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 俺は、神だ。
 白い衣に身を包み、人々の理想、思想をただ一方的に押しつけられるだけの存在。
 絶対的で尊き存在。
 頭のおかしな奴だと思うだろう? だが、この国の人々は、それを信じているのだ。
 死者を弔うことができる唯一の存在だと。実際に力があるのだから、あながち間違いではない。
 俺は、嘲笑に似た乾いた笑みのまま国を見下ろした。
 神に自由はない。



 上り始めた陽を浴びながら、欠伸を一つ。
 起き抜けに陽は眩しくて仕方がない。
 素木の懸造りの舞台で柵に凭れ掛かりながら、煙草に火を付けた。咎められそうな行為だが、それを諫められる者はいない。
 国を一望できる場所だから居座っているのではなく、ただ単に空が見えて開放感があるから喫煙所にしているにすぎない。
 揺れる煙が目の前に見える絶景をぼやけさせる。煙草を口に含む回数は少ない。これを好んでいるのは、味でもなく、毒性でもなく、ただ端に視界を煙らせてくれるからだ。
 目の前の国が嫌いだ。それでも、煙草を口に咥えてしまうのはやはり、依存性によるものだろうか。
 唇から煙を吐き出す。色素の薄い髪をかき上げた。
「お召し物でございます」
 愛想のある声がいつの間にかそこにいて、白い着物を差し出された。
 起き抜けということもあり、億劫だ。今着ている白の寝間着と何が違うのかねと思いながら、「んー」と返事をすると煙草を口にくわえて帯を解く。白い寝間着を脱ぐと、外気が肌に触れて開放感を覚える。
 煙草を指で挟んで吸って、肺から吐き出す。白い煙を吐き出すと、落ち着かない何かが胸の底に収まった感覚がした。
 気持ちの視点が少しだけ切り替わる。
 鈍色の長襦袢の袖を通すと、ふと思った。
 随分と自由が効くようになったなぁ。
 腰紐を結び、白い長着を羽織る。
 以前は、こんな外から見える場所で着替えなどあり得なかった。
 許されるようになったのは、アレがあったからか。
 帯をさっさと結び終えると、煙草を深く吸い込んで色々な感情と一緒に吐き出した。
「朝餉の支度ができております」
 何かを察したのか、そうでないのか、今週の子は優秀だ。煙草を咥えながら「はいはい」とくぐもった生返事をしつつも、煙越しにその子を見て、ふいに考えが浮かんだ。
「……いや、今日は占術やるわ」
 思い出したようにその予定をぶち込んだが、目の前の子は嫌がるどころか、瞳を輝かせる。いつもなら御膳の殿へ向かうところを、歩む方向を変える。慌てて羽織を渡され袖を通す。相変わらず、裾が長い。
 昼間に過ごす場所である殿へ移ると、静華が「石にしますか?」と尋ねてきた。
 静華とは、目の前の子のことで神に直接仕える者の総称だ。
「いや、今回は皿と水だ。用意してくれ」
 頷いて畏まりましたという返事を聞いて、殿の真ん中へと座り込む。ほどなくして、台に乗った平たい大皿が運ばれてくる。
 白群色の細かい模様が描かれた皿。水を静かに注ぐと、波が静まるのを待って、用意された紙をそこへ入れた。紙は水を吸って沈んだかと思うと、水面が桜色に染まる。
 静かに見守っていた静華が、表情には出さないものの、残念そうな顔をした。それに心の内で苦笑すると、皿の水面が急に漆黒へと変わった。その変化に一瞬で静華の瞳が輝く。しかし、黒一色の水面に心配になったらしい。
「これは、怖い暗示ですか?」
「いや、悪い感じはない」
 どちらかと言えば……と言葉を噤み、引き寄せられる漆黒に男は目を細めた。
「救いだ……」
