて、と思って」
「どういう意味よ?」
 さらに背後から、吹き出すような笑い声が聞こえた。エノスだった。めずらしく、垂れた目尻に皺を寄せて、破顔していた。カナはまたもや唖然とした。エノスがこんなに幼なげに笑うだなんて。
「ノエムは心配性なんだ。こう見えても」
「『思慮深い』と言って。エノス!」
「ずいぶん楽しそうだな」
 ヴィヴがテントから歩き出た。三人を振り返り、手招きした。
「ほら、出てこいよ。もう始まるぞ」
 カナたちもテントから出る。ヴィヴが見上げた客席スタンドの中央に、ダンブルドアが立っていた。
「皆の衆! よくぞお集まりくださいました――只今より、三大魔法学校対抗試合トライウィザード・トーナメントの第一の課題が始まる。皆の者、心して、試練に臨む選手たちを応援なされよ。では――」
 ホイッスルが鳴り響いた。少しして、スタンドから大歓声が降ってくる。選手が会場入りしたに違いない。
「さあ、第一の課題が始まります! 一番手の選手はホグワーツ校、セドリック・ディゴリー君」
 ルード・バグマンの実況が森の中に響いた。
「セドリック! がんばれよ――」ヴィヴがそわそわと足を揺らした。
「まったく、ドラゴンだなんて!」いつのまにか背後に立っていたマダム・ポンフリーが囲い地の柵をにらみつけた。「選手の競技が終わったら、あなたがたはテントの中へ。それまではそこの柵を眺めていてもらってかまいませんよ」
 マダムはいやみたっぷりに言って、自分はテントの中へ戻った。カナたちは、柵が高くて競技の様子は見えないものの、バグマンの実況に耳を澄まして、囲い地の中で何が行われているのか把握しようとした。
「対する標的はスウェディッシュ・ショートスナウト・ドラゴンです! 選手たちは、雌が守る巣にまぎれた金の卵を手に入れなければなりません! さあ、ディゴリー選手はどう出るか――」
 カナはこくりと息を呑んだ――スウェディッシュの熱い鼻息が、風に乗って響いてきたからだ。みんな、黙りこくって柵の向こうを見つめた。向こう側で群衆が、悲鳴をあげたり叫んだりしていた――「おおーっと! 危なかった、危機一髪!」「これは危険な賭けにでました! どうだ――」「うまい動きです――残念、だめか!」バグマンの臨場感たっぷりの実況は、不安をあおった。ドシン、ドシンと地響きがテントを揺らすのもよくなかった。
 そして、十数分も経った頃、突如大歓声が響いてきた。
「ディゴリー選手、ほんとうによくやりました!」
 バグマンの上擦った声が聞こえた。セドリックは金の卵を手に入れたに違いない。あわてて、四人はテントの中に引っ込んだ。マダム・ポンフリーが入れ替わるようにテントを出て、セドリックを迎えに行った。カナはそわそわしながら、大鍋を火からおろした。硝子の大瓶に中身を移してしまうと、蓋をした。
 同時に、セドリックがテントの中に入ってきた。その手には金色の卵を抱えていたけれど――ローブが焼け焦げ、頭と上半身にひどい火傷を負っている。
「まったく、ドラゴンなんて! ミスター・ディゴリー、こちらへ」マダムが押し込むように、カーテンで仕切られたスペースへセドリックを押し込んだ。「ミス・エリオット、消毒をひと瓶。ミスター・オニールは軟膏を」
 カナはさっき閉じたばかりの大瓶を持ってカーテンの中に入った。セドリックの状態は重症と言ってよかった。端正な顔の半分は見る影もなく、そこへ容赦なくマダムが消毒液を浴びせていく――くぐもったうめき声が痛々しく、カナはそっとカーテンから出た。
「大丈夫か?」
 ヴィヴがすれ違いざま、カナを気遣った。カナは黙って頷きながら、ワンダ兄妹のもとへ戻る。ふたりはまたテントから顔を出して、囲い地の様子を伺っていた。
「次、あなたのお友達のデラクール嬢よ」ノエムが振り返りもせず言った。
「お友達ねえ」カナがため息をつくように言った。
「また火傷の準備をした方がよさそうだ。ウェルシュ・グリーンの火炎はよく延びるから」エノスはテントへ引き返した。セドリックのカーテンをぺろっとめくり、中の様子を確かめている。そして、状況をマダムへ伝えているようだ。
 そして、囲い地のほうでは何度か悲鳴があがる瞬間が続いて、とたんに静まり返った――十分ほどが経過すると、ひときわ大きな歓声が聞こえてきた。フラーが金の卵を手に入れたのだろう――しかし、再び悲鳴だ。その時。
「ミスター・ワンダ、一人目の患者さんを看ていてください」
