11*ワームホールインザラブ
病院の真っ白い天井もベッドのシーツもピンク色に見える。
キリキリと切なく迫る痛みさえ今のボクにはいとおしい。
「あのコお前のこと好きだって言ってたよ」
「そうなんですよーえへ、デッへへへへへ」
「気持ち悪」
「妬かないでくださいよ先輩」
ワームホールインザラブ
「惚れないし妬かないしホント何なのお前ら」
「いやぁもう、愛がね。ありあまっちゃって」
「ありあまっちゃって、その有り様なのね」
「そういうわけです」
「カノジョの手料理ドカ食いして腹壊すって、相当な愛だね」
「あーやっぱり嫉妬」
「してないから。ったく、入院するほど食うってどーゆーことよ」
「だって先輩。ボクら月に一回しか会えないんです」
「は?何で」
「クルミさんが、お金を返し終えるまでは極力会わないようにしたいって。彼女のお給料日だけ会う約束で」
「へぇ、あのコなりのけじめかね」
「今回は会うついでに手料理を振る舞ってくれるというんで、滅多にない機会だからつい欲張ってリクエストしすぎてしまいまして」
「それが今回の顛末ってわけ」
「でもどれも美味しかったなぁ。カレーにトムヤムクンにジャークチキン、エビチリ、火鍋、麻婆豆腐にナシゴレン」
「…聞いてるだけで喉が焼けそうなメニューだけど」
「スパイシーな料理が得意だから是非食べさせたいって言われたので…ちょっとリクエスト片寄っちゃいましたね、ハハハ」
「それわざとじゃない?お前大丈夫?殺されかけてない?」
「せんぱーい、羨ましいからってそういうやっかみヤメましょうよー」
「ああオレもう絶対お前のこと心配しない。はらわたに唐辛子詰め込まれて火鍋で煮込まれてても絶対助けない」
「何の話してるんですか、もー」
「こっちが聞きたいよ!」
「先輩も一度クルミさんの手料理食べてみれば、彼女の素晴らしさがわかるでしょうに」
「素晴らしさを理解する前に胃に穴が開いて病院送りでしょ。勘弁してよ」
「愛し愛されるってそういうことなんですよ」
「ちょっと何言ってるかわかんない」
ボクは胃に穴が開いたっていいんです。
この痛みが会えないきみのこと何度も思い出させるから。
式日