「あれ、うそっ!?」

聖夜学園小等部三年星組の教室――。

HRが始まる5分前に滑り込んだややが、鞄を開くとそこにはあるはずの物が無かった。

今朝生まれたしゅごたま。

それが、忽然と姿を消していた。

教室内で大きな声で叫んだややに注目が集まる。

「ややちゃん、忘れ物ー?」

「どうしたのー?」

なんて声が聞こえてくるけど、それに応えてる余裕は無かった。

「やや、頭痛いからちょっと保健室行ってくる!りかちゃん、先生に言っといて!!」

「ややちゃんっそこお腹だよ!」

間違えてお腹を押さえながら教室を飛び出す。

取り敢えず学校の中を見て回ろう。

〜30分後〜

ダメだ。

全くもって見つからないし。いない。

「も〜、どこいっちゃったかなぁ」

愚痴をこぼしながら中庭を探していると
後ろから声が……。

振り返ると、上級生らしき集団がスケッチブック片手に中庭に集まり始めていた。

多分、美術の授業なんだろう。

見つかったらさすがにまずい。

保健室に行ってないことがバレてしまうかもしれない。

慌てて身を翻そうとしたら、石につまづいて転んでしまった。

その拍子に膝をすりむいてしまったらしく、膝から赤い血が滲む。

「いっ、たぁ」

それでも何とか、丁度校舎の影になっているところに移動し一息ついた。

ここまでは流石にこないだろう。

「これからどーしよう……」

生まれたてのしゅごたま。

もしかしたら何かのトラブルに巻き込まれてるかもしれない。

それで万が一にもしゅごたまが壊れてしまったら。

ココロのたまごが壊れた人間がどうなるか、ややはよく知っている。

これが報いだと言うのなら、甘んじて受け入れる他ないのかもしれないけど。

「…こわいな」

涙ぐみながら、体育座りをしていると、

「大丈夫?」

声をかけられた。

「えっ?」

顔を上げると、そこには金色のきらきらした髪の男子生徒。

やや、この人知ってる。

「ガ、ガーディアンの」

「うん。僕はKチェアの辺里唯世。
君は?」

「3年星組の結木やや、です」

ガーディアン――生徒のによる生徒のための特別な生徒会、みたいなもの。
現在は、

Jチェア 相馬空海

Qチェア 藤咲なでしこ

Kチェア 辺里唯世

の3人の先輩で構成されている。

ちなみにAチェアという空席があるそうだけど、なんで空席なのかは分からない。

――Kチェアの辺里先輩、王子なんて言われてるだけあって凄い綺麗な顔……。

とか思いながらぽーっと眺めていると、

「どうしたの、こんなところで。
あっ、膝ケガしてる……もしかして動けない?保健室連れて行こうか?」

「ちがっ、あのっ!ややは探し物、してて……」

「何を探してたの?」

「えっ、えっと……」

言葉に詰まる。
まさか、人には見えないココロのたまごをなどと言って通じる訳もないだろうし。

どうしたものかと打開策が思いつかず、
慣れないシチュエーションにパニックになって、涙が出てくる。


「あ、ごめん!泣かせるつもりは…!」

「ご、ごめんなさい、すぐ泣き止むからぁ」

乱暴に目元を擦っていると、

『すぐに泣くとは、情けないぞ庶民よ!』

という高圧的な声が上から降ってきた。

驚いて顔を上げる。

頭上に辺里先輩そっくりの顔をした王様みたいな格好をしたしゅごキャラがっ、て、え。

まって。

「ええっ!?な、なんで……」

驚いて叫ぶと、辺里先輩も目を丸くした。

「キセキが見えてるの!?
君も、もしかしてキャラ持ち……?」






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