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★zakki

お久しぶりです!
何も更新できず申し訳ありません!
6/1でサイトをはじめて一年と半年でした!ここまで楽しく二次創作を続けられたのも呪術廻戦とサイトに遊びに来てくださった方々のおかげです!本当にありがとうございます!今後とも何卒お願い致します!これからもずっと虎杖くんを褒め称えていきたいです!!

12/12の東京の赤ブーイベントに参加予定です!二冊新刊を持っていきたいです…!!

追記は甚爾さんのお話ですが、最初のひと段落を見てだめそうならそっと忘れてください!
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「……盆でもハロウィンでもないだろ」
 今日が最後の仕事だった。その帰り道、今にも雨が降り出しそうなじっと張り付く淀んだ空気の中で、俺はつぶやいた。眼前に立っている女には影がない。
 呪いと霊はまったく別物であるということを実際に思い知ることになると、誰が想像しただろう。呪いなんかよりもずっと非現実的なものが、目の前にたしかにいる。

「随分と歳とったね」
「おまえは、……変わらないな」
 相変わらずの見透かされるような瞳にたじろぎそうになった。俺が初めて人を殺した日にそばにいた、数日とも数年間ともとれる時間を一緒に過ごした、自分よりもずっと歳上であったはずの彼女は、何年も前と同じ顔で俺を見ている。
「すっかり大人になったなあ」
 人を殺すことを生業にするなら、名前を教えてはいけない、とか。そういう、この仕事をする上でのルールを教えたのはこの女だった。名前は知らない。なあ、そう呼びかけたらいつでも振り向いてくれたからだ。
「誰かさんのおかげで」
「元気そうで安心したよ」
 身体の内側から滲み出るような声が聞こえる。俺の他に人はいない田舎の道の上で、ただその言葉を受け止めていた。
「あの時は可愛かったのになあ。愛ってなんだ? って真面目な顔してわたしに聞いてきたりして」
「はぐらかされたけどな」
「見つかった? 愛とか、大切なものとか」
「……ああ」
「よかった」
 目を閉じるとひとりの顔が浮かぶ。大切なものができる怖さと喜びが、脳のてっぺんからつま先まで、この身体を支配している。あの頃の自分に、こんな未来を想像することなんてきっと出来なかった。
「今日が、最後の仕事だった」
「そっか。おめでとう、でいいのかな」
「たぶん」
「おめでとう」
 身体を通り抜けるような平熱の風が肩を撫でる。
 彼女が発した言葉は、自分の中にすっと入って、波のように引いていった。どんな形であれ、この女から祝福の言葉を聞く日が来るなんて思わなかった。本当に、思わなかったんだ。

「ほかにも、わたしに聞きたいこと、あったんじゃないの」
 人を殺さずに生きていく方法、腹の中にたしかにある両親への憎悪の殺し方、誰かを慈しむために必要なこと。あの時、おまえに本当は聞きたいことなんて山ほどあった。ついぞ聞けなかったけれど。
 ねえ、今ならなんでも答えられるよ。
 楽しそうにわらう目の前の女に本当の名前を聞いた。名前さえわかれば墓を探せるんじゃないかと思ったからだ。

「……なんでも答えられるんじゃなかったのかよ」
 瞬きの合間のスローモーション、目の前にいたはずの女はたしかに笑った。脳の中で輪郭は次第に霞んでいく。降り出した雨が頬に落ちる。寂しいと形容するには、随分とあっけない幕引きだった。目を開けると、そこにはだれもいない。ただ、青色の紫陽花だけがここにある。



20210614
つめたい真昼

2021/06/14
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