- ※ジェイドが若干クズ男です
別に誰でもよかったわけじゃないんです。そこそこ美人で憧れに似た純粋な好意を向けてくる、かわいらしい人。そういう女性と関係を持つのがよかった。そして、最高に楽しい瞬間に別れるのがベスト。今までもそうしてきたんですよ。
「ジェイドさん」
今の彼女が僕を呼ぶ。これまでの女性と何ら変わらない。甲高くも低すぎるなんてこともない、少しだけ耳障りのいい声。言葉選びも悪くない。下品でも頭が悪そうでもない平凡そのもの。
「ありがとうございます!届かなくて困っていたので助かりました」
正確な数字は知りませんが相応の平均身長でしょうね。僕と比べたらだいぶ小さな体は僕の腕にすっぽり収まり覆い隠せてしまうくらいには、小柄だ。
そういう子を逃げられないよう押さえつけ…なんて強姦魔のような品のない言い方ですが、僕の場合は合意なのだから何の問題もない。そういったことに愉悦を覚えることを恋人には受け入れてもらいたいというのは、普通の感覚だと僕は思う。
「初めての彼氏がジェイドさんみたいな人で良かった」
ぬるま湯のような笑みを浮かべ心の中では"いつまでそう言っていられるでしょうね"と、いつも通り悪態をつく。それでもこうやって彼女と過ごす時間は楽しいし、別れるのを分かっていて付き合っている僕としては散々言われ慣れた言葉だって、挨拶のようにしか思えなかった。
「あまり慣れてないんです、だから」
恥じらう姿のなんと愛らしいことでしょうね。後に続く言葉は言われていないので、いつも通りにする。というより、そういう反応が見たくてしているのだから手心を加えるはずがない。
予想通り、涙をはらはら零しながら快感に震える姿のなんと甘美なことか。ちらと覗き見た歪んだ顔にどうしようもなく心が掻き乱され、もっとよく見たくて身体をぐるりとこちらへ向かせた。外では見せないこの時だけに見せてくれる顔。
ノルアドレナリンが脳を支配し、βエンドルフィンが身体中から溢れ出した。
「うぅっ、うぇえぇぇ、ぐすっ、えぇぇ」
僕はまだ何も言っていないのに泣き出されては戸惑うしかないでしょう。便宜上の謝罪は手と共に振り払われた。何だというんでしょうね。行為中以外での涙には全く興奮しないなと興が冷めながらも、仕方なく涙に震える身体を抱きしめてやった。
「うっうっ…怖かったですぅ、うぁああ」
背中に回された腕のか細さに雪が溶け始めるような体温を感じ、再びベッドへ押し付けたくなる衝動を初めて自らの意思で抑えつけた。ああ、本当になんなんでしょうね。
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