 占術の結果、全てを覆う漆黒に、救世を感じる。
 先見の答えを告げると、静華の表情が嬉しそうに崩れた。その顔に、胸の奥が何やら動いて、腹の底が重くなる。でも、それが表に出ることはなかった。
 皿の水面が元の桜色へと戻り、やがてただの透明な水になったのを確かめると、「めしにするわ」と立ち上がった。
 塵一つない殿を出て、渡り廊下を渡る。 風が吹き、桜の花びらが舞い上がる。視界が桜色に染まったかと思うと、再び風が花びらを弄んで連れ去っていった。建物と建物を結ぶ渡り廊下。目の前には国が広がっている。
 ――神聖アリヴェ。
 死者を弔う神が在る国。海に面した豊かな土地と、薬学が進み、信心深い国民により国が成っているとされてきた。しかし、神と国民の関係性に均衡が取れていたのは昔のこと。
 国民は神へ依存するようになった。感情すら持たなくなった者も増え、国は活気を失った。
 そして、いつの頃からか、桜の花びらが降り始め、それは降り止まなくなった。降り続く桜の花びらは、雪のように積もり、 雪景色に似た景観を作り上げた。が、淡く色付いたそれは消えることなく残っていく。静かに舞い散るその様は、まるでこの国の崩壊を案じているようだった。
 はらはらと落ちる花びらは、いつだって物悲しい。
 否、多くの問題を抱えたこの国は、本当に静かに緩やかに、破滅へと進んでいる。それは誰もが気づいていることだ。でも、現状を変えようとはしない。
 瞳に桜の色を映しながら、死者を弔う当代の神である淑静も、最悪な結末を感じながらも、見下ろせる国から目を反らした。
 淑静とは、弔いの神の総称だ。神として選ばれた瞬間から、本当の名も失い、淑静という皆の思想の元に縛られる。
 重苦しく思う頃も過ぎた。心に何かを思うこともない。
 淑静が渡った後の廊下に、降り止まない桜の花びらが散った。



 朝餉を済ませ、何をするでもなく、昼になった。
 曇った空の下、降り続ける桜を視界に入れながら、煙草に火を付ける。
 空気を曇らせるように、吐き出して、心にある黒い靄を腹へ落ち着かせる。悪を肺へと送り込むように、吸い込めば、目の前の罪悪を軽くできる気がした。
 焦点を合わせる意識をせず、ただぼんやりと国を一望できる開放的な場所で、煙草の煙を燻らせる。今日は占術もやった。及第点だ。
 素木の柵に凭れて、燃えている煙草を思い出したときに吸う。
 ふと、静華が傍に寄るのを認めて、意識を向けた。
「淑静様、榮老師から聖誕祭のことでお話があるそうです」
 生誕祭の言葉に、そんなものをしたところでと口から出そうになったが、榮老師との面会にひやりと背中が冷たくなった。
「ったく、あのたぬき親父。すーぐ人を呼びつけやがる……」
 静華が差し出してきた灰皿に煙草を押しつけると、肩まで下がっていた羽織を正す。たぬきは口うるさいところがあるのだ。
 襟を正すとすぐに殿を出た。遅くなると小言を言われるのを避けるためだ。普段はゆったりとしている淑静の行動の早さに、静華が驚きつつも、苦笑する。静華の小さな笑い声を聞きながら、淑静は早足で殿を後にした。

 渡り廊下を渡り、神域とされる区域から出る。
 雰囲気ががらりと変わった建物。漆喰の白い建物の廊下へと差し掛かると、遠くの方に一人の神官が立っているのが見えて、淑静はげんなりとした顔をした。心なしか早足になった淑静に、静華が気づかれないようにまた小さく笑った。
 開放的な廊下で待ち伏せていたのは、榮老師だ。温和そうな顔は、垂れた目元がそうさせているが、淑静が狸と云うように中身は曲者だ。ニコニコと優しい顔をして、手の平で人を上手に転がす。
