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「…ナイトイレブンガレッジ…?」


頭にクエスチョンマークを出しながら、少女は目をぱちくりさせた

「うむ、名前に入学の案内が来ておったぞ」

少女に答えたのは小さな子供――――ではなく
先ほど名前が出てきたナイトイレブンガレッジのディムソニア寮で副寮長を務める(果たしてちゃんと務めているのかは別として)リリアがニンマリとした笑みで答えた

ーここは茨の谷、マレウスの住む屋敷とは少しだけ離れた茨の森の中の小さな小屋…少女が”かつて”住んでいた場所である


「リリム様、あそこは男子校では…?」

首を傾げる少女は布を頭から被っていて外見が伺えないが、鈴のような美しい声で答えた


「ふむ、確かに男子校だが何故だか鏡から確かに”名前・ドラコニス”の名前が出たのじゃ。前代未聞ではあるが導かれたのなら問題あるまい、マレウスも喜ぶと思うぞ」

明らかに顔に”面白そう”と出ているが、闇の鏡に選ばれなければ入学が認められないナイトイレブンガレッジで名前が出たということは行くべきだという何かの導きなのかもしれない。

「名前の魔法なら男子の中に女子が一人いても問題なかろう、マレウスもいるから安心せい」

リリムの宥める様な声掛けにも、名前は思い悩んでいるようだった。

「…リリム様、私は、私はまだ広い世界は怖いのです。マレウス様やリリム様達が学校へ行かれている間はこうして”ここ”へ戻ってきてしまうほどに…まだ私の世界は狭いのです…」

布をかぶった少女は、少し布を上げるとリリムと目を合わせた。彼女の肌は雪のように白く、強く惹かれる緑の目を除けば髪も、まつげさえも全てが真っ白であった。

「名前や、ずっと一人で生きてきたお主にはまだ外は生きづらいのであろう、しかしお前が幼き頃ここを出たように、名前の世界を広げた方がよいとわしは思うぞ。わしやマレウスのように信頼できる者もきっと増えるかもしれぬぞ」

リリムは少女の頭の布を取り、髪から覗く”白い角”を優しく撫でた。少女は気持ち良さそうにリリムの手へ頭を擦りつけると、気持ちを決めたのか甘えるようにリリムへ抱き着いた。


「…私はリリム様達と会うまでは、きっと生きてなどいなかったのです。リリム様に名前を頂いた時に初めて命を感じることができました…まだ外は…人は…怖いですが、私も皆様の通う学校へ…行って、みます」


少女の答えに「そうか」と微笑むと静かに頭を撫で続けた。



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