- 日曜の昼下がり。レースのカーテンをいたずらに揺らした風が紅茶の湯気と混ざり合った。ふぅと吹けば揺れるそれごと淹れたての紅茶に口をつける。湯気が揺らめいた。
「飲み終わってからにしましょうか」
向かいに座る男へ軽く頷くと、ティーカップを置き出来上がったばかりの箱の中身へ想いを馳せる。
一月前からデザイナーの人と話し合って完成したものだ。目の前に座る男、ジェイドくんが薦めてきた信頼のおける店で作ったピアス。私はまだその完成形を見ていない。
「見てもいい?」
「ええ」
慎重に蓋を持ち上げ、薄い紙を開けば美しい緑が艶やかに光った。小さめの翡翠がゴールドの細かいチェーンの先で揺れる。翡翠とチェーンの繋ぎの部分には繊細な白魚のようなデザインに包まれた極小のダイヤが煌めく。
「心の準備はよろしいですか」
私は今日、ジェイドくんのものになる。人魚として生きている彼と人間として生きている私を繋ぐもの。結婚指輪なんて俗なものじゃない。私たちだけの繋がりの証。
この日のために穴を開け手入れを行なっていた耳に、ジェイドくんとの永遠に切れない証がようやく繋がれた。
/ 即興二次小説(30分)のお題『紅茶とデザイナー』
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