こぼしたいしあふれていたい(R-18)/ミスカブ♀
※性描写有り※18歳未満の方は読まないでください
カブルー女体化のミスカブ♀
0721の日に思い付いた自慰ネタです
「ではまた」
「ええ。ミスルンさんもお気をつけて」
カブルーはその夜、食事の後に紳士的に送ってくれたミスルンと自室の前で別れた。名残惜しさを感じつつ、待たせては悪いのでさっさと部屋に入り扉を閉める。カブルーがミスルンに会ったは十日振りの事で、その前に会ったのはそれから三日前だが、これは仕事中だったので少し言葉を交わしたくらいで終了。顔を合わせるくらいなら王城で頻繁にあるのだが、二人きりで会ったのは今日から一カ月以上は前の事になる。
「はぁ……」
カブルーは扉を閉めてから深い息を吐く。今日こそは何か恋人らしい触れ合いがあるのではないかと期待した気持ちを無理矢理に宥めるには、こんな溜息では足りなかった。
ミスルンとカブルーが晴れてお付き合いをしてから半年が経つ。こんな事を言うと恥ずかしいが、はっきり言ってカブルーはムラムラしていた。
エルフの時間感覚はトールマンのそれとは異なる。つまり色々な事柄に対して、トールマンからすると長い期間で捉えている事が多いのだ。子供の成長だったり、交友関係だったり。恋人との関わりにおいてもだ。付き合いたての恋人同士なら、会いたいとかもっと長く一緒に居たいとか、あるいは沢山セックスしたいなんていう思いは大抵の人が抱くものだ。エルフもその点は同じだろうが、しかし時間感覚の違う彼らの思う「もっと」「たくさん」はトールマンからすると「全然」「まったく」に変換されてしまう。カブルーとミスルンの場合もそれに当てはまっていた。
相手がエルフの、しかも殆どの欲を失ってしまったミスルンでなければ今の段階で話し合いの一つでもしたかもしれないが、カブルーは意識の擦り合わせはもう少し先でも良いかなと思っていた。ミスルンと触れ合いたい気持ちは確かにある。しかしカブルーはそれを押し付けるつもりは無かった。お互いにやる事があり、恋人の時間とか触れ合いとか、プライベートに関するものは後回しにせざるを得ない。大体欲が無い相手に自分を抱け、なんて迫るのが可哀想な話であるとカブルーは考えていた。
半年の交際期間の内に二人がセックスをしたのは数回ほど。片手で数えきれてしまうそれはカブルーにとって到底満足できない数だった。内容的には、まあ、幸せでいっぱいというか、充足感を得たというか、気持ち良過ぎて大変だったというか。しかし一回の中身はどうあれ、こうも間隔が開き過ぎると溜まるものは溜まってしまうわけで。つまり、自分の欲は自分でどうにかするしかない。カブルーは寝る準備を整えたベッドを見下ろして再び溜息をつく。
「はあ……」
交友関係が広いカブルーは男性にも声をかけられる機会がかなり多いが、養母の教えと姉のように慕っているリンの小言のおかげでミスルンとセックスするまでは処女だった。それが欲を知ってから半年でこんなに持て余してしまうとは。溜息の一つでも出てしまうものだ。
カブルーは自分が周りからどう見られているかは十分理解していたが、ミスルンにもそういう女だと思われていると知った時はそれなりにショックだった。これでもっとセックスがしたい、なんて彼に迫ったらまたどう思われるだろうか。何も思わない可能性もあるが、やはり見た目通りの奔放な女だ、なんて認識されたら。カブルーはショックを受けるくせにその場では笑って流して、一人になってから泣く自分を想像して笑ってしまった。それかリンに泣き付いてしまうかも。意外と情に厚い彼女のことだ、ミスルンと別れろと説得されるか、またはミスルンに直接に文句を言うかもしれない。そんな事態を避ける為には、やはりしばらくは一人での性欲の発散が先決だ。カブルーはこれは必要事項だから、と頭を切り替えてからベッドに入った。明日も仕事だ。サクッとやってササっと寝てしまおう。
カブルーはこれまで自慰を何回か試してみたが、いまいちしっくり来るやり方が見つけられないでいた。寝転がるのがいいのか仰向けなのか横向きなのか。いっそ座った方がやりやすいのでは無いかと、ベッドの上で壁に背をつけて座ってみる。ズボンを脱いでから枕で腰と壁の間のクッションにしてみると意外と安定した体勢になった。とりあえず胸を触ろう、とパジャマの前のボタンを外す。終わったらさっさと寝るつもりなので下着は無く、すぐに胸に手が触れた。ムラムラはしているがなんとなく居心地が悪いのは、寒いからだろうか。理由も無く部屋で肌を晒しているのは落ち着かない。ミスルンと触れ合う時はそんな風に感じないのにな、と思った所で彼の指先を思い出してしまった。