 淑静は、嫌そうな顔を隠そうともしない。顔見知りだからということもあるだろう。
 この国の神として、淑静として、選出したのが、当代の榮老師だ。榮老師とは、神を選出する能力者の総称だ。役職といってもいいだろう。だから、淑静が選出された時からの付き合いだ。お互いの癖のようなものは知り尽くしている。親子ほどの歳の差もあり、淑静は翻弄されてばかりだが、気心が知れている。だから、淑静が無意識にも甘えが出てしまうのも仕方がないことだろう。
「おや、お早いお着きですね」
「温」
 淑静が呼んだ温とは、榮老師の名前だ。彼は、選ばれた時からそう呼んでいる。
 早速、嫌味かよと軽口で返せば、にっこりと笑みで返されるだけだった。その表情にげんなりしたものの、何か用かと不遜な態度で問いかけた。
 温は、深く笑う。
「二ヶ月後の聖誕祭の件だよ」
 神の通常の業務ではない事に、淑静は間髪入れず意見した。
「聖誕祭なんてやったところで、何の意味もない」
 今までそんなものやったこともなかったろうと続ければ、温は噛み付く淑静にわざとらしく驚いた顔をして見せた。
「ご機嫌取りだというのは、わかっているだろう?」
「それなら間に合っている」
「ご機嫌取りの延長の延長だと思いなさい」
「んなもん、いらねぇよ」
「あとは、何か変わるかもしれない。そう思ってやるんだろうね」
 一瞬言葉が詰まる。しかし、すぐに反論するも、温はニコニコと笑みを浮かべながら穏やかにそれを遮った。
「残念ながら、決定事項だよ。それに、これが私の最後の仕事になるから」
 その言葉を聞いて、淑静は今度こそ思考が停止した。
「私ももう年だからね。定年退官というやつだ」
「……そうかよ」
「ああ」
 それ以上は何も言葉が出なかった。外は相変わらず桜がはらはらと静かに降っていた。
 思うことは特にない。
 顔見知りがまた一人消えるだけだ。そして、国で唯一わかっている奴が消えるだけ。
「……用はそれだけか。なら、俺は帰るけど」
 早く話を切り上げようとする淑静に、温が笑う。
「聖誕祭は成功させる。是非とも協力してくれ」
 最後に花を持たせてくれてもいいだろう? と、念を押される。
 知るかよと噛み付くと、温の顔がまともに視界に入った。
 皺が刻まれた目元に気づき、食えない印象が少しだけ揺らいで、すぐに目を反らした。
 温の話は続く。
「聖誕祭は、神官総出で準備を行う。総指揮は私が執る」
 それから、準備が始まれば時間が取れないからと、 矢継ぎ早に聖誕祭の概要を説明され、反論の余地も与えられず、いつの間にか温のペースだ。
 聖誕祭の心構え、準備期間の日程、予行演習等を伝えられ、「ちょ、は?」という短い声を上げるだけで、口を挿む隙すら与えられず、気づけば話は終わってしまった。
 満足したらしい温は、終わりの挨拶を済ませると笑顔のまま踵を返して去っていってしまう。勝手な振る舞いに、淑静は思わず「おいっ」とその背中に声をかけると温が立ち止って、振り返った。
「そうそう、言い忘れていた。聖誕祭前後は忙しくなるから、次の静華は祭りが終わるまで就いてもらうからね」
 温の言葉に、「は?」と間抜けな声が出た。
 静華とは、神である淑静の世話をする者のことで、淑静はある時から、彼らを一週間以上就かせることをしなくなった。親しくなるのを防ぐためだ。だから、同じ人物が二度と就くこともさせなかった。
 静華のことに関しては、絶対に譲りたくない。思わず強い口調で温を呼びとめる。しかし、温はただ笑うばかり。
「静華の選出に割く時間がない。忙しくなるからね。我慢することだ」
