ガチャリ
玄関の扉を開く。
「ただいまー」
大きな声で言うと、中からひょっこりおばさんが顔を出した。
「あら、ややちゃん。おかえりなさい。
ちょっと遅かったわね。
お友達と遊んでたの?」
「ごめんなさい。探し物してて…」
「そうなの?見つかった?」
「うん。バッチリだよ」
「良かった。じゃあ、夜ご飯ができるまでもうちょっとかかるから、上で待っててね」
るんるんと台所に戻るおばさんを尻目にややは二階に上がった。
自分の部屋に入ると、リラが優雅なティータイムを楽しんでいた。
「リラ、ただいま」
『おかえりなさい、ややちゃん。
それと初めまして。ペペちゃん』
『よろしくっちゅ、リラたん』
リラとペペは握手を交わす。
「2人とも初対面なのになんで名前知ってるの?」
『ペペ達はややたんのココロから生まれたしゅごキャラ。どこか通じ合ってるんでちゅ』
「ふーん。そういうものなんだ」
机の上に鞄を置く。
ついでに制服も着替えよう。「リラは今日何してたの?」
部屋着に着替えながらそう尋ねる。
『今日ですか?今日は天気が良いので外に出ていました』
「それはいつもの友達と?何だっけ、
"黒猫さん"?」
黒猫さんとは。
時々リラと一緒にまったりしたり、お昼寝したり、お散歩したり、カラオケしたりする誰かのしゅごキャラ。
マブダチである。
紅茶は猫舌ゆえ一緒には飲めないらしいが…。
『ええ。今日はそのご主人の方もいらっしゃいました』
「それで一緒に?」
『はい。とても楽しかったですよ。
お昼寝したり、お散歩したり。
あ、あと、おせんべいを頂きました』
「へぇ」
――ご主人…のほほんとした人なのかな…?
なんかそれだけ聞くと、どうしてもおじいちゃんしか頭に浮かばないんだけど。
でもココロのたまごは子供にしか生まれないんだよね?
まだ見ぬ黒猫さんとそのご主人に疑問を抱きつつ。
ぼふん、とベッドにダイブする。
『わ、ややたん!びっくりしたでちゅ。
もうちょっとで潰されそうだったでちゅ!』
ちょうどそこにいたペペの抗議を無視して、その体を引っ掴む。
『むぎゅ!?』
そしてよく見えるように手のひらに乗せた。
ぷにぷにとほっぺをつついてみる。
『な、何なんでちゅ!?』
顔を赤くして怒るペペ。
「……ねぇ、ペペちゃんはややのどんな願いから産まれたの?」
この子の姿を見たときからずっと思っていた。
おしゃぶりをした赤ちゃんみたいなしゅごキャラ。
この子の存在は一体何を意味するのか。
ややは何を願ったのか。
もしかしたら、…。
『それは、ややたんが一番よくわかってるはずでちゅ』
ぺぺは答えをくれなかった。
「…ばかだなぁ」
枕に顔を埋めた。
――帰れるわけないのに。
夜は更けていく。
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