 マダムが声を張り上げた。エノスがセドリックのカーテンへと入っていくと、ちょうど、マダムとヴィヴがテントの外へと歩き出た。フラーがやってくるのを察して、交代にきたのだろう。カナとノエムは引っ込み、カナはまた消毒薬の大瓶を手に取った。
 フラーは疲れ切ったような表情で歩いていた。手と足に火傷を負っているようだけれど、セドリックよりは軽症なようだ。
 カナもマダムの後ろについて、消毒薬を渡した。あとはマダムとヴィヴがやる。
「今度はクラムとチャイニーズ・ファイアボール・ドラゴンよ」
 ノエムが教えた。とたん、「なんと大胆な!」とバグマンの声が響き、チャイニーズの鋭い悲鳴が空気を震わせた。
 クラムの挑戦は、十分もかからなかったのではないだろうか。金の卵を抱え、ずんずんと迷いなくテントへ歩いてくる姿が見えた。
「ミス・ワンダはボーバトンの選手を看ていてください。彼は――」
「軽症のようですね。ずいぶん騒がしかったわりには」
 マダムとヴィヴが出迎えるけれど、クラムはそれを拒んだ。しかしマダムが意地でも診察をしたがり、カーテンの向こうで押し問答が繰り返されているのが、カナには遠くに聞こえた。
 いよいよ、カナは心臓が口から飛び出てしまいそうだった――ハリーの番だ。
「さて、最後の挑戦は――最年少、ホグワーツからハリー・ポッター選手です!」
 群衆が上げたのは、歓迎するような声ではなかった――けれど、カナにはよく聞こえていなかった。カナはただ、テントの入り口で、不安そうに、ただ囲い地の柵を見つめていた。
「対するは、最も危険なドラゴンと称される、ハンガリアン・ホーンテールです。ハンガリアンの炎は最も攻撃的であり、その巨大な尻尾の破壊力も、並のドラゴンとは比べ物にはなりません――」
 中で何が起こっているのか、カナにはまったくわからなかった。ドラゴンの姿だって見れないし、競技の状況も不明だった――でも、今日の競技で唯一、見えたものがあった。
 見慣れた姿だ。くしゃくしゃ頭の少年が、箒に乗って、すばやく空中に飛び上がったのが見えた。ハリーだった。ハリーが、ファイアボルトをきちんと呼び寄せたのだ。
「ハリー、やった!」
 カナが小さな声で言う。ハリーはそのままゆらりと旋回し、そして、急降下した。また見えなくなる――ハンガリアンの低い唸り声が響く。
 ハリーは何度か空中高くへ戻り、ドラゴンを翻弄しているように見えた。急降下したとき、悲鳴が客席から上がった。
「おっと、ポッター選手、大丈夫か!」
 カナは汗で湿った手をつよく握り込んだ。後ろから「ミス・エリオット、選手の看護に回ってください――聞こえていないようね、ミスター・オニール、お願いします」とマダムが言っているのも、本当に聞こえていなかった。カナの耳は、囲い地の中から発される音だけに集中していた。
 何度目かの急降下のあと――会場から爆発したような歓声が上がった。カナは浅く息を吐き、心臓のあたりを抑えた――全力疾走のあとのように、ドクドクと早鐘を打っている。
「最年少の選手が、最速で金の卵を手に入れました!」
 カナはただそこで、ハリーが歩いてくるのを待った――そして、まもなく小さな影が見えた。腕に金色の卵とファイアボルトを抱えて、ローブの肩のところが裂けていたけれど、しっかりと自分の足で歩いて――
 ハリーがカナを見つけると、ニコリと笑みを浮かべた。カナは、もうたまらなくなって駆け出した。
「ハリー!」
 カナが飛びつくと、あわてて箒を手放したハリーが受け止めて、勢い余ってクルリと回転した。
「よかったぁ・・・・・・」
 涙声が聞こえると、ハリーもぎこちなくカナの背中をたたいた。
「僕、うまくいったよ」
 ハリーも息を弾ませながら言った。顔を上げると、とても――とても満足そうに笑っていた。カナも嬉しくなって、胸が詰まって言葉が出なかった。こくこくと頷いていると、後ろからぐいっと襟を引っ張られた。
「患者さんは治療が優先です!」
 マダム・ポンフリーだった。目をきゅっと吊り上げて、ハリーを連れていってしまった。
 置き去りになったファイアボルトを手に取り、カナも胸を撫で下ろしながらテントに入る。ちょうど、エノスがカーテンから出てきたところだった。
「エリオット」そして、カナに声をかけてきた。「これを塗り足してやってくれ。あと治すべきは顔だけだ。僕はノエムを連れ戻さないと――デラクール嬢となんか揉めたらしい――それじゃ」