 温の瞳に思惑を感じて、歯噛みする。その表情を見て、温は愉しそうに笑って、今度こそ去って行った。
「たぬき野郎……」
 遠ざかった背中に、神らしからぬ言葉で吐き捨てる。しかし、これから待ち受ける事柄に頭を抱えた。そして、遠くない未来で、理解者を失うことも。失うとは言いすぎかもしれない。でも、望んだところで会える保障などないに等しい。人々の上に立っているはずなのに、人々の思想で振りまわされ、自由を奪われる。それがこの国の神の在り方だ。
 淑静は、己の生活圏である神域へと戻るため、踵を返した。
 少し離れたところに下がっていた今週の静華と合流し、神域へと戻った。


 静かな夜を迎えようとしている。
 静華が火を持ってきてくれて、随分と辺りが暗くなっていることに気づいた。
 いつの間にか夜になろうとしている。否、もう夜に足を踏み入れている。
 あれから、神域へと戻り、煙草に火を付けて、その灰を床へ落とした。今日は色々在り過ぎた。在り過ぎたから、落ちた灰の火が素木の床を焦がしてしまった。色々あり過ぎたのが悪い。疲れたのだろう。静華がすぐに人を手配して、焦げた板は真新しい板へと交換された。罰が悪かったので、あれから煙草は吸ってない。
 榮老師――温の退官は、淑静の胸の内を揺るがした。本人の自覚以上に悲愴感に包まれた。それは、己の境遇を知り、理解してくれる人を失うからだ。
 淑静は、腹に溜まった重い何かを吐き出した。目には見えない、重い感情。そして、漠然とある不安。
 静華のことも問題だ。これは、個人的な問題だが、だからこそ厄介だ。
 再度深い溜息を吐く。何かを思ってぼんやりしていると、灯りと共に静華が近づいてきた。
「淑静様、教団の方が参られました」
 その名を聞いて、顔を顰めたくなった。静華の手前、顔に出すことはしないが、感傷的になっている時に限って、奴は顔を出す。いや、不定期だが、時期的にそろそろだったのかもしれない。
 淑静は、来訪者を通すように指示を出そうとするが、その前に奴は殿へと入って来た。
「お下がりくださいっ」
 すぐにそれに気づいた静華が前に出て、窘める。しかし、侵入者筆頭は、反省の色など見せない。
「ふふ、待ち切れず入って来てしまいました」
 悪びれず、笑みを浮かべる男――葉・スペイシー司祭は、静華には目もくれず、冷たいブルーの瞳で、まっすぐ淑静を捕えた。
「ご機嫌麗しゅう、私の神」
 何を考えているのかわからない笑みで挨拶をされる。静華を押しのけ、手を取られた。甲に口づけられる。
「私の神よ、本日は、我々教団が行っている研究に是非ご協力頂けたらと」
 察していた用件に、淑静は速やかに静華を下がらせた。この男がいる場に、静華がいると危険だ。
 何か言いたげたな瞳を向けつつ、静華は深く礼をして退室していった。
 静華の背中を見送ることなく、危険人物の葉司祭へと視線を向ける。
「ご協力感謝いたします。それと、本日手伝いをする信者の――」
 教団の信者が名乗り、自己紹介を始める。が、淑静はそれを遮った。
「さっさと始めろ」
 信者の名前を覚えるつもりがない淑静は用件を急いた。苛立ちを見せる淑静に、葉司祭は愉しげに目を細めて笑う。
「それでは、準備を始めさせて頂きます。こちらへ」
 葉司祭が後ろへ控える教団信者へ指示を出すと、緊張気味の信者が動き始めた。その後を追うように葉司祭に案内され、手狭な部屋へと通される。
 そこは、今代ではない昔の淑静が何の目的で作らせたのか、納戸と呼べそうな本当に小さな部屋だ。その更に奥の部屋へと入る。そこは、すでに灯りが落とされ、真っ暗だ。
 淑静が中へ入ると、入口に布をかけられた。
