12*ちりぢりでも愛は綺麗だ


「なーサイ、サクラちゃん。ヤマト隊長なんか今日は妙に浮かれてるってばよ」

「隊長が浮かれてるといったら、そりゃあ」

「あれよね。月に一度の"返済日"」

「返済日?」

「例のカノジョとけじめで別れたらしいけど、お金返してもらう日だけは会ってデートしてるのよ…」

「それってデートって言うか?」

「まあいいんじゃない。ここまで来たらもはや純愛よ。メルヘンよ。私は応援するわ」

「詐欺から始まって純愛?病気の間違いじゃない?」

「今回はサイの意見に同意だってばよ…」

「おーいみんなー!今日の演習はここまで!ちょっと早いけど…ボク今日はデー…いや、予定があるからね」

「クルミさんとデートの約束ですよね」

「えっ、やだなーもしかしてバレてるのハハッ!あ、でもデートじゃないよデートじゃ!ちょっと会うだけなのにそんなまさか、デートだなんて!それデートって言っちゃう?ハハハッ、デートかぁーいやーまいったなーデートだと思われちゃうと、ね!まぁ色々面倒だから、人に訊かれたらデートってことにしてもいいけど!」

「もはや隠すつもり全くねーだろ隊長」

「この痛さがいっそ清々しいわね」








ちりぢりでも愛は綺麗だ









「ヤマトさーん!」

「お、噂をすればだってばよ…」

「クルミさん…!」

「えへ、ちょっと早く着いちゃった。ヤマトさんにどうしても早く伝えたいことがあって」

「えっ!!つ、伝えたいことって…」

(急展開かな?)

(気になるってばよ)

(キャーーーメルヘンゲットの予感!!!)

「あのね、しばらく会えなくなるから!」

「ふぁ?」

(えっ)

(えっ)

(ええぇぇ!?)

「私木ノ葉を出るわ。親戚のいる港町でお店やることにしたから。あ、お金はちゃんと月一で送金して返すから心配しないで」

「ちょ、えっ、クルミさん何を急に」

「あれからバイトとか色々してみたけど、やっぱり特技を活かしていこうと思って。ほら私お料理得意でしょ?カフェ経営って興味あったの。いい物件もあったから、決めてきちゃった」

「お店やるなら里の中でもいいんじゃない!?ねえ!?」

「私、借金でブラックリスト載ってるから木ノ葉では銀行の融資が受けれなくって。あっちで軌道に乗ったら木ノ葉に二号店出店で戻ってくる算段なの。ナイスアイディアでしょ」

「そんな…!し、しばらくって一体どれくらい」

「え?そりゃ一年とか二年とかかかるでしょ、普通に考えて」

「クルミさんくぁwせdrftgyふじこlp」

「やべぇヤマト隊長、言葉になってねー」

「そんな会えないのボク無理ですよクルミさん絶対ムリムリムリ」

「確かに…月一で会うだけであのテンションになっちゃうヤマト隊長に、遠距離はキツイわよ」

「ヤマトさん大丈夫!ふたりの未来のためだからがんばれるわ!」

「で、でも…」

「気持ちはいつも一緒!ねっ!」

「クルミさん…」

「会えない時間が愛を育てるのよ!」

(この人強引に押し切るつもりだ)

(やっぱり詐欺なんじゃねーのこれ)

(さすがに承服できないわよね…)

「うん、わかったよクルミさん!」

「えええー納得した!?」

「さっきからコソコソうるさいよ、ナルト、サクラ、サイ。大人の話を端聞きして」

「いやアンタらが勝手に目の前で」

「や、ヤマト隊長いいんですか?クルミさんが里から出ること…」

「ああ、こうなったらボクも決めたよ……クルミさんと里抜けするってね!!!」

「はぁああ!?」

「ホラやっぱりこの人病気だよ」

「ちょっとオレカカシ先生呼んでくるってばよ…」

部下三人が頭を抱え込む中、仕方のない人ねと言ってきみは爽やかに笑ってくれたね。


式日