- ウィンターホリデー初日。生徒が実家へ帰省する中、グリムと一緒に友人たちを見送りに鏡舎へ向かった。
「よく来てくれましたね、グリムくん監督生くん」
学園長に会いに来たわけではないのに暖かく迎えられた私達は、嫌な予感にその場を去ろうとしたが虚しくも捕まり雑用を命じられてしまった。
「明後日の予報が大雪なんですよ、いや〜賢者島では珍しいんですがね。最近の異常気象のせいには困ったもんです」
長い話になったが、要は雪かきをしてくれと頼まれたのだ。去年と同様、食堂の暖炉に薪をくべる雑用も込みでだ。最悪。
「いや〜監督生に休みなしってな」
「ホリデーじゃなかったら手伝ってやれたのにな」
「いいや、オレはタダじゃやんないね」
軽口を言い合いながら二人は楽しそうに実家に帰っていった。寂しく思う。もちろん、手伝ってくれそうな友人を逃したからでは断じてない。断じて。
「も〜〜〜いやなんだゾ!!!」
小さなモンスターが小火のような火を吐いた。グリムが「溶かせば早いんだゾー」と火の魔法で溶かしていたが、水分で雪は重くなって掻きにくいし次の日に凍って厄介なことになった為、地道に雪を掻いている。
途方もない作業に腕の筋肉はパンパン。腰から太ももまで、全身痛みでロボットみたいに体の自由が効かない。もし、ここにオルトがいたなら「その可動域やぎこちなさは旧式のロボだね!もし本当にロボットなら兄さんにメンテナンスしてもらえるのに」と言っていたに違いない。
「はぁ、疲れた…」
オクタヴィネルに頼むということが頭を過り、必死に考えを振り払った。いや、ないないない。雪掻きなんて機械的な作業はつまらないし取引したら絶対損する。グリムは「今日はもう終わりなんだゾ〜」とオンボロ寮に戻ってしまった。一人でやるのもバカらしいし購買部の辺りが終わったら帰ろう。ハァーっと真っ白なため息をついた。
「こんなとこで何してんの〜?」
気を抜いてたせいもあって肩が外れたのかと思うくらい跳ねた。ケラケラ笑うフロイド先輩にダメ元で雪掻きをお願いしてみようか。何もあげるものなんて無いから絶対引き受けてくれないだろうな。
「そんな物欲しそーな目で見てきてさぁ言いたい事あんなら言えよ」
ほぅっと、また白い息が出た。私の先輩を見る目を"物欲しそうな目"と先輩は表現したけれど、それって本当に私の事なのかなと先輩の目を見ていて思った。
/ 即興二次小説(15分)お題『疲れた冬』
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