 布の織り目から向こうの部屋の明かりが見える。
 淑静は憂鬱な気持ちを吐き出した。
 精通していることを知られてしまってから、教団の研究のサンプルとして精子を提供するように云われた。最初は自分で慰めて出そうとしたが、ダメだった。かといって、静華にやらせるには気が引ける。サンプルの提供に手こずっていると、葉司祭から申し出があった。その方法が、教団信者が手で慰めるというものだった。もちろん、初めは断ったが、提供できないと何時間でもこの時間が続き、それでも上手くいかないと、何度も訪問がある。それが嫌で、折れるしかなかった。
 それから月に数回、不定期にこの行為は行われる。
 手で慰める教団信者は毎回異なる。回を重ねるごとに、この行為が信者たちの褒美のようになっている気がしてならない。
 淑静は、複雑な感情を顔に出さないように、帯を緩めた。着物の合わせ目を寛がせる。そして、深い息を吐いて、覚悟を決めた。
 入り口にかけられた布の切れ目から、性を出す。
 布の向こう側で、性の目の前で待機している信者の息がかかる。
 信者が始めの声かけをしてくるが、そんなことより、早く済ませてくれと思う。
 少し汗ばんだ冷たい手が、触れた。
 身体が反応しないように力を込める。
 信者の興奮気味の呼吸がうるさい。
 不快な行為なのに、触れられれば、それでも反応してしまう。緊張と興奮した手つきで、ゆっくりと擦られて、もどかしい。
 信者の荒い呼吸音がうるさいだけの部屋で、体温が上がる。
 羞恥より快感の方が上回った時、信者も慣れてきたのか、擦る手が激しくなっていった。腰が揺れそうになるのを耐える。
 瞬間。
「ヒッ……!」
 急にぬるついた生温かい何かに、性が包まれた。
 興奮した信者が、我慢できず口にくわえ込んだらしい。
「……っ」
 思わず手で口を押さえた。声なんて出したくない。
 信者の男は貪るように、淑静の性を高めた。食むように吸い付かれて、その不快感とそれでも快感を得てしまう身体に涙が零れそうになる。
 それを、息を抑えて、声を殺すことで耐える。
 嫌な水音がして、顔が熱い。意識が少し遠のいて、布の織り目の先の明かりを眺めて、男の口の中へ吐き出した。
 サンプル取るんじゃなかったのかよ。
 淑静は男が口元を緩めたとき、性を抜き去ると汚れも気にせず着物を整えた。不快な時間から逃れるため、乱暴に目の前の布を捲り、恍惚な表情を浮かべている気持ち悪い男の横をすり抜けた。
 部屋を出れば、 葉司祭が当たり前のようにそこにいて、睨めつける。
「あいつ、クビにしろ」
「何か不手際でもございましたか?」
「咥えた」
 そう答えると、申しわけございませんと、葉司祭が深々と謝罪する。それを無視して、色々な感情も投げ捨てて、湯浴みへと向かう。途中、尿瓶を運び出している信者を見かけ、「変態どもが」と罵った。
 機嫌は最悪だ。玉が軽くて、身体も軽い気がして、そんなところも嫌だった。
 乱暴に着物を脱いで、湯へと浸かる。湯の温かさが浸透し始め、体が解れ始めたのを覚えて、頭まで潜った。ふわふわと髪が湯の中で遊ぶのを感じながら、心が洗われた気がして、ようやく湯から顔を出した。ぽたぽたと前髪から落ちる滴をしばらく眺めて、はぁと溜息が零れた。
 現状が苦しいと思った。
 思考が過去へ飛ぶ。
 こんな時に思い出すのは。
 そこまで考えて、考えるのを止めた。色素の薄い髪を掻き揚げて、たゆたう湯を眺める。今はもう、心を休めることにしようと、長い息を吐いて、目を閉じた。

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