プチ03* 一柳と牙琉と神乃木




「あー腹減ったー。オレ、ナポリタンね」

「あいにく、うちはコーヒー以外は置いてねぇんだ」

「え?嘘だろ?喫茶店なのにナポリタン無いのかよ!」

「コーヒー以外は出さねぇ。それがこの店のルールだ」

「オレ、コーヒー飲めないし」

「黙りたまえ一柳弓彦...。渋くてシャレたカフェだね、気に入ったよ、マスター」

「...そりゃあどうも」

「ボクはエスプレッソ、このお坊ちゃんにはカフェラテの泡だけで頼むよ」

「クッ...、待ってな」




カランカラン



「へぇ、コーヒーしかないのにこんな夜に他にも客が......、!!」

「!!」

「よう、仔猫ちゃん、待ってたぜ」

「こんばんは、マスター...、あっ」

「...?ん、なんだ、仔猫ちゃんとボウズたちは知り合いか?」

「...ええ、まぁ。彼らは検事さんですから」

「このジャラジャラと、やかましい坊やがか?世も末だな」

「なっ、なんだと失礼な!だいたいこのイチリュー検事を知らないなんて!」

「ヘイ、マスター!!ひとつ聞き捨てならないっ!!
こ、こ、仔猫ちゃんと云うのは...そこにヴィーナスの如く物憂げに佇む彼女のことかい?」

「それがどうした」

「彼女をそんな...こ、仔猫ちゃんと呼ぶなんて!うらやまけしからん!!」

「だからどうした」

「ボクもぜひともそう呼びたい」

「...だとよ?」

「嫌です」

「何でマスターはよくてボクは駄目なんだ」

「牙琉さんは職場の方ですから、それは立派なセクハラに該当します」

「くそぉっ、モラルという名の弊害か!!」

「クッ...やかましいな。この店には相応しくねぇ。出ていきな、ボウズ達」

「え、オレも?また牙琉検事のとばっちりかよ」

「ゆみ君、牙琉さん連れてってくれるかな。私も追って行くから。...騒がしくしてすみません、マスター」

「仔猫ちゃんが謝るこたねぇさ」

「ゆみ君...だと...?まさか...よもや...一柳弓彦のことを?」

「あ、すみません。小学校時代の名残でついアダ名で」

「一柳弓彦ォォォォオ!」

「いでっ!お、オマエいちいち地雷多すぎ...!!」

「どうだろう、ボクのことも気軽に"キョウ君"と呼んでくれても構わないが」

「弁当屋のおキョウさんと被るので嫌です」

「まさかのアダ名被り!!」

「クッ...、うるせぇ。とにかくうるせぇ。とっとと出ていってもらおうか」

「くそぉ、愛想の悪いマスターにむげに追い出されたってつぶやいてやる。炎上するがいいさ!」

「好きにしな」

「知名度から言って、炎上するのは牙琉検事の気がするけどなぁ...」

「あくまで個人のつぶやきであり、検事局は関知していないことを明記してくださいね」




みんな冷たい!と泣く牙琉検事を囲んで、別の居酒屋で飲み会を開きましたとさ。


式日