07*馬鹿馬鹿しい程好きだよ
バカなの?って訊かれたけれど、多分ボクは、ひとが思うほどバカではないはずです。
「悪いこと言わないから例のカノジョのことは忘れた方がいいよ」
「唐突に何なんです、先輩」
「お前がおかしくなっててまともな演習にならないってナルト達から聞いてんだけど」
「何を大袈裟な。クルミさんとのことで落ち込んでいるのは確かだけど、あんなの痴話喧嘩ですよ。ちょっとしたすれ違いです」
馬鹿馬鹿しい程好きだよ
「だったら仲直りしてみなさいよ」
「それは─」
「会うの拒否されててそれもできないんでしょ?家まで行っても居留守使われて」
「!─なんで、それを」
「こーゆーの趣味じゃないんだけどね、部下の為だから調べさせてもらったよ、お前のカノジョのこと」
「彼女のこと…」
「いいかテンゾウよーく聞いとけよ。あの子は水商売の女だよ。キャバクラ嬢だ。ハデな化粧にハデな服まとってさ、お前に秘密で夜な夜な仕事してんのよ。ま、オレは職業差別するつもりはないよ。問題は男関係。カノジョ、ホストの男に入れ込んでずいぶんと貢いでる。お前と出会う前からだ。ホストクラブの売り上げ貢献は当たり前、それどころかそいつの借金の肩代わりまでしてるよ。あのね、お前が貢いだバッグや靴やアクセサリーなんてひとっつもカノジョの手元にゃ無いよ。ぜんぶ質屋に流されてる。もちろん病気の母親の話だって嘘だ。身寄りはなくてアパートに一人暮らし。お前みたいな高給取りの独身男をとっつかまえて、良いように金づるにしてるってわけだ」
「…先輩、」
「テンゾウ、嘘だと思うなら─」
「知ってるんです」
「──え?」
「知ってます、いま先輩が言ったこと、全部」
「…お前それならなんで…」
「信じてるんです」
「いや、だからお前騙されてるんだよ」
「だってクルミさんは言ったんです、ボクのことが好きだ、って」
その言葉まですべて嘘だったなんて、先輩、あなたは証明できますか?
式日