その後は、チリーン達に医療キットを持ってきてもらい、ルカリオ達の治療をしたり、せっかくだから外でみんなで食べようと、寸胴の鍋などをガブリアス達に持ってきてもらい、みんなでカレーパーティーを開催した。
野生のポケモンとの触れ合いに、シロナさんは目を輝かせ、ドンカラスのもふもふに埋もれに行ったりしていた。
ちなみに、腰抜けたことを笑ったのは玉ねぎを全部切ってもらうことで許した。だって初めてだったし仕方ないでしょもう。
ルカリオ達は話が合うのか、なにやら会話をして、その後はまだ治療したばかりだと言うのにバトルフィールドに走っていってしまった。
シロナさんのルカリオをお師匠認定したということだろうか?
それについては、シロナさんと目を合わせて微笑ましいねと笑い合い、自分たちはと言うと最近のお互いの研究や発見についての話で花を咲かせていた。
「へえ、チリーンの〈いやしのすず〉は人にもちゃんと効果はあるのね」
「スボミーたちの〈しびれごな〉も、医療機関で麻酔代わりに扱われてるし、やっぱりポケモンの技を深く知ることで、使う幅はやっぱり増えてくんだよ!」
「ルカリオも使えるけれど、〈いのちのしずく〉をもし人にも応用出来たら、体力が落ちてしまっている人の助けになるわよね」
「うん、なると思う。だけど、こういう技では人のどこの部分が刺激を受けて効果を発するのか分からないといけないよね」
「ポケモンの技を編み出す体の器官についてはまだ分からないことだらけで、それを解明しようとたしか外国の研究チームが動いてなかった?」
「あー、確かいたね、海外だと器具とか凄いんだっけ?」
「こっちはどちらかと言うと田舎だもんね」
「外国といえば、プラターヌ博士の進化を超える進化についての研究とかきくかな」
「確かメガシンカの研究だっけ?」
「そうそう、前に連絡があって、その時に少し話したんだけど、研究は軌道に乗ったばかりらしいけど、それについて解明出来ればポケモンバトルが変わるとか」
「やだ何それすごく気になる」
「でも進化といえば野生のポケモンたちの進化についても興味深いよね」
「いつも言ってる特殊進化?」
「そうそう、だってさ、ゴーストとかはトレーナーが進化させる際、交換機能をつかって進化させるじゃない。けど、野生のゴーストはモンスターボールにはいってないから交換機能はつかえない。なら、彼らはどうやって進化しているのか!」
「諸説あるけど、私は特殊な電波を浴びることによって起きるんじゃないかと思ってるわ。交換機能は電気機器をどうしてるんだし、それが一番理にかなってそう」
「問題なのはその仮説が正しいとして、どこからその電波が流れているかなのよね」
「ゴーストタイプは体のすり抜けとかができるから、発信機をつけようにもすぐ落ちて調べることが難しい……あーー、すごく気になる」
「ね、滅茶苦茶気になるーーっ」
スラスラとポケモンについての不思議を語り合い、そしてポケモンといえば特に、とシロナさんはびしりと人差し指を立て、目をきりりとするのを見て、全てを察した私はシロナさんを指さし、2人で声を揃えて言う。
「「シンオウ時空伝説」」
「ディアルガとパルキアについての伝承とかでテンガン山にいるだろうって言うのは分かってるんだけどね……」
「どうやったら姿を現してくれるかはまた別という……なかなか現れないから伝説とか神とか呼ばれるけどそれにしても目撃情報少なすぎる。
文献は沢山残ってて金剛玉とかあるのになんで出てくれないのおおお!!!」
研究が足りないのは分かってるだけどね、くぅ!と続けていいながら拳を握るシロナさんに、まあまあとお茶を差し出せばずずずと彼女はすすり、美味しいとつぶやく。
「シンオウはほんと、古代の事についての文献が多いよね。昔話とかもシンオウでしか聞いたことがないし」
「あなたがよく言ってるあの絵本のこととか?」
「そうそう、昔は人もポケモンも同じだったっていうやつ」
「ポケモンと人が結婚できたとか、今の時代ありえないから嘘だと思うことも、昔話そんな事がありえないって考えがなかっただろうしね」
「ポケモンの始まりも何も、全てを創り出したというポケモンが関係してるけれど、でもその前になぜポケモンが誕生したのかとかで最終的に繋がりがあるだろうディアルガとパルキアに戻ってくるんだよなぁ」
「やっぱり考古学がポケモンの解明の鍵だとあたしは思うのよ!!」
「あーー、今度テンガン山の頂上調べに行きたい……」
「今度あたし行くけど行く?」
「行きます。連れていってくださいシロナ様」
「任せなさい!お姉さんが、というかガブリアス達がきっちり護っていってあげるわ!!!」
「頼もしすぎる。おつまみ追加いる?」
「いる」
ぐびっとサイコサイダーをあおるシロナさんにすっとチーズの燻製を出せば、やだなにこれ美味しいともぐもぐと口を動かす。僕にもおくれよとばかりに擦り寄ってくるスボミーに気がついたのか、小さくちぎったそれをシロナさんは手ずからあげれば次は僕!次は僕!とムックルたちが列を作り出した。
「ちょ、あ、待って待って私のチーズが無くなっちゃうー!」
「あはははは」
「笑ってないでそこの果物剥いてよクフィナ!」
「私今食べるのに忙しいから」
「あたしだって食べたいんですけど!?って、なんでガブリアスやルカリオまで並んでるの!?ルカリオいつ戻ってきたのおかえり!」
「あ、ほんとだルカリオくん戻ってきてたのね、きみもこれいるかい?」
隣にいたらしいルカリオにおおっと驚きつつ、手に持っていた胡桃の燻製を渡せば、ぶるる、と頷いたルカリオはもぐもぐと食べだした。
シロナさんは、あーもう!といいながら、1人1個だからね!!とチーズをちぎって手渡ししている。いつの間にか彼女の手持ち全員列に並んでるのを見て、手元にカメラがないことが惜しいなと思った。
「ふふふ、いやぁ、賑やかで楽しいねぇ」
思わず笑い零しながら、ルカリオに話しかければ、こくりと頷かれたあと、じいっとみつめられる。
それになんだい、どうしたんだいと聞けば、くるると喉を鳴らして擦り寄られた。おお??
「暫くちゃんとお話も出来てなかったからね、君は大きくなっても変わらないね」
「…………」
「あー、そんな目で見ないでよ、ほんとに悪かったと思ってるんだよ、ごめんね
ボールを持たない、というのは変わらないけど、それでも君がここにいたいというのなら好きなだけっ」
居ていいからと続けようとした瞬間、むきゅりと肉球が私の顔面にムチムチしてきた。
何をするんだとどければ、そうじゃないだ、ちがうだろ、と不満げな顔でへの字に口を曲げたルカリオがじーっと半目で見つめてくる。
あーーーーー、
「……私の傍に好きなだけいていいですので今回のこと許してください」
「がる!!」
私の言葉に満足気にわらったルカリオは、声を上げてうなずき、次には両手を広げて飛びついてきた。
うわぁと、勢いに耐えきれずひっくり返りそうになりつつ受け止めれば、ルカリオのしっぽがぶんぶん揺れている。あらかわいい、と思いながら、よしよしと撫でてやれば、視界の端でチリーンがやれやれだぜと肩をくすめるような仕草をしているのが目に映る。
そんな出来事があり、私はボールに入らないルカリオを連れた学者として、いつの間にか世間に知られることになったのだった。
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