ミスルンは力が強いのに、カブルーに触れる時はとても繊細な物を扱うようにしてくれる。彼自身の事はその力強い手で大雑把に終わらせるのに、カブルーへの愛撫は殊更に丁寧で慈愛に溢れたものだった。今のミスルンのがさつさを見るに、これは昔の彼のやり方なのだろうかと思った事もある。昔の、欲を喰われる前の彼は、こんな風に優しく誰かに触れたのだろうか。人を好きになると、考えたって仕方ない事も勝手に浮かんできてしまう。カブルーは切なさを無理矢理に押し込めて手を動かした。
「ん……」
胸を下から揉む。自分で自分を焦らしてもしょうがないと思い、さっさと乳首に触った。ミスルンだったらあの冷たい手のひらで胸を包むようにしてから、指先で先端を撫でてくれるだろう。そんな風に考えたらもう駄目だった。
「ぁ……」
たった数回しか無いセックスでも、彼の触り方をカブルーはしっかりと覚えてしまっていた。指先で撫でて、それから親指と人差し指で摘むように刺激するのだ。合間にキスを強請るとすぐに応えてくれて、カブルーは心地が良くて力が抜けて、でもミスルンがもたらす快感に体がびくびくしてしまって、それから。
「……っ、」
なんだか口が寂しくなってカブルーは片手の人差し指を口元にあてた。唇で指の甲を喰みながらそろそろと下ろした手で下着の上から割れ目を触ると、そこはしっとりと濡れていた。
「……ふ、っ」
両膝を立てて、指で割れ目を何度もなぞる。脚を軽く開くと敏感な粒が指先に引っかかって体が震えた。ミスルンさんはどうやってくれたっけ。カブルーは記憶の中の彼の指の動きを思い出そうとするが、微弱な快感に思考が流されていってしまう。それでも何とか彼のキスや体温を思い浮かべて、そう、確かミスルンさんはここを、触りながら中に、指を。でももう、これで充分かも、あとすこしで、達してしまいそう。もう、だめかも。
「ふ、ぁ……、っミスルンさんっ」
「呼んだか」
「キャアアアアア!!」
「出てきてくれカブルー」
「いやです」
カブルーは毛布を頭から被って立て篭もるという、幼稚な方法で突然部屋に入ってきたミスルンを拒絶した。ミスルンの力ならこんな布などすぐに取り払ってしまえるだろうけど、こちらだって女の癖になんて言われながらダンジョン探索に励んでいたのだ。最終的にどうなるかは分かっていても、ギリギリまで抵抗してやろうという意気込みの篭城だった。
「お願いだカブルー」
「……」
しかしカブルーの意気込みを他所に、ミスルンは優しく毛布の塊になった背中を撫でるだけだった。
ミスルンが部屋に戻って来たのは、カブルーに言い忘れた事を思い出して引き返して来たからだった。しかし扉の前まで来た所で、こんな遅い時間に女性の部屋へ入って良いものかと考えた。きっと寝つきの悪いカブルーはまだ起きているだろう。恋人でもあるし、おそらく彼女は自分を快く招き入れてくれる。しかし珍しくもう寝ていたとしたら、自分のせいで起こしてしまうのは可哀想だ。だがわざわざここまで戻ってきたのにまた帰るのか。
なんて事を結構な時間をかけて悩んでいたらしいミスルンは、中から聞こえる自分を呼ぶ声に思わず転移術を用いて侵入を果たした。という事らしい。
「……」
「カブルー?」
ミスルンさんは悪くない。とカブルーは思う。むしろ恋人とはいえ勝手に想像して名前を呼んだ自分の方に非がある気がする。いや、自分のした事は別に悪い事ではないけれど、やましく無いとは言い難い。しかしそれはそれとして自らを慰めている真っ最中を好きな人に見られるなんて、死んでしまいたい。というか死ぬ。
「……すみませんでした」
ミスルンが毛布を剥いでくれないのなら、自分から出ていかなくてはならない。いつまでもこうしている訳にもいかず、カブルーは意を決して渋々と顔を出す。すぐに恋人のやや眉を顰めた顔が見えて、カブルーは後悔した。幼稚な立てこもりをしたこと、彼の名前を呼んでしまったこと、自分で自分を慰めるなんて、なんて惨めなことを。
「何故お前が謝る」
「なんと言うか、その、お、お見苦しい所を……」
「私は気にしない」
「………………そうですか」
気にしないのか。そうなのか。気にしないのならありがたい、なんて思えるほどカブルーは単純な性格はしていない。気にしてほしいし私の傷心を慰めてほしい。あとは「気にしていないよ」とか言いながら頭を撫でて優しくキスとかしてほしい。でも言えない。カブルーは年上と接するのは得意なはずなのに、彼相手だと何時もどうにもならないもどかしさを感じてしまう。
もうこれ以上は何を言えば良いか分からずカブルーは閉口する。カブルーが話さないと二人の間は途端に沈黙に包まれる。そうだ、彼は何か自分に伝えたい事があったのではないか。もうそれだけ言ってさっさと出ていってくれ。
「ええっと、確かミスルンさんは私に言いたい事があったのでは?」
「うん」
「何だったのでしょう」
