先輩は後輩の恋愛事情が気になる

野崎に瀬尾の愚痴を聞いてもらい一緒に帰ることになった若松。だが若松は大事な忘れ物があることをすぐに思い出す。

「先輩ちょっと美術室寄っていいですか?幼馴染がそこで待ってて」
「ああ、いいぞ。たしか中学の時も一緒に帰ってたよな。高校も幼馴染と一緒になったのか」

名前も見た目も知らないが野崎は後輩の幼なじみは女子だと知っていた。家が近所の幼馴染カップル。中々幼馴染の枠から抜け出せなくてやきもきする定番だがいいシチュエーションだ。すっかり漫画のネタを探すつもりになってワクワクする野崎だったがあいにく若松もその幼馴染も互いへの恋愛感情はまだ抱いていなかった。

「幼馴染、自分一人じゃ家に帰れないくらい方向音痴なんですよ。だから一緒の高校にしました」
「それは方向音痴ですませていいレベルのものなか」

流石にいくら方向音痴でも自分の家には帰れるだろと戦慄する野崎を気にすることなく美術室へと向かう若松。着いた美術室で野崎が見たのは楽しそうに絵を描く一人の美少女だった。

「博くんお疲れ様。あれ?先輩?」
「野崎先輩だよ。ほら、中学の時バスケ部の先輩だった」
「ああ!お名前は聞いたことあります!初めまして金剛寺蒼乃です」


これが野崎と若松の幼馴染の初対面であった。


「博くんがお邪魔するなら私もお邪魔しても大丈夫ですか?私も漫画のお手伝いさせて下さい」
「ああ、構わないがいいのか?」
「はい。一人では家までたどり着けませんので」


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