あなたを想えば冷える爪先

コンラッドがユーリの手を優しく握った。

瞳の中に浮かぶ銀色の輝きは、まるで星々が夜空に散りばめられたよう。ユーリの大好きな色。そこに愛情と忠誠が映し出されていて、自分を見つめてくるものだから。まるで彼の瞳が彼女の世界を照らし出す星のように感じられた。

愛しています―――優しくて大好きな声で告げられて、ユーリは彼の胸に飛び込んだ。迎え入れるように広げられた腕が背に回されて、ぎゅっと抱きしめられる。

カーキ色の軍服越しに伝わってくる彼の温度が、ずいぶん懐かしく感じた。

ユーリ。
コンラッドはそっと囁いた。その声は柔らかく、しかし確かな存在感があった。

「もっと名前を呼んで」とユーリは甘えるように頼んだ。するとコンラッドは少し困ったような顔を見せたが、それでも優しい笑みを浮かべた。

「どうしたんです」

「帰ってきて。私から離れないで」

「どこにも行かないよ。俺はユーリのものだから」

うそつき。すぐ遠くに行ってしまうくせに。きらい。わたしなんかのためにすぐに命使おうとしてしまう。だいきらい。
―――嘘。

「好きよ。ずっと、あなたが大好きよ」

俺もですよ。
そう返ってくるのを期待したのに、コンラッドの温もりは遠のき、輪郭のない世界から現実へと引き戻された。

ユーリはベッドで目を覚ました。薄明かりが部屋に差し込んでいる。彼がいないことを痛感し、ユーリはそっと隣の空いた場所に手を伸ばし、温度のないシーツを撫でた。
その冷たさが、彼の不在を一層際立たせた。目を閉じると、コンラッドの温もりと優しい声が蘇ってくる。しかし、それも幻に過ぎない。

「一人にしないって約束したくせに…」

ユーリの声は静かで、しかし深い切なさを帯びていた。敵国にいる彼への想いが、心に重くのしかかる。再びどこかで彼に会えるその時まで、ユーリはただひたすらに待ち続けるしかなかった。



top