気にしてないならもう良い。良くないけど、もう仕方ない。カブルーは頭を切り替えてミスルンからの言葉を待った。
「……たまたまだったのか?」
「はい?」
「たまたま自らを慰める気分になったのか、それとも一人でするのか好きだったのか」
「は?」
殺す。恐らくこちらを侮辱する意図を持っていないだろう相手に、カブルーは反射的に殺意を抱いた。知らない男だったら即座に首を絞めて落としていた。自慰が好きなのか、なんて普通聞くか?聞くとしたらその意味は嘲笑か下心かぐらいだろう。カブルーの脳内に自分の体や見た目を揶揄してきた男共が過っていく。
「あるいは、私がほったらかしてしまったか」
もう無理矢理に落としてフレキあたりに回収させようか、と実行に移そうとしたカブルーへミスルンが問いかける。カブルーは思いがけず、一瞬で自らの本音を突きつけられてしまった。
「私の名を呼んでいただろう」
「それは……」
「私を想像して自分を慰めていたのか」
彼は床に膝をつき、ベッドに座るカブルーを見上げるように手を伸ばした。カブルーは誘われるままに毛布に押し込めていた手を差し出してしまう。すぐさま指先がミスルンの手のひらに包まれる。さっき自分に触れられるのを想像した、好きな人の手。冷たいけれど力強い手。
「……それは、そう、なんですけど」
恋人を想像して自慰をしていた、なんてその本人に知られるのはあまりに恥ずかしい。しかし別の誰かを想像していたなんて思われるのは嫌なのでカブルーは正直に告げた。
「私が欲しかったのか?」
「っ!」
やや複雑な乙女心に羞恥心が襲ってきて心の中はめちゃくちゃなのに、更に直球で恥ずかしい事を聞かれた気がする。これはどうなんだ。もう言うしかないのか。自分の欲を、彼に伝えるしかないのだろうか。
「カブルー」
「……そうです」
名前を呼ぶだけで先を促す彼に逆らえず、カブルーはとうとう白状してしまった。恥ずかしい。しかしこの際だから全部言ってしまおうと開き直る事をカブルーは決めた。これはトールマンにとっては一般的な事でもあるし、普通なんだから、なるべく平常心だ。カブルーは澄ました顔を意識してミスルンを見上げる。
「あの、ですね、」
「うん」
「あの、トールマン的にはなんですけど、付き合いたての場合はもっと会ったり、触れたり、するものなんですよ」
「そうか」
「全員がそうではないのですが、少なくとも私の知る範囲ではそういったカップルが多いです。エルフの感覚とは違うのは勿論知ってます。だから私はあなたに押し付けようとは思っていません」
「そうなのか」
「はい。自分で何とかできますから」
自分で言ってて虚しさに襲われる。欲求不満だけど自分で何とかします。こんな事を好きな人に面と向かって宣言する日が来ようとは。虚しいし寂しいし、物凄く悲しい気がする。半年前の清純な自分が聞いたら驚愕するだろう。ミルシリルには絶対に知られたくない。
「そうか……」
「はい」
恥はかいたがこれで解決しそうだ。後は用事だけ聞いて帰ってもらおうとしたカブルーを、ミスルンの黒い目がジッと見返してくる。一見すると冷めているような彼の片目は、とても熱い。
「私は、……カブルーが望むならもっと会いたいし触れたいと思った」
「ええっ?」
カブルーは驚いた。それって欲がかなり戻っているのでは。それか無理に自分に合わせようとしてくれているのか。
「だって、ミスルンさん、まだ性欲ってあんまり無いんですよね」
「うん」
「無理はしなくても、」
「無い事も無い。以前よりは戻ってきてはいる」
「そうだったんですね」
「それに……」
ミスルンは珍しく言い淀む。言葉を選んでいるのだろうか、とカブルーは彼を観察する。言葉を選んでいるのか、あるいは探しているのかもしれない。自分の欲望を。
「……誰かを抱きたいという欲はあまり無いが、カブルーをもっと気持ち良くさせたいという欲はある。というか最近この欲に気付いた」
「え……」
「恐らく、私が何かをしたいというよりはカブルーの願いを叶えてやりたいという欲だと思う」
カブルーは毛布に包んだ胸がそわそわする気がした。それは何だか、とても嬉しくて少し恥ずかしくて、胸の内がくすぐったい心地だった。好きな人にそう言われて嬉しくない女の子はこの世にいないだろう。
「エルフとトールマンの違いに考えが及ばなくてすまなかった。カブルーが望むなら私は応えたい。どうだろうか」
ミスルンの冷たい手がカブルーの頬に添えられる。熱い瞳がカブルーを捕まえて、決して離そうとしない。カブルーの返事は決まっていた。
「はい……♡」
カブルーの唇にかさついたミスルンのそれが重ねられる。今夜はまだ寝られそうになかった。
(うれしくって抱きあうよ)
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