 そう言ってカナに軟膏壺を手渡すと、エノスは森の方へとテントを出ていった。テントの入り口に箒を立てかけて、カナは「セドリック、入るよ?」と声をかけて、カーテンをめくった。
 セドリックは起き上がっていた――上半身を露出したままの彼が、気まずそうにカナを見ていた。
「あっ、ごめん」
 カナはあわてて後ろを向いた。セドリックが、「いや、僕こそごめん」と言い、布擦れの音が続いた。
「僕たち、こんな会話してばっかりだ」すこし可笑しそうに、セドリックが言った。「もういいよ」
 カナは振り返った。エノスが準備したのだろう、新しいローブに袖を通したセドリックが、カナをまっすぐ見ていた。その顔の半分は、いまだに火傷で引き攣れている。カナはまだ気まずい気持ちで、ぎこちなく軟膏壺を開けた。
「これ、顔にもう一回塗るんだって」
「わかった。頼むよ」
 セドリックが目を伏せ、髪をかき上げた。カナはオレンジ色のベットリとした軟膏をガーゼに取り、むきだしの額に乗せた。
「まだ痛む?」
「いや、痛いのはとっくに終わったよ。あとは痒いだけだ」
「それじゃ、掻いたりしないように手足を縛らなきゃ」
「嘘だろ?」
 セドリックが突然目を開けた。向こうもびっくりしたようで――思っていたより顔が近いせいか、セドリックは黙ってふたたび目を伏せた。
「――うん、冗談だよ」
「きみが言うと、ぜんぶ本当のことみたいだ」
「どういうこと?」
 カナは笑ったけれど、セドリックは笑わなかった。なんだか――カナはこのぎこちない空気が、あまり得意ではなかった。なんというか、普段の自分とは違う感じがするから。
「はい、終わり」
「ありがとう」
 顔の半分にベットリと軟膏を乗せたセドリックが、片目を伏せたまま器用に微笑んだ。
「セドリック、いったいドラゴン相手にどうやったの?」
「それが――僕はあまり作戦を考えられなかった。どうするべきか、行き当たりばったりみたいなものだった。まえに、きみが探してた本を読んでたから、哺乳類を好むことは知ってた――だから、岩をヒツジに変身させたんだ」
「岩をヒツジに?」
「ああ。でも、途中でやつの、スウェディッシュの気が変わったんだ。巣のほんの近くで見つかって、それで、このざまだ」
「でも、ちゃんと課題をクリアしたし、すごいよ」
「最善を尽くしたつもりだ」
 その時、カーテンの向こうからマダム・ポンフリーの声がした。
「ミスター・ディゴリー、傷はどうですか? バグマン氏が、選手用のテントへ集合するようにとおっしゃっていますが――」
「ええ、僕なら大丈夫です。マダム・ポンフリー」
 セドリックが立ち上がった。まだ引き攣ったような表情で、カナを振り返った。
「それじゃあ、また」
「うん」
 セドリックが出ていったあとにカナもカーテンを出た。すると、じっとりと目を細めたヴィヴがそこに立っていた。
「フーン?」
「どうしたの?」カナは首をかしげた。
「いや」ヴィヴはすこし意地悪そうに、口角を持ち上げた。「おもしろいと思っただけだ――いや、なんでもないさ」
 ヴィヴは杖を振ってカーテンを外していく。患者――選手たちは全員捌けたらしい。カナも落ちたカーテンを集め、ひとまとめにしていく。
「点数を聞いたか? 校長たち三人と、審査員の二人が十点満点で評価する――セドリックは怪我したからな。評価は辛口だった。デラクールはうまくやってたみたいだが、警戒を怠ってうっかり鼻息がかかっちまった。クラムも早かったが、怒ったチャイニーズが暴れて、本物の卵を踏み潰しちまったらしいんだ――ドラゴンキーパー的には、損失なくやつらを野生に返すつもりだったんだな。クラムはそれが原因で減点されてたが――現状トップだ」
「ハリーの点数は?」
「いま発表されてるだろう――見てこいよ」
 促されて、カナはテントから出た。囲い地の柵のすきまを探して歩いていると――そこに、なんとハリーとロンが並んで立っているのが見えた。
「あっ!」
 カナが声をあげると、二人とも振り返った。そして、カナを見つけるとにっこり笑った。
「やっと元通りってわけ?」
「君にだけは言われたくないな」
 カナの言葉に、ロンが軽口を飛ばした。
「なあ、見ろよ、カナ。カルカロフのやつ、ハリーに四点しか出さなかったんだぜ? クラウチは九点もくれたってのに」
「どこ?」
 ロンが指差した、囲い地の柵の隙間から、金色の幕が張られた審査員席が見えた。そこに、ハリーの点数が浮かんでいる。八、九、九、十、四――五〇点中、四〇点だ。
「ハリーが最高得点だ! クラムと同点」ロンがぐにゃりと表情を歪ませた。「カルカロフのやつ、あからさまな依怙贔屓さ。クラムより高い得点させたくなかったんだよ」
「それで充分だ」ハリーはなごやかに言った。「生きてるだけでね」
「違いないね」
 カナとロンが同時に言って、やさしい笑いを誘った。



 すべてが終わって、ハリー、ロン、ハーマイオニーとカナの四人は、フクロウ小屋へと足を運んでいた。シリウスへ、ハリーの勝利の知らせを送るためだ。その道中に、ハリーはカルカロフに関する話をロンに聞かせた。
「なるほどね――最初からそれを疑うべきだったな。僕は、ハリーの名前をゴブレットに入れたやつはこの試合に乗じて君が死んでもいいと考えたんだと思うよ」
「それがカルカロフだって?」カナが聞くと、ロンは鼻息を荒くした。
「辻褄が合うだろ? マルフォイがホグワーツ特急で言ってたんだけど、あいつの父親、カルカロフと友達らしいぞ。つまり、あのキャンプ場で仮面を被って仲良くしてたんだよ」
 カナは気分が重くなった――ルシウス・マルフォイがカルカロフと同じ死喰い人デス・イーターなのだとしたら、マルフォイ家と縁のあるガートの家も、当然あやしくなるだろう。
「もしカルカロフがハリーの名前を入れたんだったら、今ごろ拍子抜けしてるだろうよ。たくらみが失敗したんだから。君はうまくドラゴンを対処して、かすり傷ひとつで済んだ!」
 カナとハーマイオニーがぴょんぴょん跳ねて手を伸ばしていた空中を、ロンの長い腕がバシッと掴んだ。その手にはピックウィジョン――ロンのちいさな豆フクロウのピッグが握られていた。
「ほかの課題は、絶対あんなに危険じゃないさ。だって、ドラゴンより危険なものがこの世にどれだけあるんだ?」
 ハリーが手紙を足にくくり付けるあいだ、ロンはピッグを握っていた。
「僕さあ、ハリーが本当に優勝できると思うよ、いや、マジで」
 窓際へ大股で歩きながら、ロンが言った。
「ロン、ほんとに言ってるの?」カナが非難するように言った。
「モチのロンで」
「ぼくは、ハリーが生きてさえいてくれればいい」
「ええ、同感。この試合が終わるまで、先は長いわよ」ハーマイオニーが、壁に寄りかかって腕組みしながら言った。「あれが第一の課題なら、次は何がくるのやら、考えるだけで嫌だわ」
「君って、太陽みたいに明るい人だね。つまり、トレローニー先生といい勝負だ」
 ロンがくるりと振り返った。にんまりと頬を吊り上げて、ハーマイオニーの機嫌を誘っている。
「ぼく、思うんだけど・・・・・・ハリー、優勝しないほうがいいんじゃない? だって、たぶん、モテモテになっちゃうよ」
 ロンがつんのめって、ピッグを窓から放り投げた、ように見えた。墜落したかと思われたけれど――さいわい、ピッグは空中で持ち直し、せわしなく羽ばたいていった。
「君、何言ってるんだ? どうかしちゃったの?」
 目をまんまるに見開いたロンが、心配そうにカナを見た。
「だって、ねえ? ここに来るまでにさ、聞いた? 廊下ですれ違うたびに『わあ、ハリー・ポッターよ、カッコいい』だってさ。あの五年生、三年間何を見てたって言うの? ハリーは今までだってずっとカッコよく空を飛んでたじゃない――」
「言えてるわ」ハーマイオニーがちょっとおもしろそうにハリーを見た。「多分、クィディッチに興味がなかったんでしょう」
「そんな魔女、いないよ」
「僕はまだ十四歳だ」ハリーが不満そうに言った。「優勝したところで、さしずめ、イギリス魔法界じゅうのファンから手紙が届くだけだ――これ・・の」
 ハリーは自分の額を小突いた。ロンがそれを見てプッと吹き出す。
「そんなことないでしょ」カナが負けじと言った。「セドリックは三年生の頃から女の子に人気があったわけだし――」
「カナ」ロンがとげとげした声で言った。「今あいつの名前を出すなよ――思い出しちゃうだろ、頭にドラゴンの火がついたあいつの姿――」
「もう、ロン!」
 ハリーとロンはクスクスと笑い合う。でも、カナとハーマイオニーも、ゆるく笑ってそれを許した。
「それだけ、ハリーのことを肯定的に思う人が、増えたってことよ」
「さーて」ロンが階段を軽やかに駆け下りながら言った。「君のサプライズパーティーに行かないとな。今ごろ、フレッドとジョージのやつらが厨房から食べ物をどっさりくすねてきてるはずだ」